PDF形式:1.67MB - 経済産業省

産学連携ソフトウェア工学実践事業
(高信頼組込みソフトウェア開発)
の概要について
商務情報政策局
情報処理振興課
34
目 次
1.事業の概要
2.事業の目的・政策的位置付け
3.目標、成果、目標の達成度
4.事業化、波及効果
5.研究開発マネジメント・体制等
6.評価
7.提言及び提言に対する対処方針
35
1.事業の概要
概
要
実施期間
予算総額
自動車メーカ、部品メーカ、組込みソフトウェアメーカ、半導体メーカ
等が、高信頼な車載共通基盤ソフトウェア(Basic Software:以下
BSW)、開発環境の整備等について、業界横断的に共同で取り組む。
平成19年度~平成21 年度
(3年間)
31.9億円
(平成19年度:8.2億円 平成20年度:11.9億円 平成21年度:11.9億円)
実 施 者
プロジェクト
リーダー
一般社団法人JASPAR
安達 和孝
日産自動車 エキスパート・リーダ
36
2.事業の目的・政策的位置付け①
目的:自動車産業及び組込みソフトウェア産業等の国際競争力強化
目標1:高信頼・高効率な共通基盤ソフトウェアの構築 (産業構造変革)
目標2:ソフトウェア工学に基づく高効率な開発環境の整備 (開発生産性の向上)
目標3:中小組込みソフトウェアメーカの育成 (開発人材の育成)
目標1:高信頼・高効率な共通基盤ソフトウェアの構築(産業構造変革)
◆組込みソフトウェアの大規模化が進む中、各社が個別に全てを開発すると開発工数が膨大となる。
◆そのため、車載共通基盤ソフトウェア(BSW)を業界横断的に開発し、共通領域を拡大させることに
より、業界全体の開発コストを削減する。
◆さらに、我が国の企業が、他社と差別化を図るべき競争領域である高価値なアプリケーション領域
の開発に集中することを可能にし、我が国の開発力を強化する。
◆加えて、開発したBSWを国際標準に反映させることにより、海外においてもこれまで培ったノウハウ
を生かして、開発に従事することができる。
市場・技術の進化により
拡大する競争領域
強みを活かせる領域へのシフト
高価値領域
高価値領域での開発力強化
による競争力向上
競争領域
競争領域をモジュール・
プラットフォーム化し、人材・
資金を強みの活かせる高価
値領域へシフト
高価値領域
高価値領域
高価値領域へ
資源シフト
高価値領域へ
資源シフト
競争領域
共通領域
共通領域
共通領域
サプライヤが担う競争領域
37
2.事業の目的・政策的位置付け②
目標2:ソフトウェア工学に基づく高効率な開発環境の整備(開発生産性の向上)
◆組込みソフトウェアの大規模化・複雑化に加え、開発は未だに人為的な作業に依存する割合が高く、
さらに自動車開発は多様な関係者が介在しているため、開発側の負担は非常に大きい。
◆そのため、開発支援ツールの高度化を図るとともに、サプライチェーンの関係者間の連携を強化す
ることによって、開発生産性を向上させる。
目標3:中小組込みソフトウェアメーカの育成 (開発人材の育成)
◆組込みソフトウェアの重要性が高まる一方で、ハード・ソフト双方に通ずる必要のある組込みソフト
ウェア人材の不足は顕著となっている。
◆多くの中小組込みソフトウェアメーカに、大企業とコンソーシアムを組んで、大規模かつソフトウェア
工学を活用した開発を行う機会を提供することにより、事業を通じて彼らの技術力を育成する。
海外との比較
日本
海外平均
○組込みソフトウェア開発課題の有効手段
2007
2008
2009
2010
技術者ス
キル向上
技術者の
確保
PMのスキ
ル向上
開発技術
の向上
技術者ス
キル向上
技術者の
確保
PMのスキ
ル向上
開発技術
の向上
技術者ス
キル向上
PMのスキ
ル向上
開発技術
の向上
0.4
PMの確保
PMの確保
