短期予報解説資料1

短期予報解説資料1 2016年 7月15日 3時40分発表
気象庁 予報部
1.実況上の着目点
①日本海中部の寒冷渦が南東進
し、北陸地方に接近。14 日 21 時
高層観測では、東日本・東北を包
む様に 500hPa -6℃以下を観測。
14 日は西日本・東日本の広い範
囲で最高気温が 30℃を超え、上
空に寒気が流入したため、
広い範
囲で大気の状態が非常に不安定
となった。非常に激しい雨や落
雷・メソサイクロンを解析・検知。
15 日未明も関東では非常に激し
い雨を解析。
②梅雨前線は九州南部(種子島・
屋久島地方)付近で停滞。14 日
夜以降、前線近傍では活発な対流雲が継続的に発生し、海上では非常に激しい雨を解析。
③華北には 500hPa 5760~5820m のトラフがあって東南東進。水蒸気画像では暗域として視認できる。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①1 項①の寒冷渦は、15 日夕方にかけて東日本・東北を通過する。東日本や東北では 15 日夕方にかけ
て、落雷や竜巻などの激しい突風、短時間強雨に注意。14 日と比較すると、曇りの地域が多く最高気
温も 5℃程度低いため、不安定現象の地域は限定されるが、局地的には非常に激しい雨のおそれがある。
②九州南部(種子島・屋久島地方)付近の前線は、15 日夜にかけてほとんど停滞。300hPa 高気圧の東
端で発散域にあたり、下層には 850hPa 相当温位 354K 以上の暖湿気が流入するため、15 日昼前までを
中心に非常に激しい雨のおそれがある。低い土地の浸水や河川の増水、土砂災害に注意・警戒。
16 日には 1 項③の 500hPa トラフが黄海に進み、前線上の波動は、16 日朝には黄海、夜には対馬海峡
に進む。16 日、九州では 850hPa 相当温位 345K を越える暖湿気が流入するため、激しい雨が降り大雨
となるおそれがある。
③日本の東の低気圧、および日本海中部の低気圧周辺では、海上を中心に風がやや強く、14 日から等
圧線の走向が変わらない状態が続いている。東北・伊豆諸島・山陰では、15 日、高波に注意。
3.数値予報資料解釈上の留意点
①総観場は最新 GSM を基本とし、雨の分布・強度は MSM を基本とする。日本の東海上の低気圧・前線上の
波動は、最新 GSM を元に、寒冷渦中心付近に低気圧を、寒冷渦の南東象限に前線上の波動を予想した。
4.防災関連事項 [量的予報と根拠]
①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):九州南部 100mm。その他地域、2 項の短時間強雨に注意。
②波浪(明日まで)
:東北・伊豆諸島・山陰 3m。
③高潮(明日まで)
:北陸や近畿北部では、注意報基準を超過する可能性がある。
5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。
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量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。