有機化学Ⅱ Organic ChemistryⅡ 2 年 前期 2 クラス 講 義 必 修 2 単位 20 講 科目担当者 水上 徳美 授業概要 「有機化学Ⅰ」に引き続き有機化合物の構造、物理的性質の発現及び反応性について学ぶ。 1. 基本的な有機化合物の構造、物性、反応性を理解するために、電子配置、電子密度、化学 結合の性質などに関する基本的知識を修得する。 2. 脂肪族および芳香族炭化水素の性質を理解するために、それぞれの基本構造、物理的性質、 反応性に関する基本的知識を修得する。 一般目標 3. 官能基が有機化合物に与える効果を理解するために、ハロゲン化アルキル、アルコールな (GIO) どの官能基を有する有機化合物について、反応性およびその他の性質に関する基本的知識 を修得し、それらを応用するための基本的技能を身につける。 4. 個々の官能基を導入、変換するために、それらに関する基本的知識と技能を修得する。 5. 医薬品を含む目的化合物を合成するために、代表的な炭素骨格の構築法などに関する基本 的知識、技能、態度を修得する。 1. 構造異性体と立体異性体について説明できる。 2. キラリティーと光学活性、エナンチオマーとジアステレオマー、ラセミ体とメソ化合物に ついて説明できる。 3. 絶対配置の表示法を説明できる。 4. Fischer 投影式と Newman 投影式を用いて有機化合物の構造を書くことができる。 5. 光学活性化合物を得るための代表的な手法(光学分割、不斉合成など)を説明できる。 6. カルボカチオンの級数と安定性について説明できる。 7. 代表的な位置選択的反応および立体選択的反応を列挙し、その機構と応用例について説明 できる。 8. アルケン、アルキン、有機ハロゲン化合物、アルコール、フェノール、エーテルの代表的 な合成法について説明できる。 9. アルケンへのハロゲン化水素および臭素の付加反応の機構を図示し、反応の位置選択性 (Markovnikov 則)または立体特異性(アンチ付加)を説明できる。 10. アルケンへの代表的なシン型付加反応を列挙し、反応機構を説明できる。 11. アルケンの酸化的開裂反応を列挙し、構造解析への応用について説明できる。 到達目標 12. 有機化合物の性質に及ぼす共鳴の影響について説明できる。 (SBO) 13. 共役ジエンへのハロゲンの付加反応の特徴について説明できる。 14. Diels-Alder 反応の特徴を具体例を用いて説明できる。 15. 薬学領域で用いられる代表的化合物を慣用名で記述できる。 16. アルキンの代表的な反応を列挙し、説明できる。 17. 代表的な芳香族化合物を列挙し、その物性と反応性を説明できる。 18. 芳香族性(Hückel 則)の概念を説明できる。 19. 芳香族化合物の求電子置換反応の機構および代表的な求核置換反応について説明できる。 20. 芳香族化合物の求電子置換反応の反応性および配向性に及ぼす置換基の効果を説明でき る。 21. 有機ハロゲン化合物の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。 22. 求核置換反応(S N 1 および S N 2 反応)の機構について、立体化学を含めて説明できる。 23. ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素の機構を図示し、反応の位置選択性(Saytzeff 則)を説明できる。 24. アルコール類、フェノール類、エーテル類の代表的な性質と反応を列挙し、説明できる。 25. アルコール、チオール、フェノール、カルボン酸などの酸性度を比較して説明できる。 26. アルコール、フェノール、カルボン酸、およびその誘導体の酸性度に影響を及ぼす因子 を列挙し、説明できる。 27. 代表的な官能基選択的反応を列挙し、その機構と応用例について説明できる。 28. 代表的な官能基を他の官能基に変換できる。(技能) 29. 官能基毎に代表的な保護基を列挙し、その応用例を説明できる。 30. オキシラン類の開環反応における立体特異性と位置選択性を説明できる。 31. フェノール類、チオール類の抗酸化作用について説明できる。 区 分 1 2 3 4 5 6 7 8 項 目 1. 立体化学(1) 授 業 内 容 1. 授業の進め方 2. キラリティー 3. エナンチオマーとジアステレオマー 4. 立体配置の表示法 (対応 SBO 1,2,3) 1. 立体化学(2) 1. Fischer投影式 2. メソ化合物およびラセミ混合物 3. 光学分割 4. 異性現象 (対応 SBO 2,4,5) 1. アルケン (1) 1. 