技術者ス
キル向上
PMのスキ
ル向上
開発技術
の向上
技術者の
確保
新技術開
発・導入
0.2
管理技術
の向上
新技術開
発・導入
開発環境
の整備
開発製品
数最適化
経営者の
理解
管理技術
の向上
新技術開
発・導入
開発環境
の整備
委託先の
確保
経営者の
理解
海外に対する日本の使用比率
平均使用率
100%
比率
1.4
1.2
80%
1.0
60%
0.8
40%
0.6
20%
0%
数
値
解
析
ツ
ー
ル
分
析
・
設
計
ツ
ー
ル
ソ
ー
ス
コ
ー
ド
解
析
ツ
ー
ル
静
的
コ
ー
ド
チ
ェ
ッ
ク
ツ
ー
ル
コ
ン
パ
イ
ラ
/
デ
バ
ッ
ガ
テ
ス
ト
ツ
ー
ル
検
証
ツ
ー
ル
評
価
ボ
ー
ド
イ
ン
サ
ー
キ
ッ
ト
エ
ミ
ュ
レ
ー
タ
ア
ナ
ラ
イ
ザ
・
測
定
機
統
合
開
発
環
境
構
成
管
理
ツ
ー
ル
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
管
理
ツ
ー
ル
品
質
管
理
ツ
ー
ル
ド
キ
ュ
メ
ン
ト
管
理
ツ
ー
ル
0.0
PMの確保
技術者の
確保
管理技術
の向上
新技術開
発・導入
開発製品
数最適化
開発環境
の整備
委託先の
確保
PMの確保
管理技術
の向上
委託先の
確保
開発環境
の整備
経営者の
理解
出所:組込みソフトウェア産業実態調査
38
2.事業の目的・政策的位置付け③
○組込みソフトウェアの重要性が高まる中で、品質に関するニーズの高まり(社会的要因)、機能安全に
関するISOでの規格化(国際的要因)等の対応も迫られているところ。大学等の研究機関とも連携を図
りつつ、業界が連携を図って諸課題の解決を図る。
○経済産業省においては、我が国の基幹産業であるとともに、より高度な制御が求められる自動車分野、
情報家電分野に着目して、研究開発事業に実施。
【国際的な要因】
・国際規格(機能安全)の検討が進行。
<産業構造の転換>
○組込み産業の現状認識
・製品付加価値の源泉
・高い技術力保有(高信頼ソフ
トウェア開発・生産)
産学連携ソフトウェア
工学実践事業
IT投資効率性向上のための共
通基盤開発プロジェクト
・垂直統合から水平統合へ
構造転換
・海外市場への展開
中小
システム
基盤環境
整備事業
<技術基盤強化> 品質
・共通基盤技術の開発
・安全安心の規格化
(国際標準)
我が国製造業等、組
込みシステム産業の
国際競争力強化
【社会的要因】
・製品開発サイクルの短縮化、開発コストの低減、更なる多機能・高機能への対応
・品質(安全・安心)への強い関心
○自動車産業、情報家電産業は我が国の基幹産業
エレクトロニクス
12% 106万人
自動車 11%
90万人
従業員数
(全製造業)852万人
エレクトロニクス
13% 45兆円
自動車 17%
57兆円
製造品出荷額等
(全製造業)337
兆円
(出所)経済産業省「工業統計調査(2009年2月)」
39
3.目標、成果、目標の達成度①
個別要素
目標
成
果
Ⅰ.高信頼・高効率な共通 1)車載電子制御システムに適用でき 1)自動車メーカ、部品メーカ、組込みソ
基盤ソフトウェアの構築 るBSWを開発し,実システム に搭
フトメーカ、半導体メーカ、ツールメー
載して、従来と同等の性能を確認
カが、 業界横断的にBSWを共同開
する。
発。さらに、開発したBSWを実システ
ムに適用・評価した結果、従来と同等
の性能を確認できた。
達成度
達成
2)BSWを開発してベンチマーク評価 2)ベンチマーク評価を実施し、
を実施し、性能がAUTOSAR版を上
ROM/RAM消費量、CPU負荷率等の
回ることを確認する。
観点でAUTOSAR版BSWに対する優
位性を確認した。
達成
