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ナイス・キャッチ
細谷亮太
したのではなくポーンと投げてキャッチさせた
林檎は青春の象徴のようなものです。男の中に
何時までも残っている少年性を詠んだ佳句です。
現在、私達が目にする林檎は西洋からの渡来
で明治以降に普及したものです。それ以前にも
だいています。お題は﹁林檎﹂だそうです。私
しゃることでしょう。十月の番組に招んでいた
﹁NHK俳句﹂の選者をし
正木さんは、現在、
ておられるので知ってるよという読者もいらっ
ゴン﹂と呼ばれているうちに﹁リンゴ﹂になっ
で﹁ゴン﹂と読まれるので、
﹁リンキン﹂﹁リン
と呼ばれたとか。﹁檎﹂は漢音で﹁キン﹂、呉音
こと。果実をめがけて鳥が集まることから林檎
どを﹁猛禽類﹂とすることでわかるように鳥の
中国経由の地味な林檎が存在していました。そ
は団塊の世代の頭ですが、彼女は団塊の尻尾ぐ
林檎投ぐ男の中の少年へ
正木ゆう子
らいの年代です。熊本生まれで受験校として名
たとの説が有力なようです。
もそも林檎は中国語なのです。﹁禽﹂はタカな
高い県立熊本高校を卒業、お茶の水女子大で学
ジとしても青春性とか知性が主流になったと考
びます。男子校の中の稀少女子だったはずです。
古俳諧にはほとんど例句がないうちにアダム
私の卒業した高校︵県立山形東高校︶も五十人
とイブの西洋リンゴが一般化したため、イメー
のクラスに三人ぐらいしか女子はいませんでし
えられます。
︵聖路加国際病院
顧問︶
た。そんな時代だったのです。そうした生活の
中で鍛えられた正木さんの今月の句です。手渡
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CLINICIAN Ê16 NO. 652
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