Weekly Report 2014年9月16日 Mitsubishi UFJ Asset Management グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム シニアエコノミスト 岩城 裕子 5分でわかる週間マーケット 前週末のマーケット指標 株式 日経平均株価(日経225) TOPIX(東証株価指数) NYダウ工業株30種平均株価 S&P500種株価指数 NASDAQ総合指数 ドイツDAX30種株価指数 債券 日本新発10年国債利回り 米国10年国債利回り ドイツ10年国債利回り 豪州10年国債利回り ブラジル2年国債利回り 為替 円/米ドル 円/ユーロ 米ドル/ユーロ 円/豪ドル 円/ブラジルレアル 政策金利 米国(FFレート) 欧州(ECBリファイナンス金利) 豪州(RBAキャッシュレート) ブラジル(中銀ターゲット金利) 15,948.29 1,313.72 16,987.51 1,985.54 4,567.60 9,651.13 0.570 2.611 1.082 3.608 11.873 107.34 139.15 1.2963 97.01 45.91 0.25 0.05 2.50 11.00 前週末比(幅) 279.61 20.51 ▲ 149.85 ▲ 22.17 ▲ 15.30 ▲ 95.89 前週末比(幅) 0.035 0.152 0.154 0.144 0.433 前週末比(幅) 2.25 3.04 0.0012 ▲ 1.55 ▲ 0.98 前週末比(幅) 0.00 ▲ 0.10 0.00 0.00 前週末比(%) 1.78% 1.59% ▲0.87% ▲1.10% ▲0.33% ▲0.98% 前週末比(%) 2.14% 2.23% 0.09% ▲1.57% ▲2.09% *株式の単位は円、米ドル、ポイント。為替の単位は円、米ドル。債券、政策金利の単位は%。 *直近の米国(FFレート)は0.00~0.25%。 *日本銀行は2013年4月より金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更。 *欧州(ECBリファイナンス金利)は実効ベース。 前週の市場動向 株式・債券市況 前週の株式市況(前週末比)は、米独の株価が下落(日本株は上昇)、日米独の債券利 回りは上昇して終了しました。 米独株は、米国雇用統計後の材料出尽くし感から週前半は売られるなか、来週の FOMC(米連邦公開市場委員会)でタカ派色が強まるとの思惑から米国金利が上昇した ことなどが嫌気され、前週末比下落して終了しました。 日本株は、来週のFOMCに関する思惑に加え、本田内閣官房参与が現状の景気情勢 が続けば、日銀は追加緩和が必要となる可能性につき言及したとの海外メディアでの報 道等を受け円安が進展し、前週末比上昇して終了しました。 為替市況 前週の為替市況(前週末比)は対円で米ドルが2.14%の上昇、ユーロが2.23%の上昇、 豪ドルが1.57%の下落となりました。 豪ドルは、11日発表の8月豪州雇用統計の雇用者数が市場予想を大幅に上回る前月比 増加となるも、FOMCに関する市場の思惑から豪ドルが対米ドルで売られたことから、対 円でも下落して終了しました。 1 Weekly Report Mitsubishi UFJ Asset Management 今週の注目ポイント1 米国:今週はFOMC―今回は大幅な文言変更の可能性は低いなか、年内はリスク選 好が強まる展開を想定 今週のハイライトは16-17日(現地時間)に開催されるFOMCです。今回は四半期毎に 公表となるFRB(米連邦準備制度理事会)の経済予測の最新値が発表されるとともに、10 月のQE3停止を控え、FRBがタカ派スタンスを強めるとの思惑が高まっています。実際、8 月末対比での12日時点の主要資産騰落率(原資産通貨建て)をみると、金利敏感な米 国リート・不動産、NY金先物や新興国株の下落幅は大きくなっています。為替について は、上記の思惑に加え、日銀の追加金融緩和への期待の高まりを反映し、主要通貨対比 で急激に円安が進展しましたが、これらの資産以外は比較的落ち着いた動きとなっていま す。 さて、今回のFOMCでタカ派色は強まるのでしょうか?FRBは7月のFOMC声明文で 「“labor underutilization(活用されていない労働力)”が著しく残存していること」とハト派 を印象づける文言を追加したばかりです。もちろん、9月の経済予測では2014年以降の失 業率予想を下げると思われますが、インフレ率(PCEコア)は据え置く可能性があります。な お、現行のペースで失業率が低下していくと、6月時点のFRBの長期的な失業率予想の下 限 で あ る 5.2 % に 到 達 す る の は 2015 年 夏 場 と 試 算 さ れ る な か 、 FF 金 利 を ”for a considerable time(かなりの期間)”維持することの根拠として強調している“インフレ率 2%以下”の2%が見えてくるのは、PCE総合ベースでは早くて年末(なおPCEコアではまだ 先)と予想されます。 