3)開発成果物(ソフトウェア,開発プ 3)本開発成果の国際標準化に向けて、
ロセス)について,我が国発の国際
2010年にAUTOSARコンソーシアムに
標準化を目指し世界基準とする。
JASPAR版BSWの主要技術である
「プロファイル」、クラスタ」コンセプト
について提案を行った。AUTOSARか
ら高い評価を受け、規格化する方向
で現在調整中である。
達成
40
3.目標、成果、目標の達成度②
個別要素
目標
成
果
達成度
Ⅱ.ソフトウェア工学に 1)構造設計から単体テストまでのプロセス 2)高品質な製品を生み出す日本の開発プ
基づく高効率な開発
について、開発の負荷軽減、信頼性向
ロセス(すり合わせ型)に、欧米流のプ
環境の整備
上を意識し、設計パラメータ削減を実現
ラットフォームベース開発(組合せ型)の
するツールチェーンを開発・実装評価す
方法論を融合した、ツールチェーンを開
る。
発。大幅なパラメータ設定項目の削減
(AUTOSARに対して75%削減)が可能と
なり、開発生産性・信頼性を向上させた。
達成
Ⅲ.中小の組込みソフト 1)IPA/SECが公開しているETSS
1)本開発成果の国際標準化に向けて、
ウェアメーカの育成
(Embedded Technology Skill Standards)
2010年にAUTOSARコンソーシアムに
を土台にして,車載制御ソフトウェア技
JASPAR版BSWの主要技術である「プロ
術スキル診断手法(自動車版ETSS)を
ファイル」、クラスタ」コンセプトについて
整備する。それによって、スキルの見え
提案を行った。AUTOSARから高い評価
る化、及び技術力向上項目の特定化を
を受け、規格化する方向で現在調整中
図り、技術者のスキル向上に繋げる。
である。
達成
2)IPA/SECで開発中のEPM (Empirical
2)プロジェクト管理指標と品質指標を組み
Project Monitor)と、品質指標(ESQR)な
合わせて開発進捗状況の見える化手法
どを組合わせることで開発進捗状況の
を開発して、本事業に適用した。開発者
実情を発注側が把握できるようにし、受
のスキルと開発進捗に強い相関が確認
注側のマネージメント力向上に繋げる。
でき、マネージメントツールとしての有効
性を確認できた。
達成
4.事業化、波及効果
41
1)本事業の製品化
◆(株)チェンジビジョン
◆イーソル(株)
2)JASPAR版ETSSの活用
◆システムサプライヤ、自動車メーカでは、自社の人材のソフトウェア技術力把握・向上のため、JASPAR版ETSSを
用いた診断を実施する企業が見られる。
◆車載電子制御システムの委託・請負業務を行う企業に対しても、JASPAR版ETSSによる診断を実施させ、発注
する業務が行えるレベルにあるのか、また、業務改善点の抽出などに利用されるケースが見られるなど広く普及、
活用されている。
42
5.研究開発マネジメント・体制等
自動車メーカ
情報処理推進機構
(IPA/SEC)
協力
経済産業省
支援
トヨタ自動車(株)
日産自動車(株)
(株)本田技術研究所
マツダ(株)
大
手
企
業
JASPAR
サプライヤ
(株)デンソー
日立オートモティブシステムズ(株)
(株)ホンダエレシス
(株)ケーヒン
カルソニックカンセイ(株)
日本精機(株)
半導体メーカ
<中小企業>
・組込みソフトメーカ
・ツールメーカ
NECエレクトロニクス(株)
(株)ルネサステクノロジ
富士通マイクロエレクトロニクス
組込みソフトウェアメーカ/ツールメーカ
マッチング
<大手企業>
・自動車メーカー
・サプライヤ
・半導体メーカ
●中小企業の開発作業に
対する支援(人件費)
●大手企業とのマッチング
機会の創出
人件費等の支援を受けた企業
中
小
企
業
(株)アドバンスド・データ・コントロールズ
