2015/01/07 様々な要因で変動する原油価格

2015年1月7日
ご参考資料
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今回のテーマ
様々な要因で変動する原油価格
原油需要が減少する懸念や、OPEC(石油輸出国機構)の減産
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
見送りなどを背景に、原油価格は足元で下落傾向にあります。
このように、原油価格の動きには様々なものが関わっているよう
です。今回は原油価格とその変動要因について調べてみました。
1.原油価格
原油価格は、原油の国際単位である「バレル」(1バレル=約159
リットル)あたりの取引価格のことで、「1バレルあたり○ドル」といっ
た表記が一般的です。
取引される主な原油としては、北米市場の「WTI」、欧州市場の
「北海ブレント」、アジア市場の「ドバイ原油」があり、これらの価格
は原油取引の際の指標とされています。
原油などの商品(コモディティ)市場では、「先物取引」の規模が大
きく、先物価格が注目される傾向にあります。先物価格とは、将来
の特定の期日・価格で商品を受け渡すことを事前に約束する「先物
取引」における価格です。原油を売る生産者や購入する企業など
は、先物取引によってあらかじめ取引価格を決めておくことで、急
激な価格変動による損失を回避(ヘッジ)しています。
また、先物取引では、実物の商品を持たずに売買することが可能
なことに加え、取引の差額のみを受け取る「差金決済」を行なうこと
ができます。こうしたことから、価格変動による収益獲得を目的とし
た投資家の多くは、先物取引によって原油などの商品を売買して
います。
米国のテキサス州などで
産出される「WTI」(West
Texas Intermediate)や、
イギリスの北海油田で採れ
る「北海ブレント」は、硫黄
分が少なく、ガソリンや灯油
などを多く取り出せる高品
質な原油とされています。
一方で、「ドバイ原油」は硫
黄分が多く、比較的安値で
取引される傾向があります。
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□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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先物市場に短期的な投機資金が流入し、先物価格が大きく変動
することで、現物の原油価格に影響を与えることもあるようです。
2.需給バランスと原油安
原油などの商品が、株式や債券と大きく異なるのは、取引によっ
て利ざやを得るだけでなく、実際に商品を消費・利用する目的でも
売買が行なわれるという点です。そのため、中長期的には、現物の
需要と供給のバランスが原油価格に影響を与えます。
中東などの主要産油国12ヵ国が加盟しているOPEC(石油輸出
国機構)は、原油の生産量をコントロールし、需給を調整すること
で、原油価格の安定をめざしています。加盟国は、総会で決定した
生産量の目標を達成することをめざし、協調しています。
ただし、OPECの原油生産量は世界全体の4割程度に留まってお
り、原油生産はOPEC以外の国々でも行なわれています。そのた
め、OPECの原油価格への影響力には限界があり、産油国が自国
の収益やシェアを優先して増産や減産を行ない、需給バランスが
崩れて原油価格が乱高下することもあります。
昨今、世界的な原油価格の下落傾向、いわゆる「原油安」と呼ば
れる状態が続いています。背景には、中国や欧州などの景気減速
に伴なう需要減少や、シェール・オイルの生産増加により、原油の
供給が需要に対して過剰であるとの見方が市場で強まっているこ
とがあります。また、2014年11月にOPECが原油の減産を見送り、
生産目標を据え置いたことで、そうした懸念は更に強まりました。
最近の原油価格の下落の
背景には、供給過剰のほ
かに、米ドル高の進行が挙
げられます。原油は主に米
ドル建てで取引されるため、
米ドル高は原油の調達コス
トの上昇につながり、原油
市場から投機的な資金が
流出する傾向にあります。
一般に原油安は、産油国やエネルギー関連企業にとって収益の
悪化などにつながる一方で、エネルギー輸入への依存度が高い日
本や欧米などの純輸入国にとっては、景気回復や企業業績への追
い風になると考えられます。原油安が景気を刺激し、世界経済の
回復期待を背景に原油の需給見通しが改善すれば、原油価格は
持ち直していくことも考えられます。今後も原油価格の動向には注
目が集まりそうです。
短期的な投機資金や現物の需給など、原油価格は様々な
要因によって動くようです。世界経済の動向をみるうえで、
原油安のメリットとデメリットも意識しておきたいですね。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
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