高まる補正予算への期待

2016年4月21日
ご参考資料
148
今回のテーマ
厳しい財政のなか、高まる補正予算への期待
2016年度一般会計予算が3月29日に成立しました。この予算は
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
社会保障や公共事業などに充てられますが、どのような流れで成
立し、他にはどのような予算があるのでしょうか。今回は、一般会
計予算と補正予算について、調べてみました。
1.一般会計予算
社会保障や公共事業、防衛費などの財源となる一般会計予算
(当初予算)は、 4月から翌年の3月末までの年度単位で毎年編成
され、国会での審議を経た後、成立します。
成立までの主な流れをみると、まず7月から8月末にかけて、政府
から示された概算要求基準(シーリング:各省庁ごとの予算要求額
の上限)に沿って、各省庁は、翌年度の政策に必要な予算額を見
積り、財務省に提出します。
9月からは、提出された予算要求に対して財務省による査定が始
まり、財務省と各省庁の担当者で、折衝が行なわれます。その後、
秋頃までに予算要求が絞られていきます。
12月には、政府予算案をまとめるにあたり、政権の基本的な理念
や骨格を示す「予算編成の基本方針」が閣議決定されます。予算
案が正式決定される前に、大臣同士で内容の確認や交渉を行なう
「大臣折衝」などを経て、年末には最終的な予算案が閣議決定され
ます。翌年1月からは、通常国会で予算案が審議され、予算委員会
などでの議論を経て、通常は3月末までに国会で可決され、正式に
成立します。
政策経費(社会保障費や
公共事業など)を抑制した
分を財源にして、政府の成
長戦略に沿った政策につい
て予算要求できる特別枠
が設けられています。2016
年度は、生産性の向上につ
ながるロボットなどの技術開
発や、観光立国の推進など
の予算が計上されています。
(次のページヘ続きます)
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
(1/2)
2016年度一般会計予算は過去最大の96兆7,218億円となりまし
た。内訳を見ると、社会保障、国債費、地方交付税交付金等の合
計で歳出の約7割を占めています。政府は、2020年度までに基礎
的財政収支(プライマリーバランス。財政の健全性を測る指標で、
借入金を除く税収などの歳入から過去の借入に対する元利払いを
除いた歳出を差し引いた額)の黒字化を目標に掲げていますが、
2016年度予算では約11兆円の赤字となっており、国債発行残高
が増加せざるを得ない状況が続いています。
2.補正予算
「補正予算」とは、年度途中に著しい社会情勢の変化、突発的な
自然災害対策など、新たな財政需要が発生したときに編成される
予算です。内閣が補正予算案を作成し、国会の審議を経た後、成
立します。一般会計予算(当初予算)と補正予算を合わせた金額が
当該年度の最終的な予算となります。
2014年度や15年度は、それぞれ3兆円規模の補正予算が編成さ
れましたが、過去にはリーマン・ショック後の景気対策や、東日本大
震災からの復旧・復興などのために、10兆円を超える規模で編成
されたこともあります。
足元の金融市場では、2016年度補正予算への期待が高まって
います。その背景として、国内外の景気に先行き不透明感があるこ
とや、日本銀行がマイナス金利を導入したものの、円高が進行して
いること、20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議におい
て、景気下支えのために、機動的な財政出動の活用が強調された
こと、夏の参議院選挙に備えて、政府・与党にとって景気の浮揚を
はかる必要が生じていること、などがあります。
予算には、年金や国債整
理などのように用途が限定
されている「特別会計」もあ
ります。その規模は一般会
計予算の約2倍(会計間の
やりとり等を除く、2016年
度)に上っています。
こうしたことから、政府は補正予算を編成する方針を固め、秋の
臨時国会での成立をめざす見通しです。世界経済が主要テーマと
なる、5月下旬の主要7ヵ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)での
議論を踏まえ、予算規模を最終的に決定するとみられています。な
お、安倍首相は、熊本地震の発生に伴なう復旧・復興費用を盛り
込んだ補正予算を編成する可能性にも言及しています。
厳しい財政状況が続く日本において、費用対効果の高い政策を
中心に予算配分することなどによって、経済再生と財政健全化の
両立が期待されます。
次世代分野の産業育成や、足元の景気への配慮など財政
への期待が高まる一方で、厳しい財政状況のなか、政府
の舵取りは難しさを増していますね。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
(2/2)