Science Translational Medicine 2015 年1 月 21 日号

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米国東部標準時 2015 年 1 月 21 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 1 月 21 日号ハイライト
オキシトシンにより自閉症マウスの社会行動が改善する
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)
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論文を引用される際には出典が Science Translational Medicine および AAAS であることを明
記してください。
オキシトシンにより自閉症マウスの社会行動が改善する
Oxytocin Improves Social Behavior in Mice with Autism
Olga Peñagarikano らにより、自閉症のマウスモデルで、オキシトシンが社会行動を顕著
に改善でき、この利益は早期治療によって長期的なものとなりうることが示された。オ
キシトシンは動物において社会的な絆や信頼性の構築を助けるホルモンで、自閉症スペ
クトラム障害に対する治療薬候補として強い関心を引き起こしているが、臨床試験では
これまでのところ決定的な結果が出ていない。脳内でのオキシトシンの働きを明らかに
するため