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欧州
2016年12月9日
ドラギ総裁の本音に迫る
今回のECBの決定は金融緩和か縮小なのか判読しづらい面はありますが、結局ユーロ下落、株高などから、緩和的
との解釈が多いと思われます。ただ、見通しの確信度は低く、政策に柔軟性を持たせたことが主旨かもしれません。
ECB:債券購入額を2017年4月以降は月額
600億ユーロに縮小して2017年末まで継続
欧州中央銀行(ECB)は2016年12月8日、政策理事会を開催
し、政策金利は市場予想通り据え置きました(主要政策金利、
0.0%、上限金利0.25%、下限金利マイナス0.4%)。一方、注目を
集めた量的金融緩和(QE)プログラムによる債券購入(APP)
は市場予想の「6ヵ月延長、購入額は800億ユーロ(約9兆
7,100億円) 」に対して、購入期間は9ヵ月延長となる2017年
12月末まで延長するとともに、月々の購入額については
2017年3月までは現行の800億ユーロ、4月以降は600億ユー
ロに減額することを発表しました。
どこに注目すべきか:
債券購入プログラム、HICPコア、原油価格
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ユーロ(対ドル)の推移
(日次、期間:2015年12月9日~2016年12月9日(日本時間正午))
1.17
ドル/ユーロ
ユーロ(対ドル)
1.15
1.13
1.11
1.09
1.07
1.05
15年12月
高 ユーロ 安
今回のECBの決定やドラギ総裁のコメントから、緩和なのか
緩和縮小なのか判読しづらい面はありますが、結局ユーロ
が下落(図表1参照)したこと、株高などから、緩和的との解
釈が市場では多いように思われます。ただし、ECBの今後の
見通しに確信の弱さも見られ、実のところ、政策手段に柔軟
性を持たせたことが今回の主旨だったのかもしれません。
市場の反応も複雑でした。現時点ではユーロ安となっていま
すが解釈をめぐり公表後上下動しました。緩和的と見る理由
は6ヵ月延長、購入額は800億ユーロ×6=4800億ユーロに
対し、9ヵ月×600億ユーロ=5,400億ユーロと購入額が増え
たことなどです。一方で、これは割増退職金のようなもので、
本音は購入額の減額にあるという見方もありますし、このよ
うな解釈のほうが自然のようにも思われます。
ただ、ECBが購入額減少を前面に出せるほど明確な見通し
を示せる状況でないことも解釈を難しくしていると見ています。
例えば、米国次期大統領の経済政策、波乱も想定される選
挙が2017年に欧州(フランスやドイツなど)で予定されること
は不安要因としてドラギ総裁も素直に認めています。また、
ECBが公表した経済予想にも気になる点が見られます。例
えば、ユーロ圏の消費者物価指数であるHICPの2017年を見
ると今回1.3%と前回の1.2%から上方修正されています。ECBは
声明で想定原油価格の上方修正を主に反映させたと述べて
います。ちなみに、2016年から17年(0.2%から1.3%)への修正も
主に原油価格の動きを反映しています。しかし、HICPコアを見
ると2017年の予想は9月の1.3%から1.1%へ下方修正となってい
ます。そもそも、日銀がデフレの理由は想定外の原油価格と
述べたように、原油価格は中央銀行でさえ予測も管理も難し
い代物であるならば、ユーロ圏のインフレ率改善の背景の一
つが原油価格では見通しに自信が持てないのも無理ありませ
ん。今回、ECBが債券購入の取引対象年限や買い入れ利回
りの拡大という要件を加えて債券購入に柔軟性を持たせたこ
とで、将来の様々な状況に対応可能としたことが恐らくECBの
本音であるように思われます。
16年04月
16年08月
16年12月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:ECB公表の経済予測の主な項目
(時期:今回は2016年12月、前回は2016年9月、HICPは前年同月比)
H ICP
今回
前回
2016年
2017年
2018年
2019年
0.2
1.3
1.5
1.7
0.2
1.2
1.6
H ICPコ ア
今回
前回
0.9
1.1
1.4
1.7
0.9
1.3
1.5
想定原油価格
今回
前回
43.1
49.3
52.6
54.6
42.8
47.4
50.6
図表2:HICP(ユーロ圏消費者物価指数、HICPコア(HICPの除く食料、燃料)
原油価格:ブレント原油価格(ドル/バレル)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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