ウィークリーレポート 2016/10/31-2016/11/4 提供:新生銀行 市場金融部 トランプリスク再燃?目白押しの各国の重要イベント、経済指標にも注目 今週は日・米・英・豪・各国の政策金利に注目が集まる。また米雇用統計の発表も。イギリスの欧州連合離脱是非を問う (Brexit)国民投票も記憶に新しく、大統領「選挙」というトラウマに一喜一憂の相場も。 (先週の振り返り) 週初 103 円台後半から始まったドル円は、セントルイス連銀総裁ブラード氏の「12 月利上げが最も可能性が高い」との発 言、更にシカゴ連銀総裁エバンス氏の「2017 年末まで 3 回の利上げを予想」との FRB 高官の相次ぐタカ派発言もあり 104 円台まで上昇しました。 週央には米金利先物も 12 月利上げを 70%超織り込み、米 10 年債利回りも 1.80%を超える展開となり、ドル高地合いが継 続。27 日(木)には 7 月 29 日来の約 3 か月ぶりの 105 円台を上抜けました。28 日(金)には前週最大のイベントであった米 GDP が発表され、市場予想+2.6%に対し+2.9%と経済成長が加速していることを示す非常に強い結果となりました。しかし市 場は織り込み済みとの反応で発表直後こそ 105 円 50 銭を上抜けたものの、その後は主要通貨に対し利食い先行となり、ド ル円では指標発表前のレベル 105 円 30 銭付近で揉み合い。105 円 50 銭からの厚い売りに阻まれ、また週末のポジション 調整モードとなっていた NY 午後には「FBI がクリントン氏のメール問題の捜査を再開」との報道が出ると、再び米大統領選 「トランプリスク」が再燃し市場はリスクオフのドル売りに傾斜。高値は 105 円 54 銭までとなり、105 円 35 銭から 104 円 46 銭まで一気に下落し 104 円 70 銭でクローズとなりました。 (今週の見通し) 今週は各国で重要イベント、指標の発表が目白押しとなります。日銀政策決定会合(31-1 日), FOMC(1-2 日), RBA 豪準 備銀行政策決定(1 日), BOE イングランド銀行政策決定(3 日)と中銀イベントが続き、週末の 4 日には米雇用統計と続き ます。 本邦では 1 日に日銀展望リポート及び日銀政策会合が予定されており、黒田日銀総裁は 27 日の国会答弁で「直ちに長 期金利を変えることにはならない」と発言し、目先の追加緩和を否定しているため、今回 11 月の緩和は無いものと市場では 考えられています。その後の黒田日銀総裁の記者会見にて先のイールドカーブコントロール(長短金利操作)での効果や今 後の緩和姿勢がポイントとなりそうです。 米 FOMC においては前週末での「トランプリスク」再燃で 8 日に控えた米大統領選を前に利上げを断行することは考えにく く、次回 12 月の利上げ予想が大方を占めています。今回の会合では声明文で 12 月会合での利上げを示唆する文言があ るかに注目が集まっています。3 日には米 10 月 ISM 非製造業景況指数。4 日には米 10 月雇用統計と米国の重大指標が 続きます。 また上記指標及び米利上げ時期などに加えて、「トランプリスク」にも最大限、注意を払っておく必要もありそうです。第二 回大統領候補者討論会からクリントン氏の優勢と市場は織り込んでおり、通貨オプションボラティリティマーケットも大統領 選を市場イベントとしないまでに落ち込んでいましたが、「FBI がクリントン氏のメール問題の捜査を再開」との報道で、ボラ ティリティ相場はイベントプレミアムが織り込まれて急騰しています。この捜査再開報道が今後大統領選に影響を与えるの か、各候補者の支持率にも一喜一憂となる相場展開が予想されドル円は上値の重い展開を予想します。6 月のイギリスの 欧州連合離脱是非を問う国民投票も記憶に新しく、選挙という「トラウマ」を覆すことになるのかにも注目しておきたいと考え ています。
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