水和反応:ヒドロホウ素化、オキシ水銀化 2. ハロゲン化 (対応 SBO 6,7,8,9) 1. アルケン (2) 1. 水素化 2. 過マンガン酸酸化、オゾン酸化、二重結合の酸化的開裂 3. ラジカルによる付加 (対応 SBO 7,9,10,11) 1. 共役ジエン (1) 1. ジエンの種類と結合の性質 2. 共鳴理論と共鳴形 3. 共鳴構造式の書き方 (対応SBO 12,13) 1. 共役ジエン (2) 1. 1,2-付加反応と1,4-付加反応 2. 熱力学的支配と速度論的支配 3. アリル型カルボカチオン 4. ペリ環状反応および Diels-Alder 反応 (対応 SBO 12,13,14) 1. アルキン (1) 1. 構造と命名法 2. 水素化反応および付加反応 3. 末端アルキンの酸性度 (対応 SBO 15,16) 1. 芳香族化合物(1) 1. ベンゼンの構造と性質 2. 芳香族化合物の命名法 3. 芳香族性とHückel則 4. 非ベンゼン環の芳香族性 (対応 SBO 15,17,18) 9 1. 芳香族化合物(2) 10 1. 芳香族化合物(3) 1. 芳香族求電子置換反応 2. アルケンとベンゼンの反応性の比較 3. Friedel-Craftsアルキル化反応およびアシル化反応 (対応 SBO 19,20) 1. 求電子置換反応における置換基効果 2. 反応性と配向性に影響を与える因子 3. 求核置換反応 4. 芳香族化合物の酸化と還元反応 (対応 SBO 19,20) 1. ハロゲン化アルキル 11 (1) 1. ハロゲン化アルキル 12 (2) 1. ハロゲン化アルキル 13 (3) 1. ハロゲン化アルキル 14 (4) 1. ハロゲン化アルキルの命名法 2. ハロゲン化アルキルの製法 3. Grignard 試薬とその性質 (対応 SBO 8,15,21) 1. 求核置換反応 2. S N 2反応の機構とS N 2反応の立体化学 (対応 SBO 22) 1. S N 1 反応の機構と立体化学 (対応 SBO 22) 1. 脱離反応と Saytzeff 則 2. S N 1、S N 2、E1、E2 反応の比較 (対応 SBO 22,23) 1. アルコール、フェノー 1. アルコール、フェノール、エーテルの命名法 (対応 SBO 15) ル、エーテル(1) 15 1. アルコール、フェノー 16 ル、エーテル(2) 1. アルコール、フェノー 17 ル、エーテル(3) 1. アルコール、フェノー 18 ル、エーテル(4) 1. アルコール、フェノー 19 ル、エーテル(5) 1. アルコール、フェノー 20 ル、エーテル(6) テキスト 参考書 伊東 椒 伊東 Susan 人) 古賀 池田 1. アルコール、フェノール、エーテルの物理的性質 2. アルコール、フェノールの酸性度 (対応 SBO 24,25,26) 1. アルコールの合成 2. アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸の還元 (対応 SBO 27,28,29) 1. ヒドロホウ素化反応 2. アルコールの反応 (対応 SBO 24,27,28) 1. Williamson のエーテル合成 2. フェノールの合成と反応 (対応 SBO 8,24) 1. エーテルの反応 2. エポキシド 3. チオールとスルフィド (対応 SBO 29,30,31) 他訳「マクマリー有機化学概説(第 6 版)」(東京化学同人) 椒 他訳「マクマリー有機化学(上・中・下)(第 8 版)」(東京化学同人) McMurry 著「マクマリー有機化学概説問題の解き方(第 6 版)英語版」(東京化学同 健司 他監訳「ボルハルト・ショアー現代有機化学(上・下)(第 6 版)」(化学同人) 正澄 他監訳「ソロモンの新有機化学(Ⅰ~Ⅲ)第 11」(廣川書店) 成績評価 中間試験(20%)、定期試験(70%)および演習課題の提出(10%)により評価する。 科目担当者 教員室:B108、メールアドレス:mizu(at)hokuyakudai.ac.jp との連絡 *(at)は@に置き換えてください。 事前学修・ 1. 講義前にテキストの該当部分を予習しておくこと。 事後学修 2. 講義後にテキストの練習問題を解いておくこと。 関連科目 有機化学Ⅰ、有機化学Ⅲ、生物有機化学、演習Ⅲ 1. 授業の補完のため、プリントを配付する。 2. 配付済みのプリントはファイリングし、毎回持参すること。 備 考 3. 講義に使用したプレゼンテーションファイルは「HPU-Moodle」にアップロードする。 4. 分子模型を使用する。 5. 適宜、課題演習を行う。
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