(株)アックス
イーソル(株)
(株)ヴィッツ
(株)永和システムマネジメント
(株)OTSL
(株)ガイア・システム・ソリューション
ガイオ・テクノロジー(株)
キャッツ(株)
(株)サニー技研
(株)チェンジビジョン
(株)日立情報制御ソリューションズ
富士ソフト(株)
(株)未来技術研究所
横河ディジタルコンピュータ(株)
6.評価
6-1.総合評価(コメント)
○車載電子制御システムの共通基盤ソフトウェア及びその開発環境の整
備を業界横断的に推進できたことの意義は大きい。
○その中で、ベンチマーク評価によってAUTOSAR版の諸性能に対する優
位性を示せたこと、それによって日本の実情に合った形でAUTOSAR規
格の修正を提案して採用される目途が立ったこと、また、「すり合わせ
型」手法と「組み合わせ型」手法を高度に融合した新たな開発環境の整
備について大きな成果を上げたこと、それによって競争領域・共通領域
の概念を業界に浸透させられたこと等も高く評価できる。
○一方で、AUTOSAR規格の適合にとどまらず、車載電子制御システムの
ソフトウェア規格の主導権を握るところまで達して欲しかった。今後に向
けては、ビジネスモデル的な視点に立った共通領域と競争領域の境界
線や、国が支援すべき領域についての議論を重ねるべきである。また、
精緻な評価のためには、産業界へのインパクトについて定量的評価等
も必要と思われる。
43
44
6-2.評点結果
○「経済産業省技術評価指針」に基づき、事後評価において、評点法による 評価を実
施した。
平均点
(各項目:3点満点)
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0.00
2.20 2.20 2.00 2.00 2.40
標準偏差
2.00
45
7.提言及び提言に対する対処方針
今後の研究開発の方向等に関する提言
○現在のクラウドサービスの展開の中でどのよ
うな開発環境やソフトウェア、プロセスを標準
化して提供していくかが重要になってきてお
り、その観点からの分析が求められる。ま
た、日本の優位性を活かすためには、形式
化された開発プロセスの中で擦り合わせが
できることが不可欠であり、このような枠組
みを構築する事業がこれからの日本に不可
欠である。従来の古典的なソフトウェア工学
をあてはめるのではなく、独自のソフトウェア
工学を構築することを目指すべきである。
提言に対する対処方針
○我が国独自の開発プロセスであるすり合わ
せ型手法と、欧米流の開発プロセスである
モジュール型手法を適切に融合させること
の重要性は本事業を通して再認識したとこ
ろであり、今後も検討してまいりたい。
46
IT投資効率向上のための共通基盤開発
プロジェクト(情報家電分野 組込ソフト
ウェア)の概要について
商務情報政策局
情報経済課
47
1.プロジェクトの概要
概
要
実施期間
予算総額
実 施 者
プロジェクト
リーダー
我が国の生産性と競争力の向上のため、重複投資が行われているIT資産を競争領域
と非競争領域に峻別し、非競争領域のIT資産を有効活用する仕組みとして、企業横断
的に利用可能な共通基盤の研究を実施。情報家電製品などを対象とし、海外調査や
オープン化なども行うことで、国際的に通用する共通基盤の構築を目指す。
平成20年度~平成21年度(2年間、但し単年度毎の契約)
8.5億円
(平成20年度:4.5億円 平成21年度:4.0億円)
技術研究組合 超先端電子技術開発機構(ASET)
湯澤 真也
ASET研究部長
48
2.事業の目的・政策的位置付け①
■事業の目的
日本の強みである情報家電領域において、ソフトウエア開発の投資効率向上を
目指し、共通基盤であるメディア処理用プラットフォームを確立する。
拡大著しいネット連携メディア処理市場にフォーカスし、
