今日のヘッドライン 今日のヘッドライン

Today’s Headline
ご参考資料
ご参考資料
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
欧州
2016年12月7日
話題のイタリア、問題はどこにあるのか
ユーロ圏の懸念として話題に上るイタリアを取り上げます。イタリアの問題を要約すると次の3点、銀行不良債権問題、
国の財政悪化、反ユーロの台頭です。各問題を振り返ると、深刻ではあっても、対応可能であると考えています。
イタリア首相辞任延期要請:予算案成立を見
届けた後に受理の流れ
イタリアのレンツィ首相は国民投票後にマッタレッラ大統領と
会談、辞意を伝えました。しかし大統領は混乱を回避するた
め審議中の2017年予算案の成立まで首相にとどまるよう要
請しました。大統領は予算案の成立を見届けた上でレンツィ
氏の辞任を受理し、各党との 協議を経て新首相を指名して
組閣を要請する見通しです。為替市場では、否決となった国
民投票後、反転の兆しも見られます(図表1参照)。
どこに注目すべきか:
イタリア不良債権問題、財政負担、総選挙
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ユーロ(対ドル)の推移
(日次、期間:2015年12月7日~2016年12月6日)
1.17
ドル/ユーロ
1.15
1.13
1.11
1.09
1.07
1.05
15年12月
16年03月
ユーロ(対ドル)
16年06月
高 ユーロ 安
ユーロ圏の懸念としてイタリアが話題に上ります。では、そも
そもイタリアの問題とは何なのか?この点を整理したうえで、
ピクテの見通しを述べます。イタリアの問題を要約すると次
の3点、銀行不良債権問題、国の財政悪化、反ユーロの台
頭です。各問題は深刻ですが、対応は可能と考えています。
1点目のイタリア銀行不良債権問題は最も優先度が高い問
題と見ています。イタリアの不良債権は欧州銀行監督機構
(EBA)によると約3,600億ユーロ(約44.1兆円)にのぼり、イタ
リアGDP(国内総生産)の20%を上回る水準となっています。
対応として銀行への資本投入と債権者負担の組み合わせ
が考えられますが、債権者には年金受給者も含まれるため、
イタリア政府は国による資本注入を重視すると見込んでいま
す。したがって、レンツィ首相が辞任した後、素早く新政権発
足の必要がありますが、ピクテではスムーズな組閣を見込
んでいます。欧州中央銀行(ECB)など当局にサポートの準
備が見られ、また不良債権に苦しむイタリアの銀行も処理の
具体策を進めています。例えば、イタリアの銀行モンテ・デ
イ・パスキ・ディ・シエナは3本柱(債務の株式化、(一般)投
資家の資金拠出、株式発行)で構成される50億ユーロの資
本増強計画を公表しました。そのうち、債務の株式化につい
ては債券保有者が約10億2000万ユーロ(約1250億円)相当
の劣後債を株式に転換することに応じたことが報道されてい
ます。最終投資家からの資金拠出についても報道によると、
需要の目処は立っている模様です。ただ、投資家は新政権の
体制を見守る姿勢と見られます。このように実務的な新政権
への期待の高まりも、政権発足を支えると考えています。
2点目は、イタリアの財政問題です。銀行の不良債権処理に
国が関与するなら財政支出が増加することも懸念されます。し
かし、ピクテの推計ではイタリア債務は持続可能な水準にある
と見ています。イタリアの国債利回りは比較的低水準で推移し
ており、調達コストも低くなっています。ECBの債券購入が継
続されると見込まれることも下支え要因と見られます。
最後に反ユーロ、反緊縮を訴える五つ星運動のような政党が
台頭するリスクです。イタリア国民投票は事実上、現政権への
不満の表明で、反ユーロを訴えた五つ星運動は不満の受け
皿のひとつです。しかし、イタリア銀行問題の解決などにECB
などユーロ圏とのつながりは重要です。リスクシナリオは2018
年春の総選挙が選挙制度を改革することなく前倒しされる
ケースです。少数政党でも、第1党となるなどすれば過半数の
議席が付与される現行の選挙制度での総選挙は避ける必要
があります。目下のところ、まずは実務政権が作られ、選挙制
度を改正した上で、総選挙に進むシナリオの可能性が高いと
見られます。反対に言えば、イタリアの政治動向には、まだ注
視が必要な面も見られます。
16年09月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企
業の売買を推奨するものではありません。
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と
したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に
よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆
あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、
その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、
作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ
び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構
の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ
ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも
のではありません。