[金融市場マンスリー]2015年4月号<抜粋>(PDF

金融市場マンスリー
2015 年 4 月 15 日号
[要旨]
◆金融市場動向
金融市場では、市場予想を下回る米雇用統計を受け米利上げ観測
が後退。株式市場では、グローバルな金融緩和環境を背景に日欧
株が堅調で、利益見通しが下方修正傾向の米株も底堅い推移。長
期金利は低位推移が継続。為替市場ではドル高進行が一服し、レ
ンジ推移
◆米国経済
景気は踊り場。4~6月期は持ち直す見通しだが、ドル高・原油安
による下押し継続が懸念材料。雇用者増加数の下振れは悪天候が
主因で労働需給は改善傾向。家計部門を取り巻く環境は良好なが
ら、製造業部門は軟調。米利上げ開始は9月に後ずれの公算高まる
◆日本経済・金融市場見通し
大企業の業況感は製造業が横ばいにとどまる一方、非製造業は内
需の回復を背景に改善。増産傾向が続いているが、在庫は高止ま
り。全国コアCPI前年比は原油価格の下落などから一旦マイナ
スに転じる見通し。日銀は強気の経済・物価見通しを維持。長期
金利は低位でのもみ合い推移を見込む。株価は企業業績の改善傾
向などから底堅い展開を予想
◆為替相場の見通し
ドル円相場は、目先もみ合いを予想するも、ドル高基調を維持す
る見込み。ユーロドル相場は、ECBの量的緩和やギリシャの資
金繰り問題を背景に、ユーロ安地合いを予想
目
次
1.今月の視点 ----------------------------------------------- 1
2.金融市場の全体観 ----------------------------------------- 2
3.米国経済・金融市場動向 ----------------------------------- 3
(1)経済動向 ------------------------------------------- 3
(2)金融市場動向 --------------------------------------- 5
4.欧州経済・金融市場動向 ----------------------------------- 7
5.新興国市場動向 ------------------------------------------- 8
6.国内経済・金融市場動向 ----------------------------------- 9
(1)経済動向 ------------------------------------------- 9
(2)金融市場動向 -------------------------------------- 12
7.為替市場動向 -------------------------------------------- 15
8.原油市場動向 -------------------------------------------- 16
9.予測表 -------------------------------------------------- 17
(資料1)日本経済、米国経済予測総括表 ---------------------- 18
(資料2)月間スケジュール ---------------------------------- 19
(資料3)四半期スケジュール -------------------------------- 21
(資料4)内外主要経済指標 ---------------------------------- 22
(資料5)内外主要金融指標 ---------------------------------- 23
1.今月の視点
~米国の利上げする水準は皆が想定するよりも低い~
下記の図表は過去 60 年間のFRBの利上げを示したものだ。この 60 年間で米国の利上げは 13 回あった。図表
の期間内にある過去 13 回の利上げ幅の平均は、3.20%であるが、その幅には 70 年を挟み大きな転換がある。
戦後から 1970 年まで:利上げ 5 回、平均利上げ幅
1.75%
1970 年代以降
4.10%
:利上げ 8 回、平均利上げ幅
今日、多くの市場参加者が 1970 年代以降の自らの体験をベースに抱くコンセンサス的利上げ幅は 4%程度で
ある。一方、1970 年代に至る前、まだ戦後、大恐慌後の傷跡を背負い、インフレが定着する前の 1970 年前までの
利上げ幅は 2%以下であった。
2013 年に生じた、国際金融市場の大変動(”taper tantrum”)は 70 年代以降の変動の再来を念頭にコンセンサ
ス的な見方を背景にした市場参加者による素直な反応の表れと評価される。一方、昨今の変化は、大恐慌後の 70
年までの状況を引きずる水準感にシフトしつつある動きとも評価される。今日、自然利子率が低下しているとの議
論や「長期停滞論」は、まさに先行き期待やインフレ率の低下を反映したものといえる。4 月初にIMFは先進国を
中心に潜在成長率が低下し、期待成長率も低下しているとのリポートを発表し話題になるのも市場が想定する金
利水準の低下を受けたものだ。
最近の FOMC の政策金利の見通し水準は下がったとはいえ、依然、3%台にある。ただし、実際にはそこまで
達しない可能性もあるだろう。FRBの利上げは今年の金融市場の最大のイベントだが、その話題の中心は最初の
利上げのタイミングがいつかの当てっこゲームがすべてではない。むしろ、その後のペースがより重要だ。今回の
利上げペースは誰もが体験したこともない従来とは全く異なるものになるのではないか。
【 図表1:米国の戦後の利上げ 】
16%
h平均4.10%
h平均1.75%
14%
12%
10%
8%
6%
4%
2%
0%
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
00
05
10 (年)
(注)1982 年 9 月以前は公定歩合、1982 年 10 月以降は FF 目標金利。丸印は利上げ開始を、網掛けは景気後退を示す。
(資料)FRB よりみずほ総合研究所作成
(チーフエコノミスト 高田 創)
1
金融市場マンスリー(2015 年 4 月 15 日号)
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