週刊穀物150325飼料用穀物の3月のUSDA OUTLOOK;pdf

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週刊穀物
世界の穀物情報がここに凝縮されています。
毎週水曜日夕方発行
トウモロコシ価格反発・大豆と小麦は下落
発行日
:
2015/3/25
24日のシカゴトウモロコシ5月限は+3.00セント高の393.25セント。作柄改善を受けた小麦急落や、ドル高・原油安
が圧迫したが、ウクライナの減産観測や米デルタの作付け遅れ、50日移動平均を抜き返してテクニカルが改善したことか
ら前日高値を突破した。小麦とのスプレッド買いも入った。中心限月の5月限は、時間外取引を391.00~388.50セント
のレンジで推移し、前日比0.50セント安の389.75セントで引けた。5月限は、安寄りしたあと、ドル安・原油高で反発し
たが、小麦の下値追いでマイナスに転落した。ウクライナの減産観測や、米ルイジアナ州の作付け遅れは強材料だったが、
大豆安は弱材料。立会時間は、1.00セント安で寄り付いたあと、戻り売りが続いたが、時間外取引の安値(388.50セン
ト)で下げ止まったことから上昇に転じ、逆に時間外取引の高値を突破した。時間外取引は、小麦急落でマイナスに転落し
たが、立会時間は、50日移動平均(389.50セント)を抜き返したことを好感し、テクニカル買いが入った。今年のウク
ライナ・コーンの減産予想や、米ルイジアナ州の作付け遅れも強材料。393.75セント(3.50セント高:0.9%)で上昇が
一服したあとは、小麦の下値追いやドル反発が圧迫する一方、大豆の戻りや小麦とのスプレッド買いが下支え、高値圏の2
セン・トレンジでもみ合った。
キエフを本拠とする調査グループであるウクラグロコンサルトは、今年のウクライナのコーン生産高見通しを前年比290
万トン減少の2300万トンと予想した。同社はコーンの作付面積を10%減少の440万ヘクタールとした。小麦の生産高見
通しは、前年比190万トン減少の2060万トンとした。
24日のシカゴ大豆5月限は▲1.75セント安の981.75セント。5月限は、買いが先行したが、ドル高・原油安や南米の収
穫進展、農家売り増加、中国の景気減速で反落した。ドル反落で回復したが、ドル反発やコーンの作付け遅れによる大豆の
作付け増加懸念で下値を切り下げた。ただ、押し目買いで持ち直した。時間外取引を985.00~978.00セントのレンジで
推移し、前日比3.00セント安の980.50セントで引けた。5月限は、買いが先行したが、ドル高・原油安や南米の収穫進展
で値を消した。ドル反落や原油反発でプラスに浮上したが、小麦の下値追いで値を消した。中国HSBC製造業購買担当者景
気指数(PMI)が50を下回り、11カ月ぶりの低水準になったことも弱材料。立会時間は、4.00セント安で寄り付いたあと、
戻り売りが優勢になって時間外取引の安値を下回り、975.75セント(7.75セント安:0.8%)まで値を消した。押し目買
いが入って982.00セントまで持ち直したが、プラスに浮上できずに売りが再開した。先週からのドル安を受けた買い戻し
による急伸は一服、農家売りの増加や南米の収穫進展による供給増加、中国の景気減速などが圧迫要因。50日移動平均
(992.10セント)にとどかなかったことも、テクニカル売りを誘った。時間外取引に比べてドルが反発、原油が押された
ことも嫌気された。コーンの作付けが遅れていることも、大豆の作付け増加につながることから心理的な弱材料となった。
ただ、圧迫要因が多い割には底固い値動きとなったため、買い戻しで983.00セントまで回復した。
24日のシカゴ小麦5月限は▲10.50セント安の523.50セント。中心限月の5月限は10.50セント安の523.50セントで
引けた。5月限は、売りが先行して前日安値(531.75セント)を下回り、531.25セントで寄り付いたあとも、投機売り
で下値を切り下げる展開となった。オクラホマ州、テキサス州の作柄は「良」以上が4ポイント上昇したことや、ドル高・
原油安が圧迫要因。ドル反落や原油反発を受けて531.75セントまで回復したが、前日の支持が抵抗に替わって売り賛成と
なった。
ドル反発や原油の押しが圧迫、コーンとのスプレッド売りが追い討ちをかけて支持を割り込み、522.50セントまで値を消
した。ファンドは5000枚の売り越し。(つづく)
2
今日の材料
・ブラジル産地は、南部や中部で収穫に適した天気が続く。
