兵庫県感染症発生動向調査週報(速報) - 兵庫県立健康生活科学研究所

平成 28 年 12 月 15 日発行
兵庫県感染症発生動向調査週報(速報)
平成 28 年第 49 週(12 月 5 日~12 月 11 日)
兵庫県感染症情報センタ-(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター)
Hyogo Infectious Diseases Weekly Report
全国の情報は国立感染症研究所感染症疫学センタ-ホ-ムペ-ジにてご覧ください。 http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
定点把握感染症(指定された医療機関から報告を求める感染症です)
インフルエンザ
定点あたり患者数は今週 2.29 人(先週 1.88 人)と増加しました。地域的には、県下 17 保健所管内中、
福崎、豊岡、洲本の 3 保健所管内を除く 14 保健所管内で流行開始の目安とされる定点あたり患者数が 1 人
以上となっています。
直近の 5 週間に報告された患者 1,283 人の年齢分布は、5~9 歳 30%、10~14 歳 18%、4 歳以下 17%の順
で、15 歳未満が全体の 64%を占めています。
インフルエンザの入院患者を対象とするサーベイランスでは今シーズン 26 人の報告があり、うち 5 人が
集中治療室、頭部 CT 検査等を利用しています。患者の年齢分布は 80 歳以上 6 人、1~9 歳、10 歳代、70
歳代各 5 人の順で多くなっています。
学級閉鎖等の状況では、今週は 17 件(先週 10 件)の臨時休業が報告されています。内訳は学年閉鎖 1 件、
学級閉鎖 16 件、施設別では幼稚園 1 件、小学校 14 件、中学校 1 件、高等学校 1 件で、阪神南、東播磨、中
播磨及び神戸市から報告されています。
当研究所では今シーズン、県内の患者から 20 件の AH3N2 亜型(A 香港型)インフルエンザウイルスを
検出し、AH1pdm09 及び B 型のウイルスはまだ検出されていません。
インフルエンザの予防として、手洗い、うがい、咳エチケットの励行、マスクの着用など、インフルエン
ザに罹らない、広げない対策が重要です。また、感染が疑われる場合は早めの受診が重要です。
インフルエンザの定点あたり患者発生状況(県内)
10
平成24年
(ランク)
(ランク)
44
33
22
11
平成25年
8
平成26年
平成27年
6
平成28年
人
4
47 週
2
0
1
4
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
48 週
49 週
(例年の地域別患者数を基準に流行状況を色分けしています。
)
週
定点あたり患者数の上位 10 位の疾病
疾病名
定点あたり患者数
今週
1位
感染性胃腸炎
2位
0
増減
疾病名
先週
定点あたり患者数
今週
20km
増減
先週
23.51
20.12
+3.39
6位
マイコプラズマ肺炎
1.27
0.73
+0.54
インフルエンザ
2.29
1.88
+0.41
7位
水痘
0.77
0.66
+0.11
3位
流行性耳下腺炎
1.45
1.35
+0.10
8位
咽頭結膜熱
0.40
0.35
+0.05
4位
A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
1.39
1.27
+0.12
9位
手足口病
0.38
0.33
+0.05
5位
RS ウイルス感染症
1.30
1.30
±0.00
10 位
流行性角結膜炎
0.37
0.54
-0.17
平成 28 年 12 月 15 日発行
感染性胃腸炎
定点あたり患者数は、今週 23.51 人(先週 20.12
人)と増加し、過去 5 年間で最大の値になりました。
全県的に警報レベルが継続しており、地域的には、
県下 17 保健所管内中 11 保健所管内で警報レベル開
始基準値である定点あたり患者数 20 人以上となって
います。
直近の 5 週間に報告された患者 11,130 人の年齢分
布は、5 歳以下が全体の 58%を占めています。
施設・学校における感染症集団発生状況では、今
週 8 件(先週 13 件)の集団発生が報告されています。
その内訳は、保育所等4件、学校 1 件、高齢者施設
等 3 件となっています。
感染性胃腸炎は多種多様な原因による症候群です
が、この時期の患者はノロウイルスによるものが多
いと言われています。ノロウイルスは患者の大便や
吐物中に大量に含まれており、感染力が非常に強い
ウイルスです。感染を拡大させないためには、手洗
いの励行を基本に、吐物などの後始末を素手で行わ
ない、二枚貝類は十分に加熱して食べるなどの注意
が重要です。
感染性胃腸炎の定点あたり患者発生状況(県内)
25
平成24年
平成25年
20
平成26年
平成27年
15
平成28年
人
10
5
0
1
4
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
全数把握感染症(すべての医療機関から報告を求める感染症です)
1 類感染症
報告はありません。
2 類感染症
