2016年6月9日 投資情報室 オーストラリアレポート オーストラリア経済とリート市場の動向について 豪州準備銀行の政策金利据え置きと豪ドル相場 豪州準備銀行(RBA)は政策金利を1.75%で据え置き。RBA総裁は政策の様子見姿勢が適切との見方を示す。 2016年1-3月期の豪実質GDPは前期比+1.1%と市場予想を上回る。純輸出や民間消費が成長の押し上げに寄与。 足元の豪州景気は業種や部門によってまだら模様。経済指標次第では、RBAが追加利下げを実施する可能性も。 インドが追加利下げ 今年4回目 鉄鉱石価格安定や米利上げ観測後退などから、豪ドル相場に下げ止まりの兆し。海外投資家の豪州株投資は継続。 RBAは金利を据え置き、政策の様子見姿勢を示す 豪州準備銀行(RBA)は6月7日の金融政策理事会におい て、大方の市場予想通り、政策金利を1.75%で据え置く決 定を下しました(図1)。 スティーブンスRBA総裁の声明文では、「政策の据え置き姿 勢を維持することが持続可能な経済成長とインフレ改善と整 合的である」と現状の様子見姿勢が示されました。 豪州の1-3月期実質GDPは市場予想を上回る 図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率 (%) 5.0 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 豪州の2016年1-3月期の実質GDPは市場予想(前期比 1.5 +0.8%)を上回る前期比+1.1%のプラス成長となり、景気の 1.0 底堅さを示しました。実質GDPの需要項目別の内訳を見る と、1-3月期は純輸出や民間消費が成長の押し上げに寄与 した一方、企業の設備投資などの落ち込みがみられました (図2上段)。 豪州景気は業種や部門によってまだら模様 産業別の実質GDPでは、資源輸出の拡大を背景に鉱業 が前期比+6.2%と高い成長となったほか、サービス業も前期 比+0.7%と底堅い成長を示しました(図2下段)。一方、建 設業(前期比-1.1%)や製造業(前期比+0.2%)では弱含 みの動きがみられるなど、足元の豪州景気は業種や部門に よって強弱が分かれるまだら模様の情勢が続いていると考えら 豪州準備銀行の政策金利 (キャッシュ・レート) 4.5 インフレ目標 レンジ(2~3%) 09 今回のRBA理事会では先行きの金融政策の方向性(ガイ ダンス)は示されなかったものの、今後公表される景気やインフ 11 12 13 14 15 16 (年) (出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS) (期間)基調インフレ率:2009年1-3月期~2016年1-3月期 政策金利:2009年1月1日~2016年6月7日 (注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値(平均値を算出する際、 データの最大値と最小値付近の値を計算から除外)と加重中央値の平均により 算出。 図2:豪州の実質GDP成長率の寄与度分解 (前期比、%) 純輸出 2.5 2.0 在庫 1.5 1.1% 1.0 総固定資本 形成 政府消費 0.5 0.0 ‐0.5 民間消費 ‐1.0 実質GDP ‐1.5 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q れます。 今後の指標次第では追加利下げの可能性残る 10 1.75% 1.6% 基調インフレ率 (前年比) 13 1.5 14 15 16 (年) (前期比、%) その他 1.1% 建設業 1.0 製造業 0.5 農林漁業 レ指標の結果次第では、RBAが追加利下げを実施する可 能性は残されているとみられます。ブルームバーグ集計の市場 0.0 コンセンサス(6月3日時点)では、8月2日のRBA理事会での ‐0.5 0.25%の追加利下げを予想する見方が大勢となっています。 鉱業 サービス業 実質GDP 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 13 14 15 16 (年) (出所)ABS ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセット マネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考 えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値 等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮し ておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保 証するものではありません。 1/3 (審査確認番号H28-TB56) 下げ止まりの兆しみられる豪ドル相場 図3:豪ドルの対米ドル、対円相場の推移 RBAが5月3日に利下げを決定して以降、豪ドル相場は弱 含みの傾向にありましたが、足元の豪ドル相場は下げ止まり (米ドル) (円) 95 0.95 2016年5月3日 RBAが利下げ決定 の兆しがみられます。豪ドルの対米ドル相場は1豪ドル=0.74 90 米ドル前後へ小幅上昇しているほか、対円相場も1豪ドル= 80円前後での推移が続いています(図3)。この背景には次の 0.90 85 0.85 豪ドル高 二つの点があると考えられます。 80 中国の住宅需要回復が鉄鉱石価格を下支え 75 0.75 第一に、豪州の主要輸出資源である鉄鉱石価格が1トン 70 =50米ドル近辺で安定化しつつあることが挙げられます。 0.70 豪ドル安 2016年は中国の主要都市で住宅価格が上昇局面へ移行 しており、中国での住宅建設需要の回復が鉄鉱石価格の 0.80 対円レート(左軸) 対米ドルレート(右軸) 65 15年7月 0.65 15年10月 16年1月 16年4月 (出所)ブルームバーグ (期間)2015年7月1日~2016年6月7日 下支え要因になっていると考えられます(図4)。 