関数(比例関係と一次関数) 1. 関数の定義 2 つの集合 X,Y があって,X のどの要素 x に対しても,Y の要素 y がただひとつだけ対応するとき,そ の対応を,X から Y への関数という。 対応関係の例 ※上の例では,ア と ウ (この形の対応を多対一対応という),エ (この形の対応を一対一対応という) が 関数である。 2. 座標 平面上の点の位置の表し方→図のように,直角に交わる座標軸 (x 軸と y 軸) を基準にして,2 数の組み合 わせで表す。 ※座標面上のすべての点は,2 つの有理数の組み合わせで表される。 (目盛り線と目盛り線の間にきた点の座標は目分量で読む。) 1 3. 関数の表し方 関数を表すには,場合に応じて,変数の間の対応が正確につかめるとともに,変化するようすがはっきり わかる方法をとる。 例 20 入りの石油かんの石油を使った量 (x ) と,そのとき残っている量 (y ) との関係 (a)表で表す方法 x () 1 2 3 4 5 … y () 19 18 17 16 15 … (b)式で表す方法 y = 20 − x (c)グラフで表す方法 → 右図 4. 関数のグラフの見方 (a)対応する値を正確に読みとる。全体のようすから,変化していく傾向を 読みとる。 (b)グラフによって,その対応が関数であるかないかの判定ができる。 → x 座標の同じ点が 2 つ以上あれば,「y は x の関数」とはいえない。 (c)「y が x の関数」であるとき,x と y の関係を式で表すことができる。 (関数には,式で表すことができないものもある。→例:右図) 5. 関数の式の見方 (a)変数と定数 関数を表す式は,いろいろな値をとることができる文字 x,y と,一定の数とで作られている。 (b)変数の変域 何も条件がつけ加えられていないときには,文字 x,y などは,どんな数でもよいはずであるが,具 体的な関数では変数の値にある制限があるのがふつうである。変数につけ加えられた制限を変域と いう。 6. 関数の変化の割合 y が x の関数であるとき,変化の割合= y の増加量 x の増加量 2 7. 比例と反比例 ◎いろいろな比例関係の例 Y が X に比例するとき,Y や X が他の変数の式になっていることも考えられる。 y = ax2 y は x の 2 乗に比例する。 y = ax3 y は x の 3 乗に比例する。 a y = 2 y は x の 2 乗に反比例する。 x z = axy z は,x,y の積に比例する。 なお,次の見方もできる。 a x a y= 2 x y= → → 1 y = a ・( ) y は x 1 y = a ・( 2 ) y は x 3 1 に比例する。 x 1 に比例する。 x2 8. 関数を表す記号 (高校課程) (a)集合 X から集合 Y への関数 対応関係が存在することを示すのに,つぎのような表し方がある。 3で割った余り f X → Y X → Y f : X → Y y = f (x) (f は,function(関数) を意味している。 ) (b)X から Y への関数が式で表すことができるときには,次のような表し方も使われる。 f : x → y = x + 2 f (x) = x + 2 9. 関数の値 (高校課程) (a)X から Y への関数で,対応の規則がわかっていれば,X のひとつの値に対して,Y の値がひとつき まる。このようにしてきまった Y の値のことを関数の値という。 (b)f (x) = 2x − 3 であるとき,x = −1 のときの関数の値を f (−1) のように書いて表すこともある。こ の例では,f (−1) = 2 × (−1) − 3 = −5 10. 一次関数 (高校課程) (a)関数 y = f (x) が,f (x) = ax + b (ただし,a,b は定数,a=0) の形の式で示されるとき,y は x の 一次関数であるという。また,この関係を,y = ax + b と書いて示すこともある。 (b)一次関数の見分け方 2 つの変数 x,y の関係が,y = ax + b の形で示されているか、または,移項するなどして,この形 に変形できるときには,一次関数であるといえる。 11. 一次関数の式の求め方 一次関数では,少なくとも 2 組の対応する値がわかれば,その関数を表す式を求めることができる。 例 一次関数で,2 組の対応する値が (2,−2),(4,7) となる場合 求める式を,y = ax + b として,これに 2 組の対応する値を代入すると, が成りたつ。これを,a,b について解く。 −2 = 2a + b 7 = 4a + b 12. 一次関数のグラフ 例 y = 1.2x − 2(右図) (a)一次関数のグラフは直線になる。 (b)y = ax + b のグラフは,a,b の変化にともなって,次のように変わる。 a(=傾き)の変化 a > 0 のとき,右上がり。 傾き a < 0 のとき,右下がり。 b(= y切片)の変化 直線と y 軸との交点の y 座標 y 切片 b = 0 のとき (y = ax),グラフは原点を通る。 4 13. 一次関数のグラフの書き方,直線であるグラフの求め方 (a)直線は 2 点できまるから,式にあてはまる x,y の値を 2 組求め,その点を座標面上にとって直線で 結ぶ。(x 座標,y 座標が,ともに整数になる 2 点を選ぶとよい) (b)グラフから,傾きと y 切片とを読みとる。 例 右図の 1 で,傾きは −2(∵ x 軸方向に +1,y 軸方向に −2 の割合 になっているので),y 切片は +3 だから,式は, y = −2x + 3 (c)傾きや y 切片がグラフから読みとりにくい場合は,読みとりやすい 2 点 の座標をもとにする。 例 右図の 2 は,2 点 (−2,1) と (3,3) を通っているから, 1 = −2a + b を,a,b について解く。 3 = 3a + b 14. 2 直線の位置関係 グラフをかいたときの直線の位置関係は,式を見て判定できる。式を,y = ax + b の形にしたとき, 1 a (傾き) が等しいとき,2 直線は平行。 2 b (y 切片) が等しいとき,y 軸上の同じ点で交わる。 3 傾きの積が −1 になるとき,2 直線は直交する。 15. 一次関数と一次方程式 (a)一次関数の対応する値の組は,同じ式を二元一次方程式と見たときの解と考えることができる。 (b)一次関数の式で,x の値に対応する y の値を求める計算は式の値を求めることになり,y の値に対応 する x の値を求める計算は,一元一次方程式を解くことになる。 16. 方程式とグラフ (a)一元一次方程式のグラフ解 ◎一元一次方程式は,グラフを利用して解くこともできる。 3 例 方程式 − x + 5 = 4 4 3 y = − x + 5 のグラフ (右図) をかいて,y = 4 のときの x の値を読みと 4 る。(右図で読みとれる値は 1.3) 《注意》グラフから読みとった値は近似値になるのがふつうである。正確 な値と 0.1 程度の差があってもよい。 (b)二元一次方程式のグラフ解 二元一次方程式の解は,座標面上の直線上の点として示される。 例 二元一次方程式 3x + 2y = 30 3 y = − x + 15 のグラフ (右図) をかく。x,y の変域をすべての有理数 2 とすると,この直線 (上のすべての点) が解を示す。 x,y の変域を正の整数とすると,この直線上の格子点 (図の・) が解を 示す。 (c)連立方程式のグラフ解 ◎連立方程式のひとつひとつの二元一次方程式の解は,グラフの直線で示される。したがって,2 つ の方程式の解の交わりは,それぞれの方程式を表す 2 直線の交点で示される。 5
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