Science Translational Medicine 2015 年3 月 11 日号

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米国東部標準時 2015 年 3 月 11 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 3 月 11 日号ハイライト
アルツハイマー病マウスモデルでは、超音波によってプラークが消失し、記憶が回復す
る
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)
です。以下に記載する次号掲載予定論文に関する報道は、解禁日時まで禁止します。
論文を引用される際には出典が Science Translational Medicine および AAAS であることを明
記してください。
アルツハイマー病マウスモデルでは、超音波によってプラークが消失し、記憶が回復す
る
Ultrasound Clears Plaque, Restores Memory in Mouse Model of Alzheimer's Disease
新しい研究によれば、超音波検査が、アルツハイマー病マウスモデルのプラークを消失
させ、記憶を回復させるのに役立つ。超音波は、脳の免疫系の戦士であるミクログリア
細胞を刺激することによって作用し、疾患の原因となるプラークを貪食させる。この非
侵襲的な技術(薬物を用いた通常の方法とは全く異なる方法)は、まだ試験の初期段階
であるが、いつの日か、神経変性疾患や脳の異常タンパク生成が関与するその他の疾患
の治療戦略の一つとなる可能性がある。アルツハイマー病の脳損傷は、通常、プラーク
(アミロイド-β と呼ばれるタンパク質断片の異常沈着)が原因である。アルツハイマー
病およびその他の多数の脳疾患の治療は、効果がはっきりしない。この理由の一部は、
血液脳関門(保護的な密接に結合した細胞層)が、循環血内にあるほとんどの薬物を脳
に到達させないことである。Gerhard Leinenga と Jürgen Götz は、薬物がマウスの脳に侵
入し、アミロイド-β プラークを除去するかどうかを、超音波検査(組織に音波を放射し、
内臓や胎児の画像を捉える装置)により検討した。集束超音波(高エネルギーの音波を
送達する)は、注射した微小気泡(超音波に反応して振動する)と組み合わせると、一
時的に血液脳関門を開くことができる。ヒト脳への侵入における集束超音波と微小気泡
の利用は、これまでサルで試験されてきた。Leinenga と Götz はアミロイド-β プラーク
を形成するマウスの脳にこの技術を数週間にわたって繰り返し適用した。その結果、マ
ウスの 75%で、脳に傷害が起きることなく、超音波によってプラークがほぼ完全に消失
したことが明らかになった。未処理のマウスと比較して、処理マウスは記憶が改善され、
3 種類の記憶検査(Y 迷路、新奇物体認識試験、行動場所回避タスク)で良好な成績を
示した。脳組織の解析で、超音波がミクログリア(細胞残差を貪食する免疫細胞)を刺
激し、多くのアミロイド β プラークを取り込ませたことが明らかになった。Leinenga と
Götz は、集束超音波と微小気泡の技術を、アルツハイマー病のヒツジモデルで試験する
ことを計画している。