早稲田大学 文学部 国語 講評

早稲田大学 文学部 国語 講評
〔総合分析〕
出題形式
試験時間
難易度
マーク式・記述式併用
90分(現代文2問、古文1問、漢文1問)
昨年比、難化
〔大問別講評〕
(一)
評論文。「戸坂潤という思想家」について。
出典:鶴見俊輔 『戸坂潤
獄死した哲学者』。
《本文字数:約 4900 字=昨年より約 1300 字増加。設問数:8=昨年と同じ。》
小問
問一
難易度
コメント
やや難 【理由説明】最初の4段落から判断する。いずれも紛らわしいが、「批評の原理の一貫
性」=4行~5行、について書かれているニを選ぶ。
やや易 【空欄補充】直後の「悟性」との対比である。
やや難 【空欄補充】空欄Bを含む段落内容から判断する。イは「全く新たな問題」が不適切。
標準
【傍線部理解】「超党派的」をヒントに探す。74行目にある。
やや難 【理由説明】ハは、「性格的概念」が「形式論理学を拡張できる」とする点が誤り。
標準
【傍線部理解】戸坂が批判の対象としていないものを選ぶ。
やや易 【空欄補充】空欄Cを含む一文は、直前の一文の言い換えであることから判断できる。
標準
【論旨合致】消去法が有効だろう。イ以外の選択肢は、いずれも後半が不適切。
問二
問三
問四
問五
問六
問七
問八
(二)
評論文。「雑誌メディアの可能性」について。
出典:河崎吉紀 『想像の読者共同体』。
《本文字数:約 2700 字=昨年より約 100 字減少。設問数:9=昨年と同じ。》
小問
問九
問十
問十一
問十二
問十三
問十四
問十五
問十六
問十七
難易度
コメント
易
【脱落文挿入】「雑誌の全貌」については第2段落にある。
やや難 【傍線部理解】傍線部Aの「『青年』」という語はカギかっこ付きで比喩的に使用され
ている。その説明は27行~28行にある。ロは、「学生時代のある一時期だけ」と
という強い限定が不適切。
やや難 【傍線部説明】空欄Bを含む段落内容から判断する。アンダーソンの『想像の共同
体』の内容を知らないと難しい設問である。
標準
【空欄補充】空欄Ⅰの直前の内容から判断する。
標準
【空欄補充】空欄Ⅱの直後2行から判断する。
標準
【傍線部説明】イは「実体のある…成り立っている」がやや疑問だが、他の選択肢は
いずれも後半部が明らかに誤りである。
標準
【空欄補充】「雑誌メディアの重要性」を表す語句を探す。29行目にある。
標準
【論旨合致】イとハは後半部が誤り。ロは「長期間…読み継がれる」が不適切である。
標準
【漢字書き取り】いずれも正確に書きたい。
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(三)
古文。出典: 『大鏡』。
《本文字数:約 850 字=昨年より約 50 字増加。設問数:8=昨年と同じ。》
小問
問十八
問十九
問二十
問二十一
問二十二
問二十三
問二十四
問二十五
(四)
難易度
やや易
標準
標準
易
標準
やや難
コメント
【空欄補充】前後の文脈で判断する。紛らわしい選択肢はない。
【傍線部理解】直前の「また」に着目し、前との並列関係を意識する。
【主語判定】各傍線部とも前後の文脈で判断できる。➀の主体は、世の中の人。
【文法】敬語動詞を覚えていたかどうか。基本である。
【空欄補充】伊尹が、蔵人頭を希望するつもりはない、と言っている場面。
【傍線部理解】傍線部までの内容、及び、傍線部の「はかる(謀る)」「べし」「やは」
に着目する。ロが紛らわしいが、傍線部の「べし」が反映されていない。
やや難 【傍線部理解】本文全体から判断する。蔵人頭への任官をめぐって伊尹が騙した
こと、従者の行動への弁解に訪れたときの伊尹の応対、を朝成がどうとらえた
のかを考える。
易
【文学史】『大鏡』は平安後期成立の歴史物語。どの選択肢も基本である。
漢文。出典:『孔子家語』「好生」。
《本文字数:276 字=昨年と同じ。設問数:4=昨年と同じ。》
小問
問二十六
問二十七
問二十八
問二十九
難易度
コメント
標準
【空欄補充】前の「君子…侮之」のつながりから、反語文であることを見抜く。
やや難 【傍線部理解】前の「所欲…聞之」とのつながりから、君子が何のために民を傷つけ
ないと言っているのかをつかむ。
やや難 【傍線部理解】前の「所欲…害人」、及び、後の「遂独…之下」から考える。
標準
【内容合致】本文の主旨をとらえる設問。ハは「自然と慕われる」「民の声を聞き入れ
る」が不適。
〔総合コメント・今後の指針〕
【ズバリ!的中!】
(三) 『大鏡』 が、『59 システム古文読解 11 段』 と同内容でした。
全体の難易度は、昨年より難化した。
大問一は、「戸坂潤という思想家」についての評論文。昨年より難化した。例年の大問一よりも抽象度
の高い文章であり、差がつくだろう。基本・標準レベルの設問は得点しておきたい。
大問二は、「雑誌メディアの可能性」についての評論文。昨年よりやや易化した。問十一は『想像の共
同体』に関する設問。難関大受験生は、国民国家についての論点はしっかり把握しておきたい。
大問三は、『大鏡』。昨年よりやや難化した。選択肢の紛らわしさはないので、主語を的確にとらえて内
容をつかめていれば得点できる。ふだんの古文の学習が結果に素直に結びつく良問だろう。
大問四は、『孔子家語』。昨年よりやや難化した。本学部の漢文は、句形や単語の知識だけで解ける設
問は少なく、内容をしっかり把握しないと解けない設問がほとんど。漢文の学習もしっかりしておきたい。
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