2016 年度 化 学

2016 年度
化 学
■ 大学(日程):九州大学(前期)
■ 出題構成(時間/配点):理科2科目で 150 分/配点は学部により異なる
大問
形 式
分野・内容 等
難易度
変化
〔1〕
空欄補充
選択,記述
理論
水素結合,分子の構造,相図
標準
→
〔2〕
計算
理論
反応速度
やや難
→
〔3〕
空欄補充
計算
理論
熱化学,物質量の計算
やや難
↑
〔4〕
記述,計算
有機
脂肪族化合物の構造決定
標準
↓
〔5〕
空欄補充
記述,計算
有機
アミノ酸に関する知識問題,ペプチド
やや難
↑
※難易度変化…↑難化/→昨年並み/↓易化
※難易度は九州大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■ 出題傾向
・2014 年度以降,大問5題の出題が続いている(それ以前は大問6題)。
・出題形式は,問題文の空欄補充や計算問題が多い。
・近年,論述問題は出題されないことのほうが多い(ここ5年では 2012 年度以外は出題なし)。出題
されても字数は多くなく,内容も頻出項目がほとんどである。
・かつては解答方針が立てやすい標準的な問題が中心である反面,煩雑な計算問題が多い傾向にあっ
たが,ここ2年で急激に難化した。いずれにしても,時間配分には十分注意する必要がある。
・理論分野の計算問題の出来,有機高分子化合物の知識量が,全体の出来を左右する。
・無機の割合は比較的少ない。分野の偏りが毎年変動しているが,理論を重視する傾向がある。
■ 2016 年度入試の特記事項
・無機に関する知識が,まったくといってよいほど問われなかった。
・例年多く見られた煩雑な計算は出題されなかった代わりに,難度の高い問題が増加した。どの大問
にも,細かい知識または思考力を要する小問が含まれていた。
・〔1〕問5を受験生に知識として問う,あるいは試験中に考えさせるのは難しいだろう。
・〔2〕は反応速度に関する問題で,2年連続の出題である。抽象的であり粘り強さが必要。この大
問でどれだけ得点できたかが合否の分かれ目になった可能性がある。
・〔3〕問2は,丁寧な誘導があるものの,今,自分が何を求めているのか整理できないと混乱する。
・〔5〕は,アミノ酸の構造,とくに側鎖に不斉炭素原子をもつアミノ酸としてイソロイシンを知っ
ていないと失点が重なる。また,臭素酸ナトリウムが酸化剤であることに気付き,これがどの部位
を酸化するかまで予想できないと,問5は正解できない。
■ 求められる力とその養成
・基本知識の習得は全分野抜かりなく行う必要がある(全体の出来を左右する有機高分子化合物も時
間をかけて知識を習得しておくこと)。そして,基本知識を幅広く応用する力も養う必要がある。
・煩雑な計算をともなう計算問題については,再び出題される可能性に備え,練習を積んでおきたい。
・ふだん見慣れない実験装置やグラフを扱った出題などもあるので,粘り強く題意を読み取る姿勢が
重要となる。