UACJが積極投資-タイ事業の動向次第では格付に響く可能性も

NEWS RELEASE
2016年11月29日
UACJが積極投資―タイ事業の動向次第では格付に響く可能性も
UACJ(証券コード:5741、発行体格付=BBB)は29日、タイ及び米国子会社での設備投資計画を発表し
た。投資額は合計約550億円。缶材及び自動車用パネル材の需要捕捉とコスト競争力の強化が狙い。投資
支出は2020年3月期にかけて段階的に生じる見通し。タイ拠点では生産・販売が軌道に乗る前での追加投
資となるだけに、今後の同国事業や財務リスクの動向などを注視していく必要があると、R&Iは考えてい
る。投資回収に手間取るようだと格付に響く可能性がある。
UACJは世界3位のアルミニウム圧延メーカー。日本、米国、タイに生産基盤を持ちグローバルに事業を
展開する。日本国内では缶材をはじめ多くの品種でトップシェアを握るほか、厚板や鋳鍛造品などの高
付加価値品にも強い。米国事業は生産性が高いうえ、強固な営業基盤がある。タイ事業こそ振るわない
ものの、棚卸資産評価の影響を除いた収益力・キャッシュフロー創出力は比較的安定している。
タイでは、2015年度までに約550億円をかけて一貫生産体制を整えてきた。今回、約370億円を投じ、
熱延設備を軸に全体の生産能力を約20万tから約32万tに増強、品質・コストの両面で競争力を強化する。
ただ、顧客認定の取得や安定生産の確立に時間を要し、ここまで赤字計上を余儀なくされている。稼働
率は改善傾向だが、能力増強後の販売環境次第では、収益性の確保が難しくなる懸念を否定できない。
米国では缶材で強固な収益基盤がある。2016年には自動車用パネル材合弁事業の新設備が完工した。
供給能力の確保に向けて現在、2.4億ドルをかけて鋳造・熱延設備の増強を推進中だが、さらに約180億
円を投じ、将来の両製品の需要増に備える。今回の投資リスクはさほど高くはないとみているが、自動
車用アルミ材ではライバルも設備増強を進めているだけに、需給動向には一定の注意が必要となろう。
2013年の経営統合を契機に海外展開を積極化、有利子負債は自己資本との対比でやや重く、負債とキ
ャッシュフローのバランスも格付対比で見劣りする状態にある。M&A(合併・買収)の場合と異なり、投
資支出は段階的に発生するため、財務リスクが短期間で大きく変化することはない。今後の資金調達の
方針とともに、中長期でのタイ事業の動向を注視し、格付評価に反映していく。
主任格付アナリスト:鈴木
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