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やきはま
蛤を焼く縄文の潮の香の
細谷亮太
大屋達治
唸らせる非凡さがあります。私達日本人にとっ
て貝類は大昔から貴重な蛋白源でした。貝塚か
らも、それが知れます。日本人の魂を不思議に
刺激する﹁縄文﹂の二字が句の真中に置かれた
ことで、この十七文字が読者に様々な感慨を呼
び起こすことになるのは奇跡的です。
そうしないと焼けた時にガパッと口が開いて、
切り取って火にかけなさいと書いてあります。
ちょうつがいの両側に飛び出した部分︵目︶を
入れ一晩砂をはかせて洗います。お料理本には
の塩水につけ、金けのもの、例えば包丁などを
別の味わいがあります。最後に、同じ作者の貝
事実を知ったあとで、この句に出会うと、また
が貝塚であるとも言われているようです。この
送り、又還ってくることを願った呪術的な場所
は、この世での役割を終えたものを、あの世に
埋葬された犬や人の骨までもが見つかり、現在
私達は貝塚が古代人のゴミ捨て場であると小
春が食べどきなので、蛤は春の季語とされて 学校の頃に習いました。近年、そこから丁寧に
います。大きめのものを選び海水ぐらいの濃さ
おいしい汁がこぼれてしまうからでしょう。
︵聖路加国際病院
顧問︶
の句をもうひとつ。
作者は一九五二年︵昭和二十七年︶兵庫県生
れ、千葉県在住の俳人です。掲句のポイントは ころがりてほどよくとまる栄螺かな
何と言っても﹁縄文﹂。そこに行くかと読者を
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CLINICIAN Ê15 NO. 636
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