証券化リサーチノート(Vol.124)住宅金融支援機構MBS月

証券化リサーチノート 第 124 号
2015 年 10 月 20 日
連絡先: 調査部長 江川 由紀雄
[email protected]
(03) 6880-6035
住宅金融支援機構 MBS 月次第 102 回債
発行額は今年 3 番目の規模の大型起債となる 1799 億円
住宅金融支援機構構 MBS 月次第 101 回債の発行額は 1799 億円となり、今年に入って起債
される回号としては、第 96 回債の 1864 億円、第 97 回債の 1810 億円に次ぐ大型起債となっ
た。裏付資産の 55%が 2015 年 8 月実行分で、45%が 9 月実行分である。複数月の買取債権
を信託財産とする機構 MBS の起債運営オペレーションについては、7 月 21 日付証券化リサーチ
ノート「住宅金融支援機構 MBS の平準化についての考察」でとりあげた。第 96 回債以降 7 回連
続で、各回号の裏付資産の実行月が複数月にわたっている。
裏付資産の加重平均金利(WAC)は約 1.05%と低い水準が続いている。加重平均最終金利
は 1.58%と低い水準が続いている。
信用補完率は 18.8%となり、前回および前々回(101 回および 100 回)債とほぼ同水準となっ
た。
弊社予想期限前返済率は、2015 年 10 月 6 日(評価日)基準で、PSJ 8.15%、WAL は 8.98
年となった。評価日時点での流通市場における 101 回債のイールドカーブスプレッド(YCS) 1を基
準とすると、クーポン予測値は 0.831%(予測値①)、同 IRR 2を基準とすると、0.809%(予測値
②)、100 回債条件決定時の YCS 3を基準とすると 0.829%(予測値③)となる。予測値に対する
弊社 OAS は、それぞれ、24.9 bp、22.6 bp、24.7 bp となる。
1日本証券業協会に設置されている
PSJ 予測統計値運営協議会による用法に準ずる。
2日本証券業協会による PSJ 平均値、日本証券業協会による売買参考統計値を用いて、PSJ キャッ
シュフローモデルにより弊社が算出した IRR(内部収益率)。
3
PSJ 予測統計値平均値、価格 100 円を前提として PSJ キャッシュフローモデルにより弊社が算
出した YCS。
1
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 1 裏付けとなる信託債権概要
第 102 回月次債
第 101 回月次債
当初融資額総額
221,925,310,000
135,658,160,000
円
当初融資額平均
27,496,631
27,012,776
円
融資残高合計
221,910,329,203
135,508,274,099
円
融資残高平均
27,494,775
26,982,930
円
融資件数(債務者ベース)
8,071
5,022
人
融資債権数(金利別債権ベース)
8,071
5,022
債権
平均当初融資期間
30.9
30.7
年
平均残存期間
30.9
30.7
年
平均経過期間
0
1
平均当初融資率
86.73
87.02
%
平均当初返済負担率
22.19
22.15
%
6,374,540
6,323,871
円
平均金利
1.06
1.11
%
債務者平均年齢(申込時)
40.3
40.6
歳
加重平均金利
1.05
1.11
%
加重平均残存年数
31.8
31.6
年
加重平均当初融資期間
31.8
31.6
年
0
1
ヶ月
平均経過期間(借換)
104
104
ヶ月
平均当初 LTV(借換)
75.24
77.22
%
平均当初返済負担率(借換)
19.59
19.72
%
98
96
平均年収(申込時)
加重平均経過期間
加重平均経過期間(借換)
(単位)
ヶ月
2
ヶ月
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
図表 2 予測クーポン
新生モ デルC F( 新生モ デルPSJ予測値)
8.15%
8.98
PSJ予測値
W AL
予測クーポン
予測値① 評価日のセカンダリーマー
ケット水準を基準(YCS)
0.831%
予測値② 評価日のセカンダリーマー
ケット水準を基準(IRR)
0.809%
予測値③ 前回債の条件決定を基準
(YCS)
0.829%
国債利回り
( 第3 4 0 回1 0 年利
付国債)
0.321%
PS Jモ デルC F( PSJ予測統計値平
均値)
8.43%
8.83
ローンチスプレッ ド
Z- Spr e ad
OAS
YCS
51
26.0
24.9
30.9
49
23.7
22.6
28.6
51
25.8
24.7
30.7
評価日(10/6)のセカンダリーマーケットでの101回債のYCS水準
評価日(10/6)のセカンダリーマーケットでの101回債のIRR水準
101回債条件決定日の101回債のYCS水準
出所: 新生証券
2
証券化リサーチノート
図表 3 ヒストリカル YCS (bp)
新生証券株式会社 調査部
JGB ベース
日証協 PSJ・売買参考統計値(平均) PSJ モデル CF :各回号の残高加重平均
出所: 新生証券
3
図表 4 図表 4 ヒストリカル IRR (%)
日証協 PSJ・売買参考統計値(平均) PSJ モデル CF :各回号の残高加重平均
出所: 新生証券
3
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 5 発行額推移
6000
5000
4000
億円
3000
2000
1000
0
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
発行月
2007年度(機構月次:1~11回債)
2008年度(機構月次:12~22回債)
2009年度(機構月次:23~34回債)
2010年度(機構月次:35~46回債)
2011年度(機構月次:47回債~58回債)
2012年度(機構月次:59回債~70回債)
2013年度(機構月次:71回債~82回債)
2014度(機構月次:83回債~94回債)
2015度(機構月次:95回債~)
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
4
図表 6 信用補完率および信用補完率に影響する主な属性
100%
35%
90%
30%
80%
25%
70%
60%
20%
50%
15%
40%
30%
10%
20%
5%
10%
0%
0%
信用補完率(右軸)
平均当初融資率
融資率90%超の割合
返済負担率30%超(右軸)
平均当初返済負担率(右軸)
年収300万円以下の割合(右軸)
