数学 A2 §5 偏微分

数学 A2
§5 偏微分
5.1. 偏導関数. 2 変数関数 z = f (x, y) について, y を定数と思うことにより x の 1 変数関数と見なし
f (x + ∆, y) − f (x, y)
て微分したもの fx (x, y) = lim
を f (x, y) の x についての偏導関数とよぶ.
∆x→0
∆x
更に, 点 (a, b) で fx (a, b) が存在するとき偏微分可能, 値 fx (a, b) を x についての偏微分係数という.
∂f ∂z ∂
z = f (x, y) の偏導関数を zx ,
,
,
f (x, y) 等で表すこともある.
∂x ∂x ∂x
同様に, x を定数として y で微分したもの fy (x, y) も定義される.
例題 5.1. z = x2 − xy + y 2 のとき, zx = 2x − y, zy = −x + 2y
例題 5.2. z = e3x−2y のとき, zx = 3e3x−2y , zy = −2e3x−2y
例題 5.3. w = xyz 2 のとき, wx = yz 2 , wy = xz 2 , wz = 2xyz
5.2. 平面の方程式. xyz 空間内の平面は一般に, z = ax + by + c と表される. この平面は xz 平面で
の断面が傾き a の直線, yz 平面での断面が傾き b の直線になるものとして特徴付けられる.
また, (x, y) = (p, q) のとき z = r となるものは, z = a(x − p) + b(y − q) + r と表される. これは
(x − p, y − q, z − r) · (a, b, −1) = 0 と変形することができるので, ベクトル (a, b, −1) に垂直な平
面であるともいえる.
5.3. 接平面. 曲面 z = f (x, y) に対して, 点 (x, y) = (a, b) において接平面が存在すると仮定すると,
• 接平面は接点を通る
• 平面 y = b での断面が傾き fx (a, b) の直線になる
• 平面 x = a での断面が傾き fy (a, b) の直線になる
ことから, 接平面の方程式は, z = fx (a, b)(x − a) + fy (a, b)(y − b) + f (a, b) になることが分かる.
例題 5.4. z = 4x2 y + xy 3 の (x, y) = (−1, 1) における接平面は, z = −7x + y − 5
注. 上述の式は接平面の存在を仮定して導いた. 本当に接平面が存在であるかどうか (全微分可能性)
の定式化は次回論じる.
5.4. 全微分. z = f (x, y) に対し, fx , fy がともに存在し連続のとき, 形式的に dz = fx (x, y)dx +
fy (x, y)dy を f の全微分とよぶ.
例題 5.5. z = ex sin y の全微分は, dz = ex sin ydx + ex cos ydy
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