8.民事法総合演習II(PDF:227KB)

【授業科目名】
【授業科目の区分】
【担当者】
【履修形態/単位】
【配当年次/開期】
民事法総合演習Ⅱ
法律基本科目群(基幹科目)
池田克俊・大久保憲章(01・02クラス)
必修科目/2単位
3年次/後期
【授業科目の内容】
この科目は、法律基本科目群における演習科目の仕上げとして、実体法及び手続法の既
修者を対象に、実体法上の論点と民事訴訟法上の論点について学修する。教材は、裁判例
をもとに作成された事例問題を用いる。受講生は、立証責任の分配の原則に従って当事者
の主張を分析、整理し、その事例に含まれている実体法上、民事訴訟法上の論点を検討、
理解して、学修を深める。この授業を通して理論と実務の架橋を図り、受講生に実務の導
入教育を行う。
【授業科目の目標・方法】
この科目は、具体的紛争の問題解決に向け必要とされる事案の分析力、法的構成力の涵
養を目的とする。受講生は、提示された事例について事前にレポートをまとめて、授業に
臨む。授業は、受講生が論点を指摘して自らの考えを述べ、教員等からの質問、それに対
する解答という形式で進める。授業は複数担当で実施する。両クラスの内容は同一である。
池田は、授業の進行を行うとともに、実務家(裁判官)の立場からコメントを行い、大久
保は研究者の立場からコメントを行う。
【授業計画・到達目標】
第1回
債権者代位訴訟の事例について、
「攻撃防御方法の体系に従って主張の分析・整理をし、
請求原因、抗弁等について要件事実(主要事実)を摘示すること(以下、認否の記載を
含めて「主張整理」という。)」ができる。
債権者代位権の要件を挙げることができ、それぞれの要件につき主張立証責任がどのよ
うに分配されるかについて説明ができる。
訴訟要件と本案の審理・判断の順序について説明できる。
第2回
詐害行為取消訴訟の事例について主張整理ができる。
詐害行為取消権とはどのような制度であるのかについて、詐害行為取消権の法的性質を
めぐる議論の概要を含めて説明できる。
詐害行為取消権の要件を挙げることができ、それぞれの要件につき主張立証責任がどの
ように分配されるかについて説明できる。
詐害行為取消権が行使された場合において、現物返還の原則に対する例外として価額賠
償が認められる場面につき、具体例を挙げて、理由とともに説明ができる。
第3回
譲渡担保とはどのような制度であるかを具体例を挙げて説明できる。
譲渡担保権者・譲渡担保設定者・第三者がそれぞれどのような法的地位を有するかを、
具体例に即して説明できる。
集合動産譲渡担保について、集合物を構成する個別の動産を処分する場合の法律関係を、
具体例に即して説明できる。
第4回
親権者と子の利益が相反する場合の法律関係について説明できる。
利益相反行為に当たるか否かの判断基準について説明できる。
代理権濫用とはどのような場合を指すか、また、代理権濫用がどのような効果を生ずる
かについて、判例・学説の考え方を踏まえて、具体例に即して説明できる。
親権者と複数の子の利益が相反する場合の法律関係について説明できる。
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第5回
同一当事者間で結ばれた複数の契約について、一方の契約の債務不履行を理由に他方の
契約をも解除することができるかについて、説明できる。
訴えの取下げによる再訴禁止の効果について理解し、再訴が禁止される範囲について説
明できる。
訴えの取下げの合意について説明できる。
第6、7回
適法な転貸がされた場合の法律関係について説明できる。
賃貸借契約の終了が転借人に及ぼす影響について、法定解除によって終了した場合と合
意解除によって終了した場合との違いに留意しながら、説明できる。
請求の客観的併合の各形態(単純併合、選択的併合、予備的併合)について理解してい
る。
不服の利益(上訴の利益)について具体例に即して説明できる。
控訴提起の効果,特に移審の範囲について説明できる。
利益変更禁止と不利益変更禁止について、具体例に即して説明できる。
第8回
期間満了を理由とする賃貸借契約終了に基づく建物明渡請求訴訟の事例について、主張
整理ができる。
借地借家法における存続期間・更新に関する規律の概要について理解し、特に正当事由
の判断要素・充足時期について説明できる。
引換給付判決など一部認容判決と処分権主義の関係について説明できる。
第9回
既判力の客観的範囲と判決理由中で相殺の抗弁が判断された場合の関係について説明で
きる。
相殺の抗弁と重複する訴えの禁止の関係について、判例・学説を踏まえて、具体例に即
して説明できる。
一部請求についての判決確定後の残部請求の可否について、判例・学説を踏まえて、具
体例に即して説明できる。
第10回
損害賠償請求訴訟における訴訟物について説明できる。
共同不法行為責任の意義、要件及び効果について説明できる。
交通事故と医療過誤の競合事例における共同不法行為責任の適用可能性に関する各種の
考え方について説明できる。
補助参加の利益を含む補助参加の要件について、判例・学説を踏まえて、具体例に即し
て説明できる。
補助参加がされた場合の判決の効力について、判例・学説を踏まえて、具体例に即して
説明できる。
第11回
権利主張参加と詐害防止参加の要件を、それぞれの制度趣旨を踏まえながら、説明でき
る。
独立当事者参加がされた場合において、それぞれの当事者がし、又は、それぞれの当事
者に対してされた二、訴訟行為の効果を説明できる。
独立当事者参加訴訟の1審判決に対し一人が控訴した場合における他の二者間の請求と
控訴審の審判について、具体例を挙げて、説明できる。
第12回
請負代金請求訴訟の事例について主張整理ができる。
参加承継の概念について具体例を挙げて説明できる。
引受承継の概念について具体例を挙げて説明できる。
民事訴訟法49条又は同法51条前段の参加がされた後の審理・判断の在り方につい
て、判例・学説を踏まえて説明できる。
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訴訟引受けがされた後の審理・判断の在り方について、判例・学説を踏まえて説明でき
る。
第13回
民法94条2項の類推適用理論に関する判例の発展の概要を説明できる。
既判力の主観的範囲が特定第三者に拡張される場合について、それぞれの場合における
根拠や趣旨を具体例に即して説明できる。
第14回
補充送達において名宛人に書類が到達しなかった場合の問題点について、具体例に即し
て説明できる。
再審の補充性について説明できる。
当然承継と訴訟手続の中断・受継の関係を理解している。
手続の停止の効果の概要を理解している。
第15回
必要的共同訴訟の概念を説明することができる。
固有必要的共同訴訟と類似必要的共同訴訟の異同を説明することができる。
固有必要的共同訴訟となる場合とならない場合の具体例を挙げ、判例・学説を踏まえて
説明することができる。
類似必要的共同訴訟の具体例を挙げることができる。
【教科書・参考文献】
参考文献として、要件事実論に関し、司法研修所編『新問題研究 要件事実』『改訂紛
争類型別の要件事実』『増補民事訴訟における要件事実第一巻』
『民事訴訟における要件事
実第二巻』
(法曹会)、村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講[第3版]』
(弘文堂)、
伊藤滋夫総括編『民事要件事実講座3・4』(青林書院)
、加藤新太郎・細野敦『要件事実
の考え方と実務[第3版]』(民事法研究会)、伊藤滋夫編著『要件事実講義』(商事法務)
等がある。
【授業評価】
下記の(1)~(3)に基づいて総合評価する。
(1)中間試験の評価(30%)
(2)期末試験の評価(50%)
(3)授業への参加度(予習状況、授業に対する姿勢、議論の態度等)の評価(20%)
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