Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 北米 2016年2月24日 マイナス金利の先輩、スイス中銀総裁 スイス中銀のジョルダン総裁は講演で小規模な開放経済の国々という特定の地域での金融政策について述べてい ます。マイナス金利導入の先駆けでもある同国の経験はマイナス金利を本格化させる日本にも参考になりそうです。 スイス中銀総裁:非伝統的な金融政策には 限界も スイス国立銀行(中央銀行)のジョルダン総裁は2016年2月 23日、フランクフルトでユーロ圏の近隣の国々の金融政策に ついての講演を行いました。スイス以外にもスウェーデン、デ ンマークなどマイナス金利を導入した国や、チェコ(事実上ゼ ロ金利)などの最近の金融政策を振り返りながら、量的金融 緩和やマイナス金利といった非伝統的な金融政策の効果な どについて述べています。 どこに注目すべきか: マイナス金利、非伝統的金融政策の副作用 スイス中銀のジョルダン総裁は、一般論というよりは大規模 通貨(ユーロ)圏の近隣の小規模な開放経済の国々という地 域の金融政策について述べています。マイナス金利導入の 先駆けでもある同国の経験はマイナス金利を本格化させる 日本にも参考になりそうです。 まず、ジョルダン総裁はスイス等がマイナス金利を導入する までの金融政策の推移を振り返りました(図表1参照)。 ①金融危機後は金融政策の中心は利下げで対応しました。 ただし水準は急速にゼロ金利へ収束した後は流動性供給を 用いました。 ②2011年9月からはスイスフランの対ユーロの最低ラインを 設定する為替介入を主体としました。しかし、③2015年1月か らはマイナス金利を導入、その後1年程が経過しています。 次に、ジョルダン総裁の結論を要約すると、まず、金融危機 などにおいては、伝統的な金融政策である利下げの余地は 急速に低下すると述べています。そのため量的金融緩和や 小規模な国では為替介入政策、マイナス金利など(非伝統的 金融政策)の必要性を述べています。 一方で、最も注目すべきは非伝統的金融政策の選択肢は無 限にあるわけではないと述べていることです。まず、非伝統 的金融政策の効果は期間とその範囲により低減する可能性 を示唆しています。特に構造問題が絡む局面での解決策とし ピクテ投信投資顧問株式会社 て金融政策を代用することは困難であると示唆しています。 次に、非伝統的金融政策に伴うコストについて警告していま す(例えば、銀行収益への影響、個人の利子所得への影響な どが想定される)。したがって、非伝統的金融政策の実施に は効果とコストの検証が大切と述べています。 最後に、小規模国の場合と前置きしていますが、海外の大き なイベントなど外的要因の影響を吸収するには非伝統的金融 政策は不十分と述べています。 なお、参考までに非伝統的金融政策の効果について日銀が2 月23日に公表したペーパー(リサーチラボ)を見ると、(量的金 融緩和による)過去の非伝統的金融政策はGDP(国内総生 産)ギャップやインフレ率の上昇に貢献したとの計測結果が紹 介されており、結果に不確実性もあり、幅を見る必要はありま すが、効果はあったとの考えが示されています。ただし、ジョ ルダン総裁の話などを踏まえると次の点に注意が必要です。 まず今後も効果があり続けるのか確認が必要と思われます。 例えば、日銀資産は名目GDPの約76%と米国の25%、ユーロ 圏の26%(日銀総裁答弁より)に比べ突出しています。このよう な金融環境下でも有効な政策なのか、効果と副作用の検証 を引き続き行い公表することが必要と思われます。 図表1:スイスのオーバーナイト金利と主な政策の推移 (日次、期間:2006年2月23日~2016年2月23日) 4 % 3 2 金融危機 オーバーナイト金利 1 0 -1 -2 -3 -4 06年2月 ①金融危機後 伝統的金融政 策(利下げ)、 流動性供給 09年2月 ②為替レートを対 ユーロ=1.2スイスフ ランに最低為替 レート設定 12年2月 ③マイナス 金利 15年2月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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