皆さんは「ガリ版印刷」のことをご存知でしょ うか。少し前ある新聞の囲み

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冬来たりなば春遠からじ・・・毎年この時期は寒
い空気と鉛色の空に悩まされます。しかし、考え
ようによっては、暖かい季節とは違った安静を得
られる気がします。日々の喧騒や情報過多で疲れ
皆さんは「ガリ版印刷」のことをご存知でしょ
うか。少し前ある新聞の囲み記事で、
「ガリ版印刷」
のことが掲載されていました。
「ガリ版印刷」は
正式には「謄写版」と言われます。
本医師会報の作成でもそうですが、現在は、著
者にデジタルデータでの原稿作成を依頼し、
eメー
ルなどにより受領、適切なレイアウトを行い、簡
単に製本ができます。また、
学内報や社内報、
サー
クルの案内などについても、同様に簡単に体裁の
整った文書が作成できます。随分便利になったも
のだと思います。以前、といっても大分昔の話し
ですが、このような配布文書の作成に「ガリ版印
刷」が使われていました。中学生の頃、生徒会の
仕事をしていましたが、
そこでの会報の作成に
「ガ
リ版印刷」を利用していました。マス目の印字さ
れた原紙があり、表面が蝋で覆われているもので
す。この原紙をヤスリ板の上に置き、
「鉄筆」と
いう先端が鉄でできたペンで文字を刻んでいきま
す。この時ガリ、ガリという音がするため「ガリ
版」と呼ばれました。印刷は、原紙と紙(だいた
い藁半紙)を合わせローラーでインクを塗布し行
うのですが、蝋が削られた部分からインクが染み
出し紙に文字が写るという単純な仕組みです。鉄
筆で文字を刻む作業を「ガリ切り」と言ったよう
に覚えています。夏の暑い日などは汗で蝋が溶け
ないように肘の下に紙を置いていたような細かい
ことも覚えています。また、間違った時には修正
液という蝋を上塗りして修正していました。ただ
し重要な部分のガリ切りを行うのは、私のような
悪筆ではだめで、
筆の立つ同級生が担当しており、
私はあまり目立たない部分を担当していました。
生徒会報一枚を仕上げることは結構大変な作業
でしたが、印刷された会報を見たときの達成感は
格別のものがありました。今でも新しく刷り上
がった時のインクの心地よい匂いが思い出され
ます。
(高桑好一 記)
切った脳細胞をクリーンナップする良い季節でも
あるのでしょう。
まずは、今回も会員の皆さまからの投稿に感謝
申し上げます。巻頭言は柳原先生が高齢者在宅医
療の建前と現実から、小児在宅医療の現状へ論を
展開します。医療者の principle である、患者さ
んのために何ができるかを考えて行動することが
大事と痛感します。綜説と研究紹介には3本の投
稿を頂きました。いずれも興味深いお話しですの
で、是非ともご一読ください。医政展望では、吉
嶺先生の「みんなでやろう、楽しい地域医療」が
心地良く、これまでの努力が「新潟ブランド」と
して花咲かんことを祈ってしまいます。勤務医の
広場に県立中央病院の長谷川先生から原稿を頂き
ました。個人的には、県中勤務時代に大変お世話
になった素敵な先生です。医療者は幹になる部分
を大事にしながら、そこに拘泥することなく、も
のごとに柔軟に対処していく姿勢を学びました。
そして、本号のメインは座談会「新潟県における
女性医師支援のありかた」でしょう。10年前にも
開催されている昔からの解決すべき課題です。私
はアドラーの言う共同体感覚に解決の鍵があると
考えます。コミュニティの幸せには豊かな人間関
係、お互いの思いやりの感覚が大事だと説かれて
います。巧緻は拙速に如かず、各部署での具体的
かつ早急なアクションが求められます。
今年の冬は暖かいと申しますが、まだまだイン
フルも元気で、油断のならない春遠からじです。
会員の皆さまには、くれぐれもご自愛くださいま
すようお願い申し上げます。
(佐藤雄一郎 記)
広報委員会委員:恩田晃・山内春夫・勝井豊・佐藤雄一郎・高桑好一・永井博子・橋立英樹・高橋暁・上野光博・山村倉一郎・永井雅昭
新 潟 県 医 師 会 報・第 791 号〔平成28年2月〕
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新潟県医師会報 H28.2 № 791