NEWS RELEASE 2017年2月21日 楽天が1000億円の自己株式取得へ―財務悪化も格付には響かず 楽天(証券コード:4755、発行体格付=A-)は21日、自己株式を取得することを取締役会で決定した と発表した。自己株式の取得は、発行済株式総数(自己株式除く)の8.4%を上限に実施する予定で、株 式の取得価額の総額は最大で1000億円になる。 R&Iでは、楽天グループの信用力評価にあたって、利益による資本蓄積とともに、投資のリスクや保有 株式の減損リスクを一定程度織り込んでいる。2015年の増資で財務的な余裕度は増していたが、今回の 自己株式取得が全額実施されれば、リスク耐久力は再び低下する見通しだ。有利子負債も一定程度増加 する可能性が高い。 グループ全体でみると、国内EC(電子商取引)市場における高い存在感は維持できている。近年は Fintech(金融)事業の利益が拡大するなど、明るい材料も出てきている。こうしたグループの事業基盤 を考慮すれば、自己株式の取得で悪化が見込まれる財務基盤を改善させる潜在的な力はあり、A-という 格付を見直すほどではないとR&Iはみている。 もっとも、主力収益源である国内EC事業は、競合企業の攻勢を背景に、以前よりも利益を拡大しにく い状況にある。こうした状況下で、今回の自己株式取得に続き、M&A(合併・買収)を含めた大型投資を 実施し、リスク要素に対する財務的な余裕度がさらに低下するような状況が出てくるようだと、信用力 に下押し圧力がかかってくる可能性がある。 主任格付アナリスト:西元 ■お問合せ先 ■報道関係のお問合せ先 株式 会社 : インベスターズ・サービス管理部 : 経営企画室(広報担当) TEL. 03-6273-7471 TEL. 03-6273-7273 純 E-mail. [email protected] 格付投資情報センター 〒101-0054東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。また、R&Iは、信 用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に際し関連情報の正確性等につき独自の 検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発 行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ©Rating and Investment Information, Inc.
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