楽読 (ラクヨミ) 2015年3月11日 Vol.936 市場拡大が続くJ-REIT ~需給懸念はあるが収益力に期待が持てよう J-REIT市場は、2013年半ばから堅調な推移が続いていましたが、2015年1月に1,990ポイント(東証REIT指 数ベース)の高値を付けた後、軟調な値動きとなっています。これにはいくつかの要因が考えられますが、そ の大きなものとして「金利要因」と「需給要因」が考えられます。 J-REITは投資家からの出資に加え、借り入れや社債などで資金を調達しており、収益に金利が与える影響 が大きいことから、金利動向が注目されます。左グラフから分かるように、日本の金利(一例:10年国債利回 り)は低下傾向が続き、2015年1月には一時0.2%台にまで落ち込みました。そうした状況下でJ-REITは上昇 傾向となりましたが、金利低下の速度が速かったことや低下余地が少なくなったことなどから、足元では金利 が上昇する局面もあり、J-REITは軟調な値動きとなっています。 また、J-REITはその利益の大部分を投資家に分配するため内部留保が少なく、事業規模拡大のために新た に物件を購入する際には、増資などで調達した資金を充てることが一般的です。そのため、市場では増資に 伴なう需給動向が注目されています。右グラフにあるように、アベノミクスによる景気回復期待や、日銀による 資金供給などを背景に、調達環境は改善しており、J-REITの資金調達は増加しています。ただ、不動産市況 の改善を受け物件価格が上昇していることもあり、投資採算の取れる価格での物件購入が困難になっている との懸念が高まっており、市場は増資に対して弱気な見方をしがちになっています。 しかし、J-REITのリスクプレミアム(分配金利回りと10年国債利回りとの差分)は、以前ほどではないものの、 2013年以降も一定水準を保っていることが右グラフから見え、J-REITの投資収益率が足元で大きく低下して いる訳ではありません。今後、金利上昇が予想されるものの、景気回復に伴なう空室率の改善や賃料上昇が 続き、金利上昇を乗り越える収益が見込めるようになる中で、J-REIT市場は堅調な推移を取り戻してゆくも のと考えられます。 J-REITの市況および増資等の状況とリスクプレミアムの推移 2,200 (ポイント) (2008年12月26日~2015年3月6日、週次) 2,000 1.8 1.6 東証REIT指数 (左軸) 1,800 200 1.4 1,600 1.2 1,400 1.0 1,200 0.8 1,000 0.6 20 (2008年12月26日~2015年3月6日、週次) (%) 180 18 J-REIT全体の発行済口数 (指数化、左軸) ※起点を100として指数化 160 140 120 80 600 0.4 (参考)10年国債利回り(右軸) 400 2008年12月 0.2 2012年12月 2014年12月 10 8 6 40 4 J-REITのリスクプレミアム (分配金利回り-10年国債利回り:右軸) 0 2 0 2008年12月 ※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。 12 (%) 60 20 0.0 2010年12月 14 発行済口数は、 増資や新規公開などにより 増加するものであり、この6年強で 90%近く増加したと考えられます。 100 800 16 2010年12月 2012年12月 2014年12月 ※J-REITの発行済口数は、J-REITの時価総額を東証REIT指数で 除て算出した簡易的なものであり、実際の口数とは異なります。 ■ 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資 料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成 時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産に は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。 投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご 覧ください。 1/1
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