結核 18名(神戸市 10 名、尼崎市 1 名、西宮市 1 名、伊丹保健所管内 2 名、明石保健所
管内 1 名、加東保健所管内 2 名、赤穂保健所管内 1 名)
3 類感染症
報告はありません。
4 類感染症
つつが虫病
5 類感染症
アメーバ赤痢 1名(神戸市;腸管アメーバ症;女性 30 歳代;感染地域:中華人民共和国;
感染経路:経口感染)
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 3名(①伊丹保健所管内;男性 80 歳代;Citorbacter
freundii;感染地域:兵庫県;感染経路:以前からの保菌、②伊丹保健所管内;女性 90 歳代;
Enterobacter aerogenes;感染地域:兵庫県;感染経路:不明、③加東保健所管内;女性 70
歳代;Enterobacter cloacae;感染地域:兵庫県;感染経路:手術部位感染)
後天性免疫不全症候群 1名(AIDS;感染地域:国内;感染経路:同性間性的接触)
ジアルジア症 1名(洲本保健所管内;女性 40 歳代;感染地域:ベトナム;感染経路:経口
感染)
侵襲性肺炎球菌感染症 3名(①尼崎市;男性 60 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・
飛沫核感染、②宝塚保健所管内;男性 70 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:飛沫・飛沫核
感染、③洲本保健所管内;男性 80 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明)
梅毒 1名(尼崎市;早期顕症梅毒Ⅱ期;女性 40 歳代;感染地域:国内;感染経路:性的接
触)
平成 28 年 48
週までに診断
されたものの
報告遅れ
結核 1名
カルバペネム耐性腸管細菌科細菌感染症 1名
侵襲性インフルエンザ菌感染症 1名
1名(朝来保健所管内;女性 60 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明
検査情報(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター)
感染性胃腸炎患者 1 名(0 歳, 11/9 便採取)からサポウイルス GⅠを検出しました。
手足口病患者 2 名(2 歳, 11/14 咽頭ぬぐい液採取、5 歳, 11/21 咽頭ぬぐい液採取)からコクサッキーウ
イルス A6 を検出しました。
平成 28 年 12 月 15 日発行
目で見る動向(県内)
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の
定点あたり患者発生状況(県内)
流行性耳下腺炎の定点あたり患者発生状況(県内)
2.5
平成22年
平成24年
平成26年
平成28年
2
平成23年
平成25年
平成27年
3.5
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
平成28年
3
2.5
1.5
人
人
2
1.5
1
1
0.5
0.5
0
1
4
0
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
福崎保健所管内で、定点あたり患者数が警報レベル
開始基準値である 6 人以上、宝塚保健所管内で注意報
レベル基準値である 3 人以上となっています。
マイコプラズマ肺炎の定点あたり患者発生状況(県内)
RSウイルス感染症の定点あたり患者発生状況(県内)
4
平成25年
3
平成26年
平成24年
平成25年
2
平成26年
平成27年
2.5
人
2.5
平成24年
3.5
平成27年
平成28年
人
2
1.5
平成28年
1.5
1
1
0.5
0.5
0
1
4
0
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
1
4
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
週
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の累積患者数(県内)
70
平成26年
60
平成27年
侵襲性肺炎球菌感染症の累積患者数(県内)
120
平成28年
50
人
40
人
100
平成26年
80
平成28年
30
60
20
40
10
20
0
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
平成25年
平成27年
0
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
この週報は兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センタ-ホ-ムペ-ジ http://www.hyogo-iphes.jp/ にも掲載しています。
また、http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html から国立感染症研究所感染症疫学センタ-の週報(IDWR)がダウンロ-ドできます。