ウィークリーレポート 2016/07/25-2016/07/29

ウィークリーレポート 2016/07/25-2016/07/29
提供:新生銀行 市場金融部
すでに膨らみきった市場の期待以上の施策が打ち出されるのかに注目が集まる
●安倍首相の打ち出す新経済政策への期待感に伴うリスクオン・株高・円安の持続性。●日銀政策決定会合で新たな追加
緩和策が打ち出されるのか。●ポケモン旋風の持続性
(先週の振り返り)
トルコで起きたクーデターも週末には鎮圧されたとの報道を受けて、週明けのドル円、クロス円はギャップアップ(前日の
終値より当日の始値が高値で寄り付くこと)して始まりました。また、大手通信社の大規模な英会社買収報道を筆頭に本邦
勢のM&A案件もサポート材料となり、円相場は全面安の展開。堅調な米経済指標を好感し、米株価が最高値を更新するな
どリスクオンムードが継続したことも円安の流れを後押ししました。週前半は、「政府の経済対策について、事業規模20兆円
超で調整」との共同通信の報道に、ドル円は上値を追う展開が続き、英選挙前の水準106円80銭をも抜いて、107円台を回
復しました。しかし、週後半に黒田日銀総裁がヘリコプターマネーに否定的とのヘッドラインを機に、一転下落。週初からの
上げ幅は縮小され、結局先週末の水準である106円台前半で終えました。円相場は、政策期待先行相場ということもあり、
ヘッドラインに一喜一憂となりました。その他、欧州圏で注目されたECB理事会では市場の予想通りに金融政策は据え置き
となり、その後のドラギ総裁会見でも特段新しい話題もなかったところから、ユーロドルは方向感なく推移。その後、ミュンヘ
ンでの銃乱射事件があったこともあり、1.09ドル台と、一か月ぶりの安値で引けています。オセアニア通貨では、NZ中銀が
“インフレ率を目標に戻すため一段の緩和が必要になる公算大”などと発表したことで、NZドルは対ドルで下落、英選挙後の安値
を更新しました。総合的に見れば、ドル高リスクオンとドル高地合の底堅さを確認した週でした。
(今週の見通し)
今週は、週後半に日米の金融政策決定会合を控えており、週の前半はポジション調整が中心に。また月末週ということも
あり、実需を中心としたフローが中心の相場展開となりそうです。今回の FOMC については、市場の見通しは、金融政策据
置であり焦点は声明文と利上げ見通しとなります。今週市場の注目を集めるのは日銀の金融政策決定会合となりそうで
す。政府の大規模経済政策と、同時に追加緩和を行うといった見通しが市場の約 8 割を占めるともされており、市場では何
らかの緩和策が実施されることを織り込み、むしろ注目はその内容となっています。予想される緩和策は、3 次元での追加
緩和が実施され、マイナス金利の拡大、JGB(日本国債)と ETF(上場投資信託)の買入額増額など。金額や金利レベルに
差はあるも市場はおおよそそれらを行うであろうことが、すでに意識されています。仮に、追加緩和が実施されれば一旦は
素直に円安に向かうと思われますが、材料出尽くし感からある程度の円高となる展開も想定されます。さらに、もし何も追加
緩和が実施されず、会見で内容に新たな話題もなければ、102 円程度までの円高となる可能性もありそうです。財務省出
身の黒田総裁が、ヘリコプターマネーを実施することはないと思いますが、仮に実施するもしくは検討するといったことにな
れば、円安は一段と加速し、一旦の節目 110 円台に向かうと考えられます。現在のオプション市場では、日銀のイベントプレ
ミアムも加わり、約 3 円程度の値動きが想定された価格ですでに取引されています。週末のクローズレベルがドル円で
106.30 近辺であったところから、イベント含めてのイメージレンジは 110 円から 102 円の範囲と言えます。その他通貨では、
先週一度も対ドル終値で上昇しなかった豪ドルですが、27 日に 4-6 月期の CPI が公表されます。8 月の会合前に重要な指
標となるので、そちらも注目されます。
あと、市場で意外にも注目されていませんが週末の欧州のストレステスト(金融機関の経営健全性を審査するために、金
融市場における不測の事態に備え、回避策やポートフォリオの損失額を予測する検査)、また本邦からは GPIF(年金積立
金管理運用独立行政法人)のパフォーマンスが公表となる予定です。