クリティカルマスをクリアする分業ソリューション開発へ貢献を目指す。
M Units
300
500%
市場拡大
その他ネット端末
200
ネット対応DTV
100
ネット対応STB
0
2008
2013
49
2.事業の目的・政策的位置付け②(再掲)
○組込みソフトウェアの重要性が高まる中で、品質に関するニーズの高まり(社会的要因)、機能安全に
関するISOでの規格化(国際的要因)等の対応も迫られているところ。大学等の研究機関とも連携を図
りつつ、業界が連携を図って諸課題の解決を図る。
○経済産業省においては、我が国の基幹産業であるとともに、より高度な制御が求められる自動車分
野、情報家電分野に着目して、研究開発事業に実施。
【国際的な要因】
・国際規格(機能安全)の検討が進行。
<産業構造の転換>
○組込み産業の現状認識
・製品付加価値の源泉
・高い技術力保有(高信頼ソフ
トウェア開発・生産)
産学連携ソフトウェア
工学実践事業
IT投資効率性向上のための共
通基盤開発プロジェクト
・垂直統合から水平統合へ
構造転換
・海外市場への展開
中小
システム
基盤環境
整備事業
<技術基盤強化> 品質
・共通基盤技術の開発
・安全安心の規格化
(国際標準)
我が国製造業等、組
込みシステム産業の
国際競争力強化
【社会的要因】
・製品開発サイクルの短縮化、開発コストの低減、更なる多機能・高機能への対応
・品質(安全・安心)への強い関心
○自動車産業、情報家電産業は我が国の基幹産業
エレクトロニクス
12% 106万人
自動車 11%
90万人
従業員数
(全製造業)852万人
エレクトロニクス
13% 45兆円
自動車 17%
57兆円
製造品出荷額等
(全製造業)337
兆円
(出所)経済産業省「工業統計調査(2009年2月)」
50
3. 成果、目標の達成度①
共通部分の開発効率向上のため情報家電分野における共通ソフトウェア・プ
ラットフォームを開発し、ソフトウェアの開発効率や流通を促進する。そのた
めメディア・インタフェース用APIを策定し、その移植性と妥当性を実証した。
要素技術
目標・指標
成
果
達成度
メディア・インタフェース デジタルTV等メディア処理をア メディア・インタフェース用API仕様を策定
用API仕様の策定
プリケーション層とメディアフ し、「OMI関数仕様書」、「OMIチェーン仕様
レームワーク層に分離するため 書 ISDB-T再生編」、「OMIユーザーズガイ
メディア・インタフェース用API ド」を纏めた。
仕様の策定を行う。
達成
メディア・インタフェース用API
メディア・インタフェース の仕様を用いて正しくマルチメ 3社(NECエレクトロニクス、東芝、ルネサス
テクノロジ)が所有する評価開発システム上
用APIの実証開発
ディア処理を実行できることを3 で実証開発を行い、メディア・インタフェー
社(NECエレクトロニクス、東芝、
ス用APIが仕様が機能面、性能面、品質面で
ルネサステクノロジ)のLSIを使 問題ないことを確認した。抽出した課題につ
用した試作ボード上で確認完了 いては各メディア・インタフェース用API仕
する。
様書に対してフィードバックを行った。
達成
51
3. 成果、目標の達成度②
要素技術
目標・指標
メディア・インタフェース デジタルTV対応のマルチメディ
用拡張API仕様の策定
ア用インターフェースを基に、
DLNAやインターネットなどネッ
トワークに対する仕様拡張と、
録画再生等の複合動作に対する
拡張を行う。
成
果
拡張仕様を策定し、「OMI基本仕様書」、
「OMIチェーン仕様書 ネットワークメディ
ア再生編」、「OMIチェーン仕様書 分離AV
入力再生編」、「OMIチェーン仕様書 ISDBT録画編」、「OMIチェーン仕様書 録画済TS
