平成 28 年 4 月 21 日発行 兵庫県感染症発生動向調査週報(速報) 平成 28 年第 15 週(4 月 11 日~4 月 17 日) 兵庫県感染症情報センタ-(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター) Hyogo Infectious Diseases Weekly Report 全国の情報は国立感染症研究所感染症疫学センタ-ホ-ムペ-ジにてご覧ください。 http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html 定点把握感染症(指定された医療機関から報告を求める感染症です) インフルエンザ 定点あたり患者数は今週 2.79 人(先週 5.75 人)と減少しました。県下 17 保健所管内中、定点あたり患 者数が 11.00 人の朝来保健所管内を除く 16 保健所管内で、注意報レベル基準値(定点あたり患者数 10 人) を下回る 5 人以下となっています。 直近の 5 週間に報告された患者 10,794 人の年齢分布は、5~9 歳 32%、4 歳以下 20%、10~14 歳 19%の 順で、15 歳未満が全体の 71%を占めています。新学期が始まり、今週 2 件(先週なし)の学級閉鎖が小学校 から報告されています。 インフルエンザの入院患者を対象とするサーベイランスでは今シーズン 503 人の報告があり、うち 69 人 が集中治療室、人工呼吸器、頭部 CT 検査等を利用しています。患者の年齢分布は 1~9 歳 44%、80 歳以上 12%、70 歳代 9%の順となっています。また、インフルエンザウイルスが原因と推定される急性脳炎患者が 今年 11 人報告されています。 当研究所では今シーズン県内の患者から 212 件のインフルエンザウイルスを検出しており、その内訳は AH1pdm09 76 件、AH3N2 亜型(A 香港型)29 件、B 型(Victoria 系統)40 件、B 型(山形系統)67 件 となっています。直近 5 週間の採取検体からは 38 件のウイルスが、B 型(山形系統)50%、B 型(Victoria 系統)32%、AH1N1pdm09 11%、AH3N2 亜型(A 香港型)8%の順で検出され、B 型が多くなっています。 また、今シーズン、薬剤耐性遺伝子の解析を行った AH1pdm09 43 株中に耐性株は見つかっていません。 インフルエンザの予防として、手洗い、うがい、咳エチケットの励行、マスクの着用など、インフルエン ザに罹らない、広げない対策が重要です。また、感染が疑われる場合は早めの受診が重要です。 インフルエンザの定点あたり患者発生状況(県内) (ランク) (ランク) 44 33 22 11 平成24年 40 平成25年 平成26年 30 平成27年 平成28年 人 20 13 週 10 14 週 15 週 (例年の地域別患者数を基準に流行状況を色分けしています。 ) 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 定点あたり患者数の上位 10 位の疾病 疾病名 定点あたり患者数 今週 増減 疾病名 先週 0 定点あたり患者数 今週 20km 増減 先週 1位 感染性胃腸炎 5.98 7.01 -1.03 6位 水痘 0.33 0.32 +0.01 2位 インフルエンザ 2.79 5.75 -2.96 7位 突発性発しん 0.32 0.41 -0.09 3位 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 1.16 1.40 -0.24 8位 咽頭結膜熱 0.31 0.26 +0.05 4位 流行性耳下腺炎 0.82 1.05 -0.23 9位 伝染性紅斑 0.30 0.27 +0.03 5位 感染性胃腸炎(ロタウイルス) 0.45 1.09 -0.64 10 位 流行性角結膜炎 0.29 0.43 -0.14 平成 28 年 4 月 21 日発行 流行性耳下腺炎 定点あたり患者数は今週 0.82 人(先週 1.05 人)と 減少しましたが、5 年ぶりに患者数が多い状態が続い ています。地域的には、伊丹保健所管内で注意報レ ベル基準値(定点あたり患者数 3 人)以上、姫路市、 芦屋、明石、丹波の 4 保健所管内で定点あたり患者 流行性耳下腺炎の定点あたり患者発生状況(県内) 2.5 2 数 1 人以上となっています。 今年、県内の定点医療機関から報告された流行性 耳下腺炎の患者数は 1,583 人となり、その年齢分布 は、5 歳 17%、4 歳 15%、6 歳 14%の順で、3~7 歳 が全体の 66%を占めています。 流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによる感染 症で、痛みを伴う急性の唾液腺腫脹が特徴です。発 症前後 1~2 週間は唾液にウイルスが排出されるた め、感染を起こしやすくなります。予防対策として、 ムンプスワクチンの接種が有効です。 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成23年 平成25年 平成27年 1.5 人 1 0.5 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 全数把握感染症(すべての医療機関から報告を求める感染症です) 1 類感染症 報告はありません。 2 類感染症 結核14名(神戸市 6 名、尼崎市 1 名、姫路市 1 名、西宮市 2 名、芦屋保健所管内 1 名、伊 丹保健所管内 2 名、加東保健所管内 1 名) 3 類感染症 報告はありません。 4 類感染症 報告はありません。 5 類感染症 急性脳炎 1名(神戸市;病原体不明;女性 2 歳;感染地域:兵庫県;感染経路:不明) 梅毒 2名(①神戸市;早期顕症梅毒Ⅱ期;女性 30 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:性 的接触、②西宮市;早期顕症梅毒Ⅰ期;男性 50 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:異性間 性的接触) 平成 28 年 14 週までに診断 されたものの 報告遅れ 結核 2名 侵襲性肺炎球菌感染症 2名 目で見る動向(県内) 梅毒の累積患者数(県内) 急性脳炎の累積患者数(県内) 20 15 90 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 80 人 人 10 平成24年 平成25年 70 平成26年 60 平成27年 50 平成28年 40 30 5 20 10 0 0 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 週 この週報は兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センタ-ホ-ムペ-ジ http://www.hyogo-iphes.jp/ にも掲載しています。 また、http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html から国立感染症研究所感染症疫学センタ-の週報(IDWR)がダウンロ-ドできます。
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