1.ブラジルの政治経済 150

2016年5月26日
ご参考資料
150
今回のテーマ
混迷するブラジルの政治経済
今年、オリンピックが開催されるブラジル。華やかなイベントがあ
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
る一方、景気は低迷し、汚職事件の拡大や大統領の職務停止な
ど政治は混迷しています。かつて高成長が続いた同国に何が
あったのか?今回、ブラジルの政治経済について調べてみました。
1.ブラジルの政治経済
80年代後半から90年代前半にかけて、ブラジルは財政赤字を補
うために紙幣を増刷したことなどからハイパーインフレに陥りました
が、その後の財政の大幅調整や新通貨の導入などにより、インフ
レは鎮静化しました。しかし、貧富の差の拡大などを背景に、国民
の不満が高まり、03年に労働党ルーラ政権が誕生しました。当初、
同大統領の社会主義的な政治姿勢から、市場で経済の先行き懸
念が高まり、通貨が急落したものの、同政権は予想に反し、財政健
全化路線をとりました。そのため、市場からの信認が高まり、通貨
が上昇に転じたため、通貨防衛のために引き上げられていた金利
が低下し、景気も回復に向かいました。
さらに、金利低下に伴ない自動車や家電などの割賦販売が伸び
たことや、同政権による低所得世帯向けの給付金制度などにより、
個人消費が押し上げられました。また、2000年代後半の資源の需
要増加と価格上昇により、鉄鉱石などの輸出が急増し、将来有望
なBRICsの一角として好調な経済成長が続きました。一方、投資に
ついては、他国に比べて高い金利水準や複雑な規制などにより、
相対的に低い水準が続きました。そのため、供給力不足という、イ
ンフレにつながりやすい構造的な問題は解決されないままでした。
複雑な税制、労働・雇用面
での過剰な保護、治安への
対応、高金利、道路・鉄道
などのインフラ不足、などが
ブラジルコストとして指摘さ
れており、ビジネス環境の
改善が求められています。
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□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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11年に労働党のルセフ大統領が就任し、前政権の政策は基本的
に引き継がれました。しかし、インフレ圧力の高まりに伴ない金利
が引き上げられたほか、中国などの外需の縮小により、輸出が減
少に転じ、景気が減速し始めました。こうした中、13年にバス料金
の値上げ反対運動をきっかけにしたデモが、社会福祉に優先して
サッカーワールドカップ大会へ巨額投資をしたことに対する抗議に
発展し、ルセフ政権の支持率は低下していきました。
2.ルセフ大統領の弾劾
国営石油会社ペトロブラスをめぐる汚職事件では、同社幹部が長
年にわたり特定業者と水増し契約を繰り返し、それにより捻出され
た裏金の一部が、労働党や政府を支持するその他政党に流れたと
されています。この疑惑は14年3月に表面化し、その後の捜査の拡
大を背景に、全国規模で抗議デモが発生し、長引く景気低迷や高
インフレなども相まって、大統領への批判が高まっていきました。
こうしたなか、野党議員による大統領弾劾の動きが強まり、弾劾
請求が下院に提出されました。当初、弾劾される可能性は低いと
みられていたものの、与党議員の造反などもあり、16年5月に弾劾
裁判所の設置の是非をめぐる採決が実施され、過半数の賛成に
よって設置が決定されました。これにより、ルセフ大統領の職務は
最大180日間停止され、テメル副大統領が大統領代行となりまし
た。今後、弾劾裁判の結果、3分の2以上の賛成によって大統領の
解任が決議された場合、ルセフ大統領は失職し、テメル氏が正式
に大統領に昇格して18年までの任期を務めることになります。テメ
ル氏は演説で、ビジネス環境の改善と財政再建が急務であると述
べ、市場からも期待が寄せられていますが、テメル氏に対しても弾
劾請求が提出されるなど、政権が安定するか不透明な情勢です。
14年にルセフ氏が再選さ
れた大統領選挙で、ルセフ
陣営の選挙資金に、ペトロ
ブラスの裏金が流用された
疑いがかけられており、疑
惑が証明されれば、裁判
所が再選挙を命じる可能
性もあります。
ブラジルは、広大な国土、2億を超す人口と若い平均年齢、豊富
な天然資源や農作物など成長のポテンシャルに富んでいます。か
つての高成長を取り戻すためには、財政規律を維持して市場の信
認を回復し、通貨の上昇を通じて、インフレ率と金利の低下につな
げる必要があります。また、規制緩和や税制の簡素化など、経済
成長を阻害する制度的な要因を減らし、投資を拡大する必要もあり
ます。そのためには、機能不全に陥っていた政治の安定が何よりも
重要になるとみられ、今後の同国の政治情勢が注目されます。
景気の低迷が続くなか、足元でインフレ圧力の低下がみら
れるようです。ブラジル経済の回復が、水面下で進んでい
るのかもしれませんね。
※個別企業については、売買等を推奨する
ものではありません。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
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