第12回レポート問題の解説

略解と解説
数学総合レポート問題 (第 12 回)
問 1
[0, L] における u = u(x) に関する境界値問題
d2 u
+ λ u = 0,
dx2
境界値条件:
du
(0) = 0, u(L) = 0
dx
の固有値 λ と対応する固有関数をすべて決定せよ.
(解) 配布プリント(12 回)における例題と同じく λ > 0 であることがわかる.したがって
u′′ + λ u = 0 の一般解は
√
√
u(x) = c1 cos( λx) + c2 sin( λx)
( c1 , c2 は任意定数 )
である.この解が境界値条件を満たすように定数 λ を決める.
√
√
√
√
du
= −c1 λ sin( λx) + c2 λ cos( λx) であるから,境界値条件を代入すれば,
dx
√
du
(0) = c2 λ = 0,
dx
√
u(L) = c1 cos( λL) = 0
を得る.前者の式より c2 = 0 であるから,後者の式で c1 = 0 ならば自明解 u(x) ≡ 0 になってし
√
まう.よって, cos( λL) = 0 でなければならない.したがって ,
√
λL =
(1
2
)
+n π
( n = 0, 1, 2, . . . )
である.これから,固有値 λ は自然数 n で整列される実数
λn =
(1
2
+n
)2 π 2
L2
( n = 0, 1, 2, . . . )
である. また,λn に対応する固有関数 un (x) は un (x) = cos
ある.
(参考) 下図は,u0 , u1 ,u2 ,u3 のグラフである.x = 0 で
u(L) = 0 より x 軸上の点 (L, 0) を通る.
{( 1
) π }
+n
x のスカラー倍で
2
L
du
(0) = 0 より傾きが 0 であり,
dx
u0
1
u1
0
L
u2
u3
1
x
問 2
スツルム・リウビルの固有値問題において,微分演算子の自己共役性を使って,異なる固有値
に対応する固有関数は直交することを証明せよ.
(解) 証明は対称行列の場合と形式的に同じである.微分演算子 L が適当な内積 ⟨ · , · ⟩ に関して自
己共役である:
⟨u, L[v]⟩ = ⟨L[u], v⟩
· · · · · · (∗)
いま u, v はそれぞれ異なる固有値 λ, κ
L[u] = λ u,
( λ ̸= κ ) に対応する固有関数とする.
L[v] = κ v.
これを (∗) に代入すると,
⟨u, κ v⟩ = ⟨λ u, v⟩
この式は
(κ − λ) ⟨u, v⟩ = 0
と変形される.κ − λ ̸= 0 であるから ⟨u, v⟩ = 0,すなわち,u と v は直交する.
2