薬物動態学

薬物動態学
講 義
必 修
2 単位 20 講
3 年 後期
1 クラス
Basic Pharmacokinetics
科目担当者 戸田 貴大
授業概要 血中薬物濃度推移を計算するための基礎理論とデータ解析の方法を学ぶ。
一般目標 1. 薬効や副作用を体内の薬物動態から定量的に理解できるようになるために、薬物動態の理
(GIO)
論的解析に関する基本的知識と技能を修得する。
1. 薬物動態に関わる代表的なパラメーターを列挙し、概説できる。
2. 線形コンパートメントモデルを説明し、適切な式を用いて計算できる。(技能)
3. 生物学的半減期を説明し、計算できる。(技能)
4. 全身クリアランスについて説明し、計算できる。(技能)
5. 薬物投与における定常状態について説明できる。(独自)
6. 連続投与における血中濃度計算ができる。(技能)
到達目標
(SBO)
7. 生理学的モデルに基づくクリアランスの考え方について説明できる。(独自)
8. 薬物の肝および腎クリアランスの計算ができる。(技能)
9. 初回通過効果について説明し、計算できる。(技能:独自)
10. 薬物の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)の意味とその計算法を説明できる。
11. 線形コンパートメントモデルと非線形コンパートメントモデルの違いを説明できる。
12. 非線形性の薬物動態について具体例を挙げて説明できる。
13. モデルによらない薬物動態の解析法を列挙し説明できる。
14. 母集団薬物速度論および PK-PD 解析の概念と応用について概説できる。(独自)
15. 薬物の体内動態が変動する要因を列挙できる。(独自)
区
分
1
項
目
1. 導入講義
1. 急速静脈内投与時の
2
1-コンパートメント
モデル(1)
授
1.
2.
3.
4.
業 内 容
講義の概要
生物薬剤学の復習
コンパートメントモデルとは
一次速度式とは
(対応 SBO 1)
1. 血中濃度の時間推移式
2. 消失速度定数、消失半減期
(対応 SBO 1,2,3)
3
1. 急速静脈内投与時の
1-コンパートメント
モデル(2)
1. 分布容積、全身クリアランス
2. 血中濃度-時間曲線下面積(AUC)
(対応 SBO 2,4)
4
1. 急速静脈内投与時の
1-コンパートメント
モデル(3)
1. 尿中排泄速度式
2. シグマ・マイナスプロット
(対応 SBO 1,2)
5
1. 血中濃度の時間推移式
1. 経口投与時の1-コンパ 2. 生物学的利用率、吸収速度定数
ートメントモデル(1)
3. 残余法によるパラメータ推定
(対応 SBO 1,2,3)
6
1. 最高血中濃度と最高血中濃度到達時間
1. 経口投与時の1-コンパ
2. フリップ・フロップ現象
ートメントモデル(2)
(対応 SBO 1,2)
7
1. 血中濃度の時間推移式
1. 点滴静注時の1-コンパ
2. 点滴静注における定常状態とは
ートメントモデル(1)
(対応 SBO 1,2,5)
8
9
10
1. 点滴持続時間と血中濃度の関係
1. 点滴静注時の1-コンパ
2. 急速静注による負荷投与
ートメントモデル(2)
(対応 SBO 2,3)
1.
2.
1. 繰り返し投与時の薬物
3.
動態学
4.
1. 2-コンパートメント
モデル
1. 生理学的モデルに
11
基づくクリアランス
(1)
1. 生理学的モデルに
12
基づくクリアランス
(2)
1. 生理学的モデルに
13
基づくクリアランス
(3)
14
1. バイオアベイラビリ
ティ
15
1. 非線形薬物速度論
16
1. モーメント解析
17
18
1. 母集団薬物速度論
2. PK-PD 解析
おける薬物の体内動態
(2)
20
テキスト
1. 2-コンパートメントモデルとは
2. 血中濃度推移の特徴と血中濃度の時間推移式
3. 速度論的パラメータ
(対応 SBO 1,2)
1. 組織クリアランスと固有クリアランス
2. Well-stirred model
3. 腎クリアランス
(対応 SBO 7,8)
1. 肝クリアランス
2. 血流律速と代謝律速
(対応 SBO 7,8)
1. 初回通過効果
2. 全身クリアランス
3. 生理学的モデルによる解析
(対応 SBO 4,9)
1. 量および速度に関するバイオアベイラビリティ
2. AUC と線形性
3. 生物学的同等性
(対応 SBO 10)
1. 代謝における Michaelis-Menten 式
2. タンパク結合における Langmuir 式
3. 非線形性の原因と薬物動態の特徴
(対応 SBO 11,12)
1. モーメントの定義
2. 1-コンパートメントモデルとモーメント
3. モーメント解析によるデコンボリューション
(対応 SBO 1,13)
1. 母集団薬物速度論による母集団パラメータ推定
2. ベイジアン法による患者パラメータ推定
3. PK-PD 解析
(対応 SBO 14)
1. 各種生理学的条件下に 1. 肝疾患における薬物の体内動態
おける薬物の体内動態 2. 腎疾患における薬物の体内動態
(対応 SBO 8,15)
(1)
1. 各種生理学的条件下に
19
重ね合わせの原理
繰り返し投与時の定常状態とは
平均血中濃度と蓄積率
投与計画
(対応 SBO 5,6)
1. 心疾患における薬物の体内動態
2. 小児における薬物の体内動態
3. 高齢者における薬物の体内動態
(対応 SBO 15)
1. 妊婦における薬物の体内動態
1. 各種生理学的条件下に
2. 薬物の胎盤透過性
おける薬物の体内動態
3. 薬物の母乳中移行
(3)
4. 薬物動態学から臨床薬物動態学へ
2. まとめ
(対応 SBO 15)
金尾義治 著「入門 薬物動態学」(京都廣川書店)
参考書
高田寛治 著「薬物動態学-基礎と応用-(改訂 2 版)」(じほう)
金尾義治 他編「NEW パワーブック生物薬剤学(第 2 版増補版)」(廣川書店)
杉山雄一 他編「ファーマコキネティクス 演習による理解」(南山堂)
成績評価
中間試験(20%)、定期試験(70%)、授業中の課題(10%)により評価する。
科目担当者
教員室:B309、メールアドレス:toda(at)hokuyakudai.ac.jp
との連絡
*(at)は@に置き換えてください。
事前学修・ 1. テキストの該当部分を事前に予習しておくこと。
事後学修
2. 講義中に理解できなかったところは、そのままにせず講義終了後に質問すること。
関連科目
生物薬剤学、臨床薬物動態学 I、臨床薬物動態学 II、演習 VI、実習 VII
備
考
1. 講義プリントを配付する。授業はテキストとプリントを併用して行う。
2. 配付資料は「HPU-Moodle」にアップロードする。