・アルゼンチン産地は、生育には雨を必要としている。
・ウクライナ・コーン生産高見通しは前年比290万トン減少の2300万トン。
・3月の中国HSBC製造業PMI速報値は49.2に低下、予想は50.6。(日本先物情報ネットワーク)
TOPICs 南米の天気
南米産地の天気概況は以下の通り(民間気象会社の天気概況及び予報を要約。ブラジル産地北部はマトグロソ州、マト
グロソ・ドスル州、南部はパラナ州、リオグランデ・ドスル州、アルゼンチン産地はコルドバ州、サンタフェ州、ブエノ
スアイレス州)。
ブラジル産地北部は過去24時間、3~15ミリの雨が降り、気温は26~33℃だった。火曜、水曜は北東部でにわか雨
や雷雨、その他の地域はおおむね乾燥した天気が予報され、気温は27~33℃となるだろう。木曜から土曜は北東部でお
おむね乾燥した天気、ところにより雨が予報され、気温は平年並みから上回るだろう。
ブラジル産地南部は過去24時間、おおむね乾燥した天気となり、気温は18~26℃だった。火曜、水曜はおおむね乾燥し
た天気が予報され、気温は22~29℃となるだろう。木曜から天気が崩れるが、土曜はおおむね乾燥した天気に回復する
だろう。この間の気温は、雨の降る金曜を除き、平年並みから上回るだろう。
アルゼンチン産地は過去24時間、おおむね乾燥した天気となり、気温は21~25℃だった。火曜、水曜は乾燥した天気が
予報され、気温は21~26℃となるだろう。木曜から土曜は乾燥した天気が続き、気温は上昇して平年並みから上回るだ
ろう。
南米の降雨地域
intellicastによる日本時間3月25日
午前8時までの累積降雨量
エルニーニョの兆候なし
南米の気温
南米の大気の動き
intellicastによる日本時間3月25日午前8時の気温と大気の動き
3
Topics
Feed
Outlook
2015年3月12日 by
USDA
Economic
Research
2014/15年度のトウモロコシの消費量は、米国内向け飼料需要と輸出が増加し、減少したエタノール向けを補って余
りある。そのため3月の期末在庫予想は2月に比べて▲5,000万ブッシェル下方修正され、それが穀物年度年央(2月末)
の農家出荷価格を3.70ドルに5セント引き上げている。エタノール生産量は下方修正されているが、それでも12月以降の
週の生産量は予想以上に多くなっている。
トウモロコシの輸出量は、世界の飼料用穀物の販売が好調で、米国産も売れていることから5000万ブッシェル上方修
正された。
世界の2014/15年度の飼料用穀物の期初在庫と生産量は、下方修正されたが、主に南アの生産量の下方修正による。
一方世界の飼料用穀物の消費量は多いため、期末在庫は大幅に下方修正された。世界の穀物在庫は毎月下方修正されてい
るが、それでも過去15年間で最大の水準となっている。
米国内の状況
①
米国内飼料用穀物需要は前月比+130万トン増
2014/15年度の米国の飼料用穀物供給量は大麦の輸入量が減少したため、2月需給報告に比べ3月は少し減少した。
一方飼料用穀物消費量は、+130万トン増加して3億6200万トンとなっており、エタノール向けのトウモロコシ需要の
減少を飼料用その他の需要と輸出で補っている。飼料用穀物の期末在庫は4790万トンと▲140万トン下方修正された。
14/15年穀物年度(9月~8月)の4つの穀物(トウモロコシ・モロコ、大麦、燕麦)及び小麦の飼料用穀物の需要
は、前年より+130万トン増の1億4410万トンと予想されている。穀物を消費する動物頭数は(GCAU : Grain
Consuming Animal Unit)は2月の予想より+2万頭多い9,187万頭で前年より+196万頭多い。1頭当たりの飼料その
他の消費料は1.55トンで2月より少し多くなっている。
4
米国内の状況
②
エタノール用のトウモロコシ需要は下方修正
エタノール生産用のトウモロコシ需要予測は2月から▲5,000万ブッシェル下方修正して52億ブッシェルとなった。
USDAによるGrain Crushing and Co-Products Productionレポートによれば、10月と11月のエタノール需要は9月
~11月のエタノール需要より▲1,300万ブッシェル下方修正した。これは10月~12月のエタノール生産についてのEIA
(米エネルギー情報局)のレポートとNASS(National Agricultural Statistics Service)のレポートを比較したとこ
