2016 年度 化 学

2016 年度
化 学
■ 大学(日程):首都大学東京(前期)
■ 出題構成(時間/配点):理科2科目で 150 分,1科目で 75 分/配点は学部により異なる。
■ 分量/難易度の変化(昨年度比):変化なし / やや易化
大問
1
形 式
記述・計算
選択
理論
2
記述・計算
有機
3
計算・論述・
記述・描図・
選択
理論
分野・内容 等
難易度 変化
酸化還元滴定,酸化還元の反応式,器具の選択,
標準
↓
酸と塩基での二クロム酸イオンの性質,溶解度積
元素分析と構造決定,アルキル基の酸化,縮合反
応,ニトロ化と配向性,有機化合物の分離,DNA 標準
→
の塩基組成,ヌクレオチド構成単位の式量
反応速度の測定実験,測定条件,水上置換法,濃
度と時間変化のグラフ,反応速度式,速度定数の やや難 →
増加条件
※難易度変化…↑難化/→昨年並み/↓易化
※難易度は首都大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■ 出題傾向
・例年,大問3題の出題。出題分野は,ほぼ(理論+無機):有機=2:1である。
・すべて記述式で,字数制限のある論述問題(20~100 字程度)が毎年数問出される。なお,2012
年度には字数制限のない小問も出題されている。
・ほとんどの計算問題で,答えの導出過程や計算過程を示すよう指示される。
・解答時間に対して問題量は適量であり,受験者層から考えると合格には高得点が必要であろう。
・問題量に大きな変化はないが,近年,最後の大問でレベルの高い理論分野から出題されている。
・理論分野では,化学平衡,反応速度や気体の溶解度,気体の法則を用いた計算がよく問われる。
■ 2016 年度入試の特記事項
・1は基本的な問題であった。ただ酸化還元の反応式の中では頻出であるが書きにくい,二クロム
酸カリウムとシュウ酸の反応式であった。ここを落とすと様々なところで失点する。
・2の問1は比較的考えやすい問題であった。知らなくても解けないことはないが,官能基による
配向性について理解できていると簡単に解答できた。問1は完答したい。問2はあまり見ない問題
であったが,解きにくいことはない。(3)は塩基対の数であるが,ミスのないようにしたい。
・3は論述も含む問題である。問3の問題は基本的であるが,50 字以内の指定があるので,丁寧に
解かなければならない。問8の論述の方が答えにくい。今回の3は問5がキー問題になっている。
この関係式が後の問題の解答につながった。問6から問9は時間がかかる。3で差がつくだろう。
■ 求められる力とその養成
・標準的な問題や頻出問題を確実に得点する練習を重ね,不得意分野をなくすことが大切である。
・論述問題は,基本事項を正しく理解していれば解けるものが多いが,出題割合が大きい年度もあり
字数制限に慣れること。とくに実験はしっかり考察し,操作や現象をまとめる練習をしておこう。
なお,理論の論述問題が多い。溶解度・反応速度・分圧・平衡など頻出事項の基本概念をしっかり
理解しておくことが大切である。
・理論分野については,難度が高めであるので複雑な問題も道筋を理解しながら解いておくことと,
疑問点をなくすことを心掛けておきたい。
・標準より少し難易度の高い頻出問題がよく出る。論述問題や計算過程については,ポイントを外さ
ないことが必要であり,第三者の視点が重要かつ効果的である。添削指導を活用して力を高め,自
信をつけておいてほしい。