Vol. 93

進化はここから生まれる。
激動する時代、メーカーはどのようにこの変化に挑み、取り組んでいるのか。
コマツの製品をお使いのユーザーの方々をレポートしてご紹介いたします。
今回は、常に過酷な環境下で機能するオートバイ用アルミクラッチ板の製造
に特化し、長年に亘り、厳しい品質要求に応え続けている静岡県浜松市の
株式会社エース技研様にお話を伺いました。
Vol. 93
自動車部品(オートバイ用クラッチ板)鋳造
株式会社 エース技研
本社・工場 〒433-8102 静岡県浜松市大原間町298番地 TEL.053-436-7821 FAX.053-436-7584
粉体事業部 〒431-2103 静岡県浜松市新都田1丁目4番10-8号 TEL.053-428-8155 FAX.053-428-8177
設 立 1987(昭和62)年9月 代表取締役 山本 雅弘 資本金 1,000万円 従業員数 27名
『当たり前のことを
当たり前に』
技術の高さを物語る数々の表彰
創業から今日に至るまでの経緯について
お聞かせ下さい。
もともと機械で何か作る事が好きだった
私は、高校卒業時に地元の自動車メーカー
への就職を決めました。
入社後しばらくは営業を担当していたの
ですが、運送のドライバーが足りないとい
うことで、自動車部品の運送を行うことに
なり、それに伴い、東京へ転勤することに
なったのです。
ところが、東京での生活が1年半程経っ
た頃、父が突然病に倒れたため、急遽帰郷
し、実家が営んでいた製茶業を手伝う事に
なったのです。
製茶業はシーズン物で、年に3回、一番茶
から三番茶と呼ばれている、4月末、6月、8月
のそれぞれ2週間しかピークが無いのです。
当時、私は年齢的にも結婚を考えていた頃
でしたので、これだけでは生活に不安を感
じていたため、製茶業を続けながら、何か
他の事業も出来ないかと思い、兄と共にプ
ラスチックの加工を行うことにしたのです。
射出成型機を使い、主に電気製品関連の
プラスチック部品を製造していました。現
在もこの会社は、兄が続けています。
様々なプラスチック部品の製造を手掛け
て来ましたが、次第に、大手電機メーカー
からの試作品製作といった依頼も増えてき
ました。
プラスチック加工を26歳の頃から20年間
続けてきました私は、今度は金属の加工を
行いたいと思い、昭和62年9月に、株式会社
エース技研を設立しました。
設立当初から今日に至るまでオートバイ
用クラッチ板の製造に特化してまいりまし
た。クラッチ板はオートバイの快適で安全
な走行に欠かせない大切な部品です。不良
品を出さないことを当たり前と捉えられる
ように丁寧な作業と厳しい品質検査を徹底
しています。
この「当たり前のことを当たり前にやっ
ていく」ことは、実はとても難しいことで
すが、弊社ではそれを信念とし、これから
も様々な努力をし続けてまいります。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
KTS-Net
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進化はここから生まれる。
顧客の様々なニーズに応え、最良の品質とサービスを追求
したモノづくり。工場では徹底した品質管理と原価低減意
識を持ち、社員が一丸となって仕事に取り組んでいる。
さらに、顧客の信頼に応えるための積極的な設備投資も
推進している。
御社で生産されている製品の特徴をお聞
かせ下さい。
通常、自動車のクラッチ板などは鉄製で
すが、弊社で製造しているオートバイ用ク
ラッチ板はアルミ製です。強度は鉄の方が
ありますが、アルミの方が断然軽量ですの
で、オートバイには最適です。
弊社の製品を見ると、一見簡単そうに見
えると思いますが、実際に加工してみると
薄いアルミの加工ですから、結構難しいも
のなのですよ。その点、損をしているなと
思う事はありますね。
弊社の基幹技術として厚い実績を誇るの
が、このアルミ素材によるダイキャスト技
術です。
クラスのオートバイのアルミクラッチ板を
1日に30,000枚生産供給しています。
金型から取り出したクラッチ板は、プレ
ス機を使ってバリを取り除き、縁を整える
ことによって、要求される部品品質を確保
しています。
また、クラッチ板がスムーズに機能する
ように、サンドブラスト機を使い、表面に
高圧で砂を吹き付けるといった表面処理を
行っています。
トリミングに使用されているコマツサーボプレスH1F
アルミ素材によるダイキャスト(鋳造)
精度が高く、表面の仕上がりも滑らかに
なる様に、精密な金型に溶かしたアルミ素
材を高圧で注入しています。
通常のダイキャスト技術に比べ、高い精
度で加工できるこの技術によって、1,000cc
サンドブラストによる表面処理。
自動車部品(オートバイ用クラッチ板)鋳造
クラッチ板の1枚1枚に対して、人の手
作業による丁寧な仕上作業と厳しい品質検
査を行い、要求される水準を満たす製品だ
けを出荷しています。
オートバイの駆動系の中でも特に過酷な
環境下で機能するこの部品には、厳しい品
質が要求されるため、弊社の技術水準の証
