雷被害への対策 - 東京海上日動WINクラブ

2016 October Special-1
東京海上日動 WINクラブ
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雷被害への対策
近年、雷による被害が増加しています。今夏も、突然の雷による被害が全国各地で発生しました。高度な電子機器が
様々なところで使用されるようになった昨今、雷による過電圧や過電流による設備機器類の故障被害は後を絶たず、ま
たこれらの設備機器類が突然停止したり重要なデータが失われてしまうことは、
企業にとり大きな脅威となっています。
Ⅰ.日本の雷の実情
雷の被害金額に関する統計資料は存在しませんが、民間会社が日本全国の落雷数を調査して公表していますのでご紹
介します。図表1は地域別の落雷件数です。東北・関東甲信・九州沖縄の件数が多いことが分かります。
【図表1:2009 年~2015 年の地域別落雷数(陸域)
】
【出典】株式会社フランクリン・ジャパン社作成資料より引用
図表2は落雷数を月別にまとめたものです。夏場に落雷数が最も多いことが分かりますが、秋から冬にかけても落雷
は発生しています。冬場に日本海側沿岸で発生する「冬季雷」は、比較的低空の雷雲によってもたらされるため、放電
エネルギーが大きく甚大な被害を引き起こすことが知られています。
【図表2:2011 年~2015 年の日本全国 2600km 四方に発生した月別落雷数】
【出典】株式会社フランクリン・ジャパン社作成資料より引用
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Copyright (c) Tokio Marine & Nichido Risk Consulting Co., Ltd.
Ⅱ.企業を襲う雷被害の怖さ
パソコン、モデム、ターミナルアダプター等の電子機器に使われている半導体集積回路は、過電圧・過電流に弱く、
「雷サージ(雷によって発生する一過性の過電圧や過電流)
」が内部に侵入すると、容易に故障してしまいます。雷サー
ジによって電子機器に生じる主な事象には、電源が入らなくなる(作動しなくなる)
、誤作動する、作業中のデータが喪
失する、発火する、等が挙げられます。
また、パソコンの使用中に突然停電した場合、ハードディスクの破損によりパソコン自体が故障したり、データが失
われる等の被害が生じるおそれがあります。
今や世の中の多くの業務が高度の電子機器なしには行えない時代となっており、雷サージや停電によって電子機器が
利用できなくなれば、その被害は計り知れません。パソコンが使えなくなればオフィス業務は停止し、POS が使えな
くなれば小売業は営業を中断せざるをえません。工場の生産管理システムや病院の医療機器が故障した場合も同様でし
ょう。雷被害で故障した設備機器類の修理費用や交換費用よりも、操業(営業)停止に伴う休業損害や、商品やサービ
スの供給責任が果たせなくなることによる信用低下や賠償損害の影響の方が、遥かに大きいと言えるでしょう。
Ⅲ.企業がとるべき雷対策
停電や雷サージに備えて、企業はどのような対策を講じるべきなのでしょうか。電子機器類の高度化・複雑化が進ん
だ現代においては、直撃雷を避けるための避雷針では、設備機器類を保護することはできません。
雷サージは電力線や通信線、地中に埋設されている接地システム等を通じて侵入したり、落雷して建物の鉄筋・鉄骨
等から誘導されて発生します。そこで、雷サージから電子機器を防護する、SPD(サージ防護デバイス)の設置が有効
な対策となります。SPD は避雷器とも呼ばれ、雷サージの侵入で作動し、過電流をバイパス路を作って大地に逃がし
て、電子機器類には通さないというものであり、この結果として電子機器類の保護が可能となります。また、建物内に
引込まれる金属製部材,ならびに建物内の金属製構造部材等を共通に接続して、接地との電位を0(ゼロ)となるよう
にする等電位化(等電位ボンディング)1も効果のある雷サージ対策です。実際には個々の状況(業種、立地、環境等)
にあわせた対応が求められることから、雷対策の専門家や専門企業のアドバイスを受けながら、総合的な雷保護システ
ムを検討されることをお勧めします。
雷被害からパソコンを守るための対策を、図表3にまとめました。オフィスだけでなく、家庭での雷対策としても有
効ですので是非参考にしてください。
【図表3:雷被害からパソコンを守るための対策】
対
停電対策
策
UPS(無停電電源装置)を利用
解
説
UPS をコンセントとパソコンの間にはさんで接続しておくと、
停電時にパソコンに一定の時間だけ電力を供給し、バックアッ
プの役割を果たす。
雷サージ対策
雷サージの進入路(電源線、電話 雷雲の接近時にパソコンの電源を切り、次に、パソコンに接続
線、通信線、アンテナ線)の遮断
しているあらゆるケーブル(電源線、電話線、通信線、アンテ
ナ線)を取り外す。簡単ではあるが、実現可能性は要検討。
サージプロテクターの導入・設置
過電流をサージプロテクターの内部で放電させたり遮断するこ
とで、パソコンを雷サージから保護する。電源コンセント用、
LAN ケーブル用などがある。
情報・データ 定期的な情報のバックアップ
万が一の情報・データ喪失対策として、定期的に情報のバック
喪失対策
アップをとっておく。パソコン内部のハードディスクだけでは
なく、外部の記憶装置にも併せて保存しておくことが望ましい。
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等電位化により雷サージにより発生する電位差が低減されるため、火花放電の発生や電気機器の絶縁破壊を防止することができる。
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