FRBの経済予測どおり米国景気が拡大すれば、来年央にはFRBの利上げが視野に入る と思われ、その直前直後は金融市場のボラティリティが高まる展開が想定されます。しかし ながら、9月のFOMCでは(タカ派色を強めるような)大きな文言変更は行われないとみて おり、年末にかけて投資家のリスク選好は強まる展開を想定しています。 図表1 主要資産の騰落率(2014年9月12日時点:2014年8月末対比) (%) 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 NY金先物 米リート・不動産 WTI原油先物 BRICs株 新興国株 先進国HY(米国以外)債 先進国太平洋株 ブラジルレアル 新興国アジア株 先進国HY(米国)債 新興国債券 先進国株 米国債 独国債 先進国北米株 スペイン国債 J-REIT 日本国債 イタリア国債 南アランド 豪ドル ポルトガル国債 新興国欧州株 トルコリラ NZドル 先進国欧州株 ロシアルーブル カナダドル スイスフラン メキシコペソ ユーロ IDルピア インドルピー 米ドル 人民元 (出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、すべての資産は原資産通貨建て。 株価はMSCI、為替は対円レート、NZドルはニュージーランド・ドル、IDルピアはインドネシアルピア。 債券はすべてトータルリターンベース。新興国債券はJPモルガンEMBIグローバルコア指数、 先進国HY(米国)はMarkit iBoxx リキッド・HY社債指数、先進国HY(米国以外)はMarkit iBoxx先進国(除く米ドル建て) HY社債指数、それ以外はCiti国債総合指数。リートは米国リート・不動産はダウ・ジョーンズ指数、J-REITは東証リート指数。 2 Weekly Report Mitsubishi UFJ Asset Management 今週の注目ポイント2 豪州:豪州債へのニーズは運用・調達サイドともに旺盛 豪 ド ル ( 対 円 ) の 12日 時 点 の パ フ ォ ー マ ン ス を 振 り 返 る と、 主 要 通 貨( 31 通 貨 、 Bloomberg拡大通貨ベース)の中で騰落率は昨年末比で第5位と上位に入るなか、ボラ ティリティ(価格の変動性)も低下傾向にあり、豪ドルのパフォーマンスは良好です。これは、 日豪金融政策の方向性の違いが意識されるといった先行きの見方に加え、現状における 日米独といった主要先進国との金利差が同国債券市場への資金流入を促していることが 背景にあると思われます。実際、2日発表の4-6月期国際収支統計は豪州への証券投 資のうち、債券投資額が順調に拡大していることが確認されています。また、資金調達サイ ドでみても、海外勢の豪ドル建て債券(=カンガルー債)の発行残高は増加傾向にあり、海 外勢の同国債券による資金調達額(ネット、発行―償還)も再び増加しています(資金循環 統計ベースの最新値である4―6月期は9月25日に公表予定)。直近のBloomberg集計 の7―9月期のカンガルー債の発行額も堅調さを維持しており、豪州債へのニーズは運用・ 調達サイド双方から強まっているといえ、こうした要因が豪ドルの底堅さにつながるとみてい ます。 (100万豪ドル) 図表2 海外からの豪州証券投資 60,000 40,000 債券 株式 20,000 0 -20,000 -40,000 (暦年四半期) -60,000 90/3 93/3 96/3 99/3 02/3 05/3 08/3 11/3 14/3 (出所)豪州統計局のデータを基に三菱UFJ投信作成 図表3 カンガルー債発行残高 図表4 カンガルー債発行額 (10億豪ドル) (10億豪ドル) 180 18 160 16 カンガルー債発行額 140 14 同上移動平均(1年) 120 12 100 10 80 8 60 6 4 40 20 0 2004/1 (月次) 2007/1 2010/1 2013/1 2 0 2004/3 (暦年四半期) 2006/3 2008/3 2010/3 2012/3 2014/3 (出所)RBA(豪州連邦準備銀行)のデータを基に三菱UFJ投信作成 カンガルー債の発行残高の最新値は7月値。 (出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成 直近は7-9月期(9月12日集計分まで)。 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でな さるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は 株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではあ りません。投資信託は、預金保険の対象とはなりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありま せん。本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。 3
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