になるという自負を持ち、全社員が各々の
部署において日々作業に取り組んでいます。
昨年は年間800万枚のクラッチ板を出荷
しましたが、社内の厳しい品質検査をパス
した製品のため、不良はゼロという結果で
した。これは昨年だけに限った事ではなく、
長年に亘って弊社では不良品を出さないと
いう結果を続けています。不良品を出さな
いことを「当たり前」と思い、それを当た
り前に行っている結果です。
株式会社 エース技研
かということを常に考えている人間なので
す。楽に、早く仕事を終わらせるにはどう
したらば良いのだろうか?ということを常
に考え実行してきました。それが結果的に
効率の良さに結びついたのです。
また、不良品は絶対に出さないという強
い思いも常に持ち続けてきました。そのた
め、最も重要な品質検査は、機械だけに頼
らずに、全て人の手で厳しい検査を行って
いるのです。
若い従業員達にも、今ある私の考えたや
り方に従うだけでなく、常に「他にもっと
効率的な方法は無いものか?」という事を
自分なりに色々と考え、行動出来るように
なって欲しいと思っています。
トリミング工程とサンドブラスト工程を繋ぐ搬送装置
御社は海外への進出は考えていらっしゃ
いますか。
手作業で丁寧に、厳しい
品質検査が行われている。
工場を拝見させて頂きましたが、至る箇
所に効率の良い工夫がされていますね。
そもそも私は、如何にすれば楽が出来る
過去にお客様が海外工場を設立された際、
現地で立ち会い及び指導を依頼されたこと
があり、頻繁に現地を訪れましたが、弊社
自体は今後も国内で今まで通り高い品質の
製品作りを続けて行きたいと思っています。
また、海外への進出を図るよりも、国内
で新たな挑戦をしていきたいと考えていま
す。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
Vol. 93
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KTS-Net
Vol. 93
進化はここから生まれる。
自動車部品(オートバイ用クラッチ板)鋳造
株式会社 エース技研
今後の展望をお聞かせください。
弊社では今、粉体事業という新たな挑戦
を始めました。
金属合金などの素材をどこまで微細な粉
末に仕上げることができるか。ナノテクノ
ロジーの分野を先駆け、大学や企業の研究
質の要請にも的確に応えています。
その成果のひとつとしてあげられるのが、
超微粉砕システム/ジェットミルです。
高圧ガスエネルギーで粒子を加速し、粒
子間衝突により金属材料を超微粉末に仕上
げます。金属合金や石など、さまざまな原
料を超微粉末に加工出来ます。
ミル内部の高圧力のジェット気流旋回渦
が、原料をナノ単位の微粒子に粉砕します。
さまざまな材料が、シャープな粒径分布の
製品として仕上げられます。
現在この事業は息子に一任しております。
まだ始めたばかりの事業ですが、若い力と
新しい発想で、未知なる挑戦を続けて行っ
ほしいと思っています。
ナノ単位の
微粉末に粉砕加工する、
ジェットミルの威力。
ジェットミル
KTS-Net
KTS-Netとは、サーボプレスを活用し
て革新的なプレス加工を追求されてい
るユーザーの方々の集まりです。
皆様の情報受発信の場として、是非ご
利用ください。
また、今後もこの誌面でKTS-Netのお
客様をご紹介させて頂きます。
ご入会をご希望の方は、是非弊社のサ
イトをお訪問下さい。
製品紹介
能 力
能力限界
ストローク長さ
最大ストローク数
ダイハイト
スライド調節量
スライド寸法
シャンク穴径
ボルスタ寸法
左右 L-R
前後 F-B
左右 L-R
前後 F-B
厚さ
サーボモータ定格出力
許容上型質量
H1F35
350
4.5
~80
~80
210
55
350
300
38.5
700
400
86
5
50
H1F45
450
5.5
~100
~70
250
60
400
350
50.5
800
450
110
7
80
H1F60
600
6.0
~120
~60
300
65
500
400
50.5
900
550
130
7
130
H1F80
800
5
~130
~75
320
80
550
450
50.5
1000
600
140
15
190
H1F110
1100
5
~150
~65
350
100
620
530
50.5
1100
680
150
22
350
H1F150
1500
6
~200
~55
420
100
700
550
50.5
1250
760
165
30
500
H1F200
2000
6
~250
~50
450
120
850
650
50.5
1450
840
190
30
650
お問い合わせは
コマツ ハイブリッドACサーボプレス
KOMATSU HYBRID AC SERVO PRESSES
コマツ産機株式会社 鍛圧KBU 企画グループ
〒143-0016 東京都大田区大森北1-6-8 KDX大森ビル3階
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