再生編」、「OMIチェーン仕様書 DTV再生
編」を纏めた。
メディア・インタフェース メディア・インタフェース用拡 3社(NECエレクトロニクス、東芝、ルネサス
用拡張APIの実証開発
張API仕様に基づき、開発評価シ テクノロジ)が所有する評価開発システム上
ステム上で実証開発を行い、こ で実証開発を行い、拡張仕様が機能面、性能
れらの拡張仕様が機能面、性能 面、品質面で問題ないことを確認した。抽出
面、品質面で十分であることを した課題については各拡張仕様書に対して
確認し、抽出した課題について フィードバックを行った。
前期API仕様にフィードバックを
行う。
ハードウェア仮想化インタ
HAL仕様書として、「HAL概要説明書」、
フェース(HAL)仕様の策
HAL標準仕様を開発し、テスト検 「HAL基本仕様書」、「HAL機能仕様書」、
定
証を完了した仕様書として第三 「HAL用語・略語集」を纏めた。
者に提示可能とする。
達成度
達成
達成
達成
52
3. 成果、目標の達成度③
要素技術
目標・指標
成
果
達成度
異なるハードウェア上で同じ機 HAL仕様を元に実証システムを開発し、HALを
能を実現するデバイスドライバ 導入した場合、新規でハードウェア操作に必
のHAL上でのソフトウェアの移植 要なコード量が56.7%削減できること、また、
性実証を完了する。
他のLSIへ開発したHALを転用する際に得られ
る削減効果は平均79.6%であることを確認し
た。また、HALを導入することによるレスポ
ンス低下率は限定的(1%~4%)であることを
確認した。
デバイスHALの適用範囲を拡大し
HAL仕様範囲拡大および実 ブートローダーに対するHALの検
証開発
討、USB HAL等の定義と仕様策 HAL概要説明書(V2.00)、機能仕様書
定を行う。ブートローダがハー (V2.00)を纏め、HAL対応ブートローダとUSB
ドウェア固有部から分離され再 関連デバイスのHAL対応を実施し、デバイス
HALに対応したデバイス・ドライバは100%再
利用性の向上を実現する
利用できることを確認した。
HAL仕様の効果実証
達成
達成
53
3. 成果、目標の達成度④
要素技術
移植性検証
標準化支援活動
目標・指標
成
果
拡張仕様に対する実証開発を通 ISDB-T以外の他地域対応のミドルウェアの移
じてメディア・インタフェース 植が可能か、Linux以外のOSに変更してシス
用API仕様についてソフトウェア テムが構築できるか、本APIを実現するメ
移植は再利用性に関し、ISDB-T ディアフレームワークが他の基本ソフトウェ
以外の他地域対応ミドルウェア アやハードウェアに対して用意に移植可能か
による視聴検証を行う。更に、 確認し、本APIがソフトウェアの移植性にた
OS変更による移植性に対しても、いして有効であることを確認した。
Linux以外にRTOS上での動作実証
を行い、ハードウェア、OS、ミ
ドルウェアの各視点で、ソフト
ウェアの移植性検証を行う
協議会と連携してメディア・イ メディア・インタフェース用APIに対して協
ンタフェース用APIを広く普及さ 議会参加企業よりフィードバックを頂き、仕
様に反映させた。
せる
達成度
達成
達成
54
4. 事業化、波及効果①
4-1 事業化に向けた本プロジェクトの効用
① 市場拡大
 LSIベンダー、ミドルベンダー、SI’erなど、装置開発市場形成に必要な補完協力関係形成が標準
APIを利用して進むため、新たな情報家電分野への水平分業型サプライヤー体制を形成し、普及型
装置の開発に貢献、ひいては、市場の形成/普及を加速できる。
 情報家電と同様の技術が使える周辺市場へ、 LSI、ミドルウエアの流通性を向上させ、商機展開を
図れる。
② コスト削減