RBA利下げ観測の豪ドル相場への影響は限定的 第二に、RBAによる5月3日の利下げ決定以降、豪州では 図4:中国向け鉄鉱石価格と中国の住宅価格の推移 (前年比、%) 12 (米ドル/トン) 200 中国向け鉄鉱石価格(右軸) RBAの追加利下げ観測が残っていますが、米国でも5月雇 10 用統計の低迷を受けて連邦準備制度理事会(FRB)による 8 160 利上げ観測が後退しつつあります。主要国の金融政策の方 6 140 4 120 2 100 0 80 向性に明確な違いが見えない中では、豪州国内の金利要 因だけでは豪ドル相場への影響は限定的となりやすいと考え られます。 ‐2 RBAの追加利下げ観測や世界的な金利低下基調を背景 に、6月6日には豪10年国債利回りは史上最低水準である 2.16%へ低下しました。もっとも、マイナス金利政策を導入し ている日本や欧州と比較すると、豪州の10年国債は相対的 になお高水準にあり、豪州国債はなお海外投資家の資金を 180 60 中国主要70都市 新築住宅価格指数(左軸) ‐4 ‐6 40 20 0 (年) ‐8 09 10 11 12 13 14 15 16 (出所)ブルームバーグ、中国国家統計局 (期間)2009年1月~2016年5月(住宅価格は2016年4月まで) 図5:海外投資家による豪州株への証券投資動向 引きつけやすいとみられます。 海外投資家の豪州株投資は資金流入傾向が続く 資金流入 資金流入傾向が続いています。2016年1-3月の海外投資 家による豪州株への証券投資は+41億豪ドル(約3,300億円 *)と5四半期連続での資金流入超となりました(図5)。RBA 進む中、海外投資家の豪州への証券投資の対象として豪 州株の存在感も増しつつあるようです。 (*)換算レート:1豪ドル=80円 資金流出 による追加利下げ観測の浮上や豪州国債の利回り低下が 7 豪州株(S&P/ASX200指数)の 予想配当利回り(右軸) 20 一方、海外投資家による豪州株への投資動向に目を転じ ると、豪州株の配当利回りの高さなどを背景に豪州株への (%) (10億豪ドル) 25 6 15 5 10 4 5 3 0 2 ‐5 1 海外投資家の豪州株への投資動向(左軸) ‐10 07 08 09 10 11 12 13 14 15 0 16 (年) (出所)ABS、ブルームバーグ (期間)2007年1-3月~2016年1-3月 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア セットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼 できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料 のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税 金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2/3 【ご投資にあたっての留意点】 • 当資料は、ファンドに関連する情報および運用状況等についてお伝えすることを目的として、ニッセイアセットマネジメ ントが作成したものです。金融商品取引法等に基づく開示資料ではありません。 【投資信託に関する留意点】 • 投資信託はリスクを含む商品です。運用実績は市場環境等により変動し、運用成果(損益)はすべて投資家の皆様の ものとなります。元本および利回りが保証された商品ではありません。 • ファンドは値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクもあります)に投資しますので基準価額は変動し、 投資元本を割り込むことがあります。ファンドは投資元本の保証や一定の成果は約束されておりません。ファンドの基 準価額に影響を与える主なリスクは投資信託説明書(交付目論見書)の「投資リスク」をご覧ください。 • 分配金額は、収益分配方針に基づいて委託会社が決定しますので、あらかじめ一定の額の分配をお約束するもので はありません。運用状況によっては、分配金をお支払いできない場合もあります。また、分配金は投資信託財産から お支払いしますので、基準価額が下がる要因となります。 • 投資信託は保険契約や金融機関の預金と異なり、保険契約者保護機構、預金保険の対象となりません。証券会社以 外の金融機関で購入された投資信託は、投資者保護基金の支払い対象にはなりません。 • ご購入の際には必ず取扱販売会社より投資信託説明書(交付目論見書)をお受け取りになり、内容をご確認の上ご自 身でご判断ください。 【手数料等】 [ご投資頂くお客様には以下の費用をご負担いただきます。] ■申込手数料 お申込み日またはお申込み日の翌営業日の基準価額に3.78%(税込)を上限として、取扱販売会社が独自に定める率 をかけて得た額とします。 ■信託報酬 各投資信託の純資産総額に年2.916%(税込)の率をかけて得た額を上限とします。 ■信託財産留保額 1万口につき購入申込受付日の基準価額に0.04%の率、換金申込受付日または翌営業日の基準価額に0.5%の率を かけて得た額を上限とします。 ■その他費用 上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。目論見書等でご確認下さい。 《ご注意》 上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきまし ては、ニッセイアセットマネジメントが運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率 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