兵庫県感染症発生動向調査週報(速報) - 兵庫県立健康生活科学研究所

平成 27 年 8 月 20 日発行
兵庫県感染症発生動向調査週報(速報)
平成 27 年第 33 週(8 月 10 日~8 月 16 日)
兵庫県感染症情報センタ-(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター)
Hyogo Infectious Diseases Weekly Report
全国の情報は国立感染症研究所感染症疫学センタ-ホ-ムペ-ジにてご覧ください。 http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
定点把握感染症(指定された医療機関から報告を求める感染症です)
今週は医療機関のお盆休みの影響もあり、ほとんどの感染症で定点あたり患者数は減少しました。
手足口病とヘルパンギーナは主にエンテロウイルスを原因とする夏型の感染症ですが、エンテロウイルス
には多くの型に分類されるさまざまなウイルスが含まれます。そのうち、今年当研究所で検出されたのは、
コクサッキーウイルス A16 型、A6 型、A10 型などです。同じ年でも異なる型のウイルスに感染することに
より、複数回同じ感染症に罹患することがあるので注意が必要です。
手足口病
ヘルパンギーナ
定点あたり患者数は今週 5.00 人(先週 9.32 人)と
定点あたり患者数は今週 1.26 人(先週 2.33 人)と
減少しましたが、県下 17 保健所管内中 11 保健所管
減少しました。全保健所管内で、警報レベル開始基
内で、警報レベル開始基準値(定点あたり患者数 5
準値(定点あたり患者数 6 人)未満となっています。
人)以上となっています。
ヘルパンギーナは流行し始めると、乳幼児の間で
手足口病の感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口
急速に患者数が増加する傾向があります。特異的な
感染などです。保育園や幼稚園などの乳幼児施設に
予防方法はありませんが、患者との濃厚接触を避け
おける感染予防では手洗いの励行と排泄物の適正処
ること、手洗いの励行、おしめ等の洗濯物の日光消
理が基本となります。
毒などがあげられます。
手足口病の定点あたり患者発生状況(県内)
ヘルパンギーナの定点あたり患者発生状況(県内)
30
8
平成23年
25
平成23年
平成24年
平成24年
6
平成25年
20
平成25年
平成26年
平成26年
平成27年
人15
平成27年
人 4
10
2
5
0
1
4
0
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
1
4
7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
週
定点あたり患者数の上位 10 位の疾病
疾病名
定点あたり患者数
今週
増減
疾病名
先週
定点あたり患者数
今週
増減
先週
1位
手足口病
5.00
9.32
-4.32
6位
咽頭結膜熱
0.48
0.66
-0.18
2位
感染性胃腸炎
2.11
4.50
-2.39
7位
突発性発しん
0.36
0.53
-0.17
3位
ヘルパンギ-ナ
1.26
2.33
-1.07
8位
流行性耳下腺炎
0.24
0.29
-0.05
4位
A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
0.63
1.57
-0.94
9位
伝染性紅斑
0.21
0.48
-0.27
5位
流行性角結膜炎
0.54
1.00
-0.46
10 位
水痘
0.20
0.15
+0.05
検査情報(兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センター)
発疹症(丘疹、紅斑)患者 1 名(2 か月, 7/23 鼻腔ぬぐい液採取)からエコーウイルス 18 型を検出しま
した。
平成 27 年 8 月 20 日発行
全数把握感染症(すべての医療機関から報告を求める感染症です)
腸管出血性大腸菌感染症
今週 1 名の報告があり、今年の累積患者数は 62 名
となりました。
年齢階級別患者割合は 10 歳未満 23%、
10 歳代 23%、20 歳代 19%の順となっています。
推定感染経路として、肉の喫食による経口感染が 14
名、家族からの感染疑いが 12 名報告されています。
肉・レバーなどの食品はよく加熱し、生食は控え
る、箸を使い分ける、普段から手洗いを励行する、
吐物などの後始末を素手で行わないなどの感染予防
が大切です。溶血性尿毒症症候群(HUS)等の重篤
な合併症を発症しやすい小児・高齢者は特に注意が
必要です。
1 類感染症
2 類感染症
3 類感染症
4 類感染症
5 類感染症
平成 27 年 32
週までに診断
されたものの
報告遅れ
腸管出血性大腸菌感染症の週別患者数(県内)
16
14
平成23年
平成24年
12
平成25年
10
平成26年
平成27年
人 8
6
4
2
0
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
報告はありません。
結核 13名(尼崎市 2 名、姫路市 3 名、西宮市 3 名、加古川保健所管内 2 名、龍野保健所
管内 1 名、赤穂保健所管内 1 名、洲本保健所管内 1 名)
腸管出血性大腸菌感染症 1 名(有症者 1 名、うち HUS 0 名)
(龍野保健所管内;O26 VT1;
女性 5 歳)(累積報告数 62 名;有症者 49 名、うち HUS 4 名)
デング熱 1名(神戸市;デング熱;女性 20 歳代;感染地域:国外;感染経路:蚊からの感
染)
レジオネラ症 1名(加東保健所管内;肺炎型;男性 50 歳代;感染地域:国内;感染経路:水
系感染)
アメーバ赤痢 1名(赤穂保健所管内;腸管アメーバ症;女性 40 歳代;感染地域:兵庫県;
感染経路:経口感染)
カルバペネム耐性腸内細菌感染症 2名(①赤穂保健所管内;Klebsiella pneumoniae;女性
70 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明、②赤穂保健所管内;Escherichia coli;男性
80 歳代;感染地域:兵庫県;感染経路:不明)
結核 2名
急性脳炎 1名
梅毒 1名
目で見る動向(県内)
咽頭結膜熱の定点あたり患者発生状況(県内)
デング熱の累積患者数(県内)
10
1.5
平成23年
平成23年
平成24年
8
平成25年
平成25年
平成26年
1
6
平成27年
人
平成24年
平成26年
平成27年
人
4
0.5
2
0
0
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52
週
週
洲本保健所管内で定点あたり患者数が警報レベル開
始基準値
(定点あたり患者数 3 人)
以上となっています。
この週報は兵庫県立健康生活科学研究所:健康科学研究センタ-ホ-ムペ-ジ http://www.hyogo-iphes.jp/ にも掲載しています。
また、http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html から国立感染症研究所感染症疫学センタ-の週報(IDWR)がダウンロ-ドできます。