 生産プロセス内での再利用性向上により、開発コストが削減できる。
 共通仕様によるSW流通化促進により、生産全体のコストが削減できる。
 将来機能追加への対応力で、ロングライフでの活用によるコスト低減ができる。
リプレース対応を目指す
装置メーカー クリティカルマス越えを
目指す普及コストの実現 多品種展開対応
の要望
→展開コストの低減
→調達コストの低減
販
売
量 普及機展開に向け
調達コスト低減
が求められる時期
クリティカル
マス ●
導入期 成長期
リプレースを狙い
容易な多仕様展開が
求められる時期
本PJの
の策
分業化による
ターンキー型
ソリューション整備
標準PF提供と
多くのMW等メーカーの
賛同推進
MWメーカー/
時間 中間企業の
成熟期
衰退期
メリット
市場拡大による
商機拡大
継続維持による商機確保
4. 事業化、波及効果②
4-2 各企業に対する効果
 情報家電機器メーカ
• 装置開発時のソフト開発費'調達含む(を削減で
きる。
• 標準APIで動く複数のミドルウェアメーカから最適
なミドルウェアが選択可能となり、機能展開も容
易になる。
• 市場形成時から成熟期まで、SWプラットフォーム
のロングライフ適用で開発時の乗り換えコストを
削減できる。
 ミドルウェアメーカ
• 標準APIによりH/Wの差が隠蔽され、複数の半導
体メーカーのH/Wに対応が容易になり、ビジネス
機会が拡大する。
 半導体メーカ
• 標準APIへ複数のミドルウェアメーカーが対応する
ことにより、ミドルウェアの整備費用削減が可能
となる。
• 標準APIにより、LSI開発前にミドルウェア整備が
進むため、LSI開発後直ちに、ミドルウェアを含め
た市場参入が可能となる。
55
55
56
4. 事業化、波及効果③
4-3 経済効果
←
 本プロジェクト成果の活用により、従来は個
別ビジネス提供レベルの開発費用程度で、タ
ーンキーレベルの開発ができる。
本PJのAPIにより改善される
開発投資モデル
機
能
ターンキー
レベル
個別ビジネス
提供レベル
従来の開発投資モデル
開発費小
開発費大
←1/開発費
→これにより日本企業がグローバルな情報家電展開ビジネスへ本格参入することが可能となる。
→API採用による組み込み市場SW開発費低減による、装置のコスト対応力強化
'兆円(
10
SW階層化とAPI規定でSW資産化実現による開発費低減
-30%
9
8
7
従来の個別SW開発に
よるSW開発費推移
-20%
-18%
6
5
4
3
2
1
0
2009
2010
2011
2012
2013
57
5.研究開発マネジメント・体制等①
全体スケジュール
H20年度
経産省委託事業
標準SWPF
開発活動
'ASET研究部(
H21年度
H22年度
次世代情報家電向け標準SWPF確立
情報家電向け
SWPF基盤の確立
基本API確立▲
基本'DTV(実証▲
次世代情報家電
用拡張機能整備
ネット融合/
複合機能整備▲
実証▲
標準SWPF整備連携
協議会活動
シャープ、日立製作所、東芝、パナソニック、三菱電機、アプリッ
クス、富士ソフト、sMedio、ルネサスエレクトロニクス、東芝デ
ジタルメディアエンジニアリング
協議会設立▲
標準APIレビューと
フィードバック活動
標準API仕様レビュー&
フィードバック活動
普及活動
標準化方針
検討活動
標準化方針検討
・水平分業ビジネスモデル検討
・標準化方式検討
・標準化運営体制検討
・組込みSW企業向け勉強会実施
・標準化団体との情報交換
・普及活動運営体制検討
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5.研究開発マネジメント・体制等②
実施体制
経済産業省
普及活動
委
託
次世代情報家電
ソフトウェア・
プラットフォーム
協議会(10社)