ろ、エタノール生産に使われるトウモロコシ以外のモロコシや他の原料を調整してみると、以前の予想よりもトウモロコシ
からエタノールにする割合が高かったことがわかった。ただ、残念なことに2つの機関が予想するデータはトウモロコシの
エタノールに変わる変換率が異なっており、月ごとのエタノール生産量が違っていた。年末にどちらの変換率が正しいこと
になるかは不明である。過去の例では、EIAは週ごとの集計と月ごとの集計にばらつきがあることがわかっている。
百万ブッ
シェル
期初在庫
生産量
輸入量
食糧種子 飼料その
工業用
他
供給合計
輸出
消費合計 期末在庫
農家出荷価格 ($/ブッシェ
ル)
トウモロコシ
11/12年度
12/13年度
13/14年度
14/15年度年央
1,128
989
821
1,232
12,314
10,755
13,829
14,216
29
160
36
25
13,471
11,904
14,686
15,472
27
23
15
34
213
248
392
433
0
10
0
0
241
280
408
467
89
60
80
82
155
219
217
177
16
23
19
23
260
302
316
282
68
55
36
25
50
61
65
70
94
93
97
100
212
209
198
194
6,421
6,038
6,501
6,595
4,520
4,315
5,036
5,300
1,541
730
1,917
1,800
12,482
11,083
13,454
13,695
989
6.22
821
6.89
1,232
4.46
1,777 3.50-3.90
69
94
92
110
63
76
212
300
218
265
374
440
23
5.99
15
6.33
34
4.28
27 3.70-4.10
37
66
65
45
9
9
14
12
200
222
234
209
60
5.35
80
6.43
82
6.06
73 5.20-5.50
78
96
97
85
2
1
2
2
157
173
173
164
55
3.49
36
3.89
25
3.75
30 3.15-3.35
モロコシ
11/12年度
12/13年度
13/14年度
14/15年度年央
85
95
70
30
大麦
11/12年度
12/13年度
13/14年度
14/15年度年央
155
147
155
152
燕麦(Oats)
11/12年度
12/13年度
13/14年度
14/15年度年央
76
76
75
77
5
今後の予想
トウモロコシはFRBの早期利上げ観測が後退しドル安が進んでいることが下支えとなる中、 月末の作付意向調査や四半
期在庫の発表も前にもう一段の買い戻しが集まる可能性は 十分に高いと考えるが、それで流れが強気に変わるのかはなんと
もいえないところだろう。
作付意向調査では、大豆への転作が進むことによってトウモロコシの作付が減少するとの見方が大勢を占めており、恐ら
くはそのとおりの結果となるのだろうが、中長期的な需給見通しを強気に変えてしまうほどの減少になるのかは微妙なとこ
ろ。
2年続けて記録的な 豊作となったことで、足元の在庫はかなりの高水準にあり、作付が少々減った程度で はやはり需給は
弱いまま、潤沢な供給が相場の重石となり続けるだろう。ここへきて 輸出のペースが鈍ってきていることも、思った以上に
弱気に作用するかもしれない。もちろん、受粉期の天候次第では生産が大幅に落ち込み、需給も一気に強気に転じる ことも
十分に考えられるが、そうしたシナリオはまだかなり先の話。
大豆は軟調な相場展開が続くと予想する。FRBの早期利上げ観測が後退する中、ドル安が更に進むような格好となれば、
投機的な買い戻しがもう一段相場を押し上げることも十分に考えられるが、ポジション整理の動きによる一時的な上昇の域
を超えるものとはならないと思われる。ブラジルなど南米の安価な供給に押され輸出が落ち込むのに加え、USDA作付意向
調査の発表を前に、トウモロコシからの転作が進むことで作付が増加するとの見方が強まるという、需給両面での弱気材料
が重石となる中、これ以上の反発局面では売り圧力が強まってくる可能性は高いと思われる。
作付が予想通り過去最高を更新、天候にも恵まれ 作業が順調に進むなら、中長期的に9ドル割れを試すまで値を下げるこ
とも十分にあ り得るだろう。
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