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2015 October Special-2
東京海上日動 WINクラブ
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日本の竜巻被害と企業の対策
竜巻は、通過した地域に甚大な被害をもたらす気象現象です。負傷者 62 名(内、死者 3 名、重症 1
名)
、建物被害約 1,300 棟1(内、全壊約 90 棟、半壊約 200 棟)という甚大な被害をもたらした 2012
年の茨城県常総市・つくば市周辺で発生した竜巻は記憶に新しいかと思います。日本は世界で見て竜巻
が発生しやすい地域に属しており、規模が小さいものも含めると年間約 61 件2発生しています。
Ⅰ.日本で発生する竜巻
(1) 竜巻の特徴
日本で発生する竜巻には、次の特徴があります。
【発生場所】
■海沿い/海上で発生しやすい
■平地(関東平野)で発生しやすい
【発生時期】
■1 年を通していつでも発生する
■夏~秋にかけて発生しやすい
【発生要因】
■台風に伴って発生しやすい
■「大気不安定」によって発生しやすい
竜巻の発生分布図(1961 年~2014 年)
出典:気象庁ホームページより引用
竜巻の多くは、海沿いや海上、関東平野を代表とする平地で発生しやすいという特徴があります。直
近で大規模な被害をもたらした、2012 年の常総市の竜巻や 2013 年のさいたま市の竜巻も、平地で
発生しています。これは、海上/平地では標高の起伏や竜巻の進路を遮るものがないために、竜巻が邪
魔されることなく発生/成長しやすいことが理由です。
竜巻の発生時期の特徴としては、秋に最も発生数が多いことが挙げられます。これは、竜巻の主な発
生要因である台風が多く襲来する時期であることと、夏から秋の季節の変わり目であるために大気が不
安定になりやすいことが理由です。
(2) 竜巻による被害
竜巻による被害には、次の特徴があります。
■狭い範囲に甚大な被害をもたらす(竜巻の経路上に被害が集中する)
■経路の周辺に飛来物による被害をもたらす
■発生から罹災までの時間が短い
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消防庁公表資料より
海上竜巻を含む 2007 年~2014 年の平均、気象庁ホームページより
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竜巻は、その経路上に甚大な被害をもたらします。経路上の建物を破壊し、破片を巻き上げ、破片を
広い範囲に飛散させます。また、台風のように数日前から襲来が予測できる現象ではなく、突発的に発
生し数分~数十分で消滅することも大きな特徴です。
Ⅱ.企業の対策
企業の対策として、ハード対策とソフト対策の両面から、ポイントをまとめます。
(1) ハード対策
個々の建物が罹災する確率が極めて低いこともあり、日本の建築基準法では竜巻に耐えうる設計は求
められていません。竜巻が発生した際には、被害を軽減するための対策を行うことが望まれます。具体
的には、竜巻の発生が予測された際に雨戸やシャッターを閉める、屋外の設置物を屋内に避難する、等
が挙げられます。しかし、発生から罹災までが短時間であることから、次項に示すとおり人命優先の対
策が最優先事項となります。
(2) ソフト対策
ソフト対策としては、人命安全の確保(従業員、お客様などの避難)が最も重要となります。人命安
全を確保するために、次の対策を事前に行うことが望まれます。
【事前準備】
■自社のリスクを把握する
■竜巻の発生に関する情報収集先を知る/情報を取得する
■避難場所の確保
事前準備では、まず第一に自社の拠点のリスクを把握することから始めます。拠点が竜巻の発生しや
すい場所に立地しているのか、拠点周辺で過去に竜巻が発生したことがあるのかなどを知ることが重要
です。たとえば気象庁のホームページで、過去に発生した竜巻の一覧を閲覧することができます。
次に、竜巻の発生を予報/発信している情報提供先を知り、竜巻の発生に常時備えることのできる体
制を構築することが望まれます。これは、避難に充分な時間を確保するために非常に重要です。竜巻の
発生については気象庁をはじめ、地方自治体、民間気象会社が提供を行っています。例えば気象庁は次
の情報を公表しています。
✔半日~1 日前:気象情報・・竜巻が発生しやすい気象条件かどうかを判断
✔数時間前:雷注意報・・竜巻を伴うような積乱雲が拠点周辺にあるかどうかを判断
✔0~1 時間前:竜巻注意情報/竜巻発生確度ナウキャスト・・竜巻の発生可能性を判断
上記のような予報のみならず、目視による情報も重要です。竜巻が発生する予兆として、空が急に暗く
なる、大粒の雹が降る、雲の底から地上に伸びる漏斗状の雲が目撃されるなどがあります。このような
状態が見られたら、早急に避難を開始することが重要です。
最後に、発生時には、強固な建物の内部で、開口部から離れた場所に避難をすることが重要です。開
口部付近は飛来物が飛んでくる可能性があり、非常に危険です。発生時にスムーズな避難ができるよう、
予め避難に適した場所を決めておくことが必要となります。
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