2016年9月23日 ご参考資料 158 今回のテーマ 改定を重ねて正確性が高まっていくGDP 国の経済規模を見る際によく使用されるGDPは、1回のみ公表さ 新人くん 日興アセットマネジメント の新人。営業推進部門に 配属され、投信や経済に ついて勉強中。 れるのではなく、段階的に改定され、正確性が高まっていきます。 今回は日本のGDP改定と、2016年12月に予定されている平成 23年基準改定について調べてみました。 1.GDP改定 国の経済活動の規模を金額で表すGDP(国内総生産)は、日本 の場合、四半期ごとに速報が公表され、その数値は5段階にわ たって改定されます。公表タイミングの早いものから順に挙げると、 1次速報、2次速報、確報、確々報、基準改定となります。 1次速報は「GDP速報値」とも呼ばれ、四半期末の約1ヵ月半後 に公表されます。利用できる基礎資料がまだ少ない段階におい て、速報性を重視して作成されます。2次速報は「GDP改定値」とも 呼ばれ、法人企業統計などの、より精度の高い基礎資料も活用し て、1次速報の約1ヵ月後に公表されます。98年までは、四半期末 の約2ヵ月後に1回だけ速報が公表されていましたが、海外では四 半期末の約3~4週間後に暫定値が公表されていたことなどから、 公表時期を早め、2回に分けて公表されるようになりました。 確報は「GDP確定値」とも呼ばれ、より確度の高いデータに基づ き作成され、毎年12月頃に前年度分が公表されます。確々報は、 確報公表の1年後に、新たなデータの入手によって確報を改定した ものです。そして、基準改定は、産業連関表などの基礎統計の公 表に合わせて行なわれる、5年に1度の大幅な改定です。 法人企業統計は、年次ま たは四半期ごとに、全国の 営利法人等(株式会社や 組合など)を対象に実施さ れる調査で、売上や利益、 設備投資などの情報が集 計されたものです。 (次のページヘ続きます) □当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料 ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 (1/2) GDP改定の問題点としては、1次速報と2次速報の改定幅の大き さがあります。各時点で利用可能な統計情報を使用するため推計 誤差が生じ、過去には、15年7-9月期実質GDPが、1次速報の前 期比年率0.8%減から、2次速報では同1.0%増と大幅にぶれたこと がありました。また、確報の正確性について、最近、発表された日 銀の論文では、全数調査で捕捉率が高い税務情報を利用して推 計した14年度実質GDPは前年度比2.4%増となり、内閣府公表の 同0.9%減とは大きな差が生じたとされています。 このように、GDPは推計に利用する統計情報の時点や種類によ って、大きな差が生じる可能性があります。 2.平成23年基準改定 GDP統計の基準改定は、産業連関表(国内で一定期間に行なわ れた財・サービスの取引を一つの行列に示した表)や国勢統計、住 宅・土地統計など約5年ごとに作成される大規模で詳細な基礎統計 の最新版を取り込み、過去のデータを再推計する作業のことで、約 5年ごとに実施されます。 その際、反映する産業連関表の対象年を基準年とし、名目値と実 質値が原則一致するようになっています。また、改定時には、各種 項目の定義変更や推計方法の見直しなども併せて実施されます。 新基準は、12月8日に公 表される2016年7-9月期 の2次速報から適用されま す。これにより、民間企業 設備や公的固定資本形成 が押し上げられるとみられ ます。 今年12月に基準改定が行なわれ、平成23年産業連関表などを 取り込んで、基準年が現行の平成17(2005)年から平成23(2011) 年に変更となるほか、最新の国際基準である「2008SNA」にも対応 されます。この対応により、これまで経費として扱われていた「研究 開発費」などが付加価値を生む「投資」と見なされ、GDPに加算さ れることになります。これにより、主に民間企業の設備投資や公共 投資が押し上げられ、内閣府によると、2011年の名目GDPは、 19.8兆円かさ上げされると試算されています。 今回の基準改定に伴なって見込まれるGDPの押し上げ効果は、 政府が掲げる名目GDP600兆円の目標や、2020年度以降の財政 健全化目標である、政府債務残高(対GDP比)の引下げにも影響 を与えるとみられます。基準改定によって、実体経済が変わる訳で はないものの、GDPは景気判断に影響を与え、政策のよりどころと なる重要な統計だけに、さらなる正確性向上が期待されます。 ニュースでよく見聞きするGDPですが、様々な工夫がある んですね。統計のさらなる正確性向上に向けて、今後の議 論が注目されます。 □当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料 ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 (2/2)
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