Science Translational Medicine 2015 年1 月 7 日号ハイ

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米国東部標準時 2015 年 1 月 7 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 1 月 7 日号ハイライト
治療によって前立腺癌をだまして治療抵抗性を逆転させる
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊
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治療によって前立腺癌をだまして治療抵抗性を逆転させる
Therapy Can Trick Prostate Tumors into Reversing Resistance
バイポーラ・アンドロゲン療法(bipolar androgen therapy)と呼ばれる戦略が治療に有用
であり、場合によっては前立腺癌の抵抗性を逆転させる可能性がある。パイロット研究
による有望な結果は、治療抵抗性前立腺癌の患者に希望を与えることができるであろう。
進行段階の前立腺癌に対する一次治療は、腫瘍からテストステロンなどのアンドロゲン
ホルモンを枯渇させるホルモン療法である。しかし、前立腺癌細胞は、アンドロゲン受
容体の活性を高めて対処し、結果として抵抗性を高める。これまでの研究では、このよ
うな化学的な回避策を逆手に取ることができる可能性が示唆されている。というのは、
テストステロンの低供給状態に慣れてしまった腫瘍細胞は、高濃度のホルモンを再び与
えられると死滅する可能性があるからである。これらの知見に基づいて、Michael T.
Schweizer らがデザインしたのがバイポーラ・アンドロゲン療法で、これは、間欠的な
投与戦略によって、高濃度と低濃度のテストステロンを交互に送達するというものであ
る。パイロット臨床試験では、バイポーラ・アンドロゲン療法を受けた抵抗性前立腺癌
患者 16 例のうち、7 例が寛解を達成した。それらの患者の血中では、前立腺癌に関連す
る抗原の濃度の低下がみられた。画像検査により、4 例では腫瘍縮小がみられ、1 例で
は腫瘍が完全に消失したことが認められた。テストステロン濃度の増減を完了した患者
は、過去に効果がなくなったホルモン除去療法に対する感受性が再びみられ、バイポー
ラ・アンドロゲン療法が抵抗性を逆転しうる可能性があることが示唆された。著者らに
よれば、バイポーラ・アンドロゲン療法は、次の相の臨床試験に進んでおり、抵抗性前
立腺癌における抵抗性逆転の基礎にある遺伝子変異の探索も目指しているという。