短期予報解説資料1 2015年 5月16日03時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①中国東北区には寒冷渦があって、 ゆっくりと南東進している。北日本 の上空には寒気が流れ込み始めてお り、21 時の高層観測では 500hPa の気 温が札幌-17.3℃、秋田-13.3℃、緩 やかな下降を示している。 ②上記寒冷渦の南縁にあたる 500hPa・5700m 付近の流れに対応して、 日本海南部にトラフが進んできてい る。21 時にはトラフ東側の日本海に 低気圧が解析されており、その周辺 から南西側にかけて発雷し所々で強 い雨が断続している。 ③500hPa・5820m 付近の強風軸に沿っ て、東シナ海から関東の南海上にかけて前線が停滞している。その暖域内に入っている名瀬の 21 時高 層観測では、950hPa より下層に相当温位 340K 以上の暖湿な気塊が流入している。 ④華北には中層から下層に乾燥域があって、赤外画像でもまとまった雲域は確認できない。東シナ海 で西から前線対応の雲バンドを押し下げ、勢力を南に拡大している。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②のトラフは 16 日に日本付近、17 日には日本の東に進む。一方、21 時に日本海に解析された低 気圧は、1 項①の寒冷渦に取り込まれながら東北東に進み 16 日夜には千島近海に達する。上層寒気や 下層暖湿気の影響で低気圧周辺やその南側では大気の状態が不安定となっており、16 日日中にかけて 下層の収束線や熱的低気圧を要因とする収束域を中心に対流雲が発生・発達する。落雷や突風に注意。 ②1 項③の前線は、500hPa・5700~5820m 付近の短波トラフの影響で降水の強弱を繰り返しながら、東 シナ海に中心を移す高気圧に押されるように少しずつ南下する。FT24 以降、前線は西日本から不明瞭 となるが、500hPa・5760~5820m 付近のトラフに励起され、FT48 には大陸で前線が再び明瞭となる。 ③1 項②のトラフの接近に伴い、16 日朝までに関東付近で 1 項③の前線上に低気圧が発生する。この 低気圧を含む東・西日本に広がる低圧部と南から張り出す高気圧との間で、一時的に気圧傾度が大き くなる。強風、高波に注意。FT12 から 35Kt[GW]級を見込む。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新の GSM を基本とする。収束域や局地的な降水は MSM も参照。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):高い(100mm 以上)はないが、2 項の短時間強雨に留意。 ②波(明日まで):北海道・東海・近畿・伊豆諸島 3m。小笠原は 16 日後半、その他は 17 日から台風第 7 号からのうねりが入り始める。 5.全般気象情報発表の有無 発表予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
© Copyright 2024 ExpyDoc