公務員・会社員以外の比率(右軸)
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
4
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 7 信用補完率と格付会社が想定するデフォルト率等
40%
0.8%
0.7%
35%
0.6%
30%
0.5%
25%
0.4%
20%
0.3%
0.2%
15%
0.1%
10%
0.0%
5%
-0.1%
0%
-0.2%
機構月次債 回号
信用補完率(左軸)
S&P想定累積貸倒率
R%Iストレスシナリオ累積デフォルト率
エクセススプレッド目安(右軸) = [加重平均金利:当初] - [クーポン]
出所: 格付会社(R&I および S&P)公表情報を基に新生証券作成
5
図表 8 融資率(LTV)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
機構月次債 回号
~70%
~75%
~80%
~85%
~90%
~95%
~100%
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
5
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 9 返済負担率(DTI)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
機構月次債 回号
~5%
~10%
~15%
~20%
~25%
~30%
over 30%
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
6
図表 10 平均当初 LTV および平均当初返済負担率(DTI)
95%
24.0%
23.5%
90%
23.0%
22.5%
85%
22.0%
80%
21.5%
21.0%
75%
20.5%
70%
20.0%
平均当初LTV
平均当初返済負担率
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
6
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 11 年収分布
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
機構月次債 回号
~3M JPYen
~5M JPYen
~10M JPYen
over 10M JPYen
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
7
図表 12 地域分布
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
機構月次債 回号
北海道
東北
北関東
南関東
東京
東海
近畿
四国
中国
九州
南九州
北陸
出所:住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
7
証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
図表 13 融資種別分布
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
機構月次債 回号
マイホーム
マンション
建売
都市居住再生
中古住宅
借換
マイホーム=マイホーム + 買取証券化支援建設 / マンション=マンション+優良分譲等+買取証券化支援購入(共同建) / 建売=建売住宅 + 買取証券化支援購入(共同
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
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図表 14 裏付債権の金利(WAC)と MBS クーポン
160
2.5%
140
2.3%
120
2.1%
100
1.9%
80
1.7%
60
1.5%
40
1.3%
20
1.1%
0
0.9%
機構月次債 回号
MBS参照国債金利(bps)
MBS ローンチスプレッド(bps)
加重平均金利(右軸)
加重平均最終金利(右軸)
出所: 住宅金融支援機構公表情報を基に新生証券作成
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証券化リサーチノート
新生証券株式会社 調査部
本稿はストラクチャードファイナンス部・玉城晃子よる協力を得て作成した。
(調査部長 江川 由紀雄)
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名称
:新生証券株式会社(Shinsei Securities Co., Ltd.)
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第95号
所在地
:〒103-0022 東京都中央区日本橋室町二丁目4番3号
日本橋室町野村ビル
Tel : 03-6880-6000(代表)
加入協会 :日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
資本金
:87.5 億円
主な事業 :金融商品取引業
設立年月 :平成 12 年 12 月
本書に含まれる情報は、新生証券株式会社(以下、弊社)が信頼できると考える情報源より取得されたものですが、弊社
はその正確さについて意見を表明し、または保証するものではありません。情報は不完全または省略されたものである
ことがあります。本書は、有価証券の購入、売却その他の取引を推奨し、または勧誘するものではありません。本書は、
特定の商品やサービスの勧誘・提供を行う目的で作成されたものではありません。本書で言及されている投資手法や取
引については、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、これらの投資手法や取引について
は、金融市場や経済環境の変化もしくは価格の変動等により、損失が生じるおそれがあります。本書に含まれる予想及
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信用格付に関連する注意 本書は、金融商品取引契約の締結の勧誘を目的としたものではありません。本書で言及ま
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合があります。
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