ASET本部
次世代情報家電ソフトウェア・プラットフォーム研究部
ASET分室
DIA-N研究室(NECエレクトロニクス内)
1.標準API策定(共同)
2.実証システム開発
3.HAL実証
DIA-T研究室(東芝内)
1.標準API策定(共同)
2.実証システム開発
DIA-R研究室(ルネサステクノロジ内)
1.標準API策定(共同)
2.実証システム開発
成果提示
情報提供
仕様レビュー
活動方針検討
事務局(ASET内)
・協議会/
教育イベント実施
幹事会
・連絡会(仕様
維持)
・普及検討
・情報交換
6.評価
6-1.総合評価(コメント)
半導体産業(ハードウェア)のもの作りの分野にソフトウェアの発想を注
入したことの意義は大きい。また、情報家電の分野において、企業の枠
を越えて共通APIを開発・実装することで企業が競争力をえられるととも
に、ミドルウェアに対して統一的なAPIを提供することで生産性が向上す
る。さらにこのAPIが事実上の業界標準になれば、多くの関連業界のコ
スト削減に向けてのスパイラル構造が可能となり、波及効果は大きい。
一方で、Androidの登場等オープンソースソフトウェアの動向や世界中
の半導体ベンダーの動向を意識した商品化行う国内の有力なテレビセッ
トメーカとの協業体制が不調となり、本プロジェクトの成果物の価値を大
きく減じている。そして、成果を波及していくにあたっては、標準化活動を
展開するよりもデファクト・スタンダードとして採用されていくべきと考えら
れ、セットメーカを含む国内企業がオールジャパンでの採用が得られる
よう本プロジェクト終了後も地道な普及活動が肝要である。
59
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6-2.評点結果
○「経済産業省技術評価指針」に基づき、プロジェクト事後評価において、評点法による 評価を実施した。
○ 「事業化、波及効果についての妥当性」 、「成果、目標の達成度の妥当性」 :一部についての事業化や波
及効果は理解するも、セットメーカ含む情報家電産業界全体での明確な成果は見られないとの判断から。
○「研究開発等の目標の妥当性」、「研究開発マネジメント体制・資金・費用対効果当の妥当性」: オープンソ
フトウェアの動向等グローバル市場の環境変化への対応に懸念があるとの判断から。
○「総合評価」、「事業の目的・政策的位置付け」:企業の事業計画として取り組むことが可能だったのではな
いか等の国の事業としての妥当性に対する懐疑的な判断から。
平均点
(各項目:3点満点)
標準偏差
4.00
3.50
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0.00
1.40
1.40
1.40
1.60
1.00
1.40
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7.提言及び提言に対する対処方針
今後の研究開発の方向等に関する提言
○現在のクラウドサービスの展開の中でどのよ
うな開発環境やソフトウェア、プロセスを標準
化して提供していくかが重要になってきてお
り、その観点からの分析が求められる。ま
た、日本の優位性を活かすためには、形式
化された開発プロセスの中で擦り合わせが
できることが不可欠であり、このような枠組
みを構築する事業がこれからの日本に不可
欠である。従来の古典的なソフトウェア工学
をあてはめるのではなく、独自のソフトウェア
工学を構築することを目指すべきである。
提言に対する対処方針
○ご指摘のとおり、我が国独自の開発プロセ
スであるすり合わせ型手法と、欧米流の開
発プロセスであるモジュール型手法を適切
に融合させることの重要性は認識しており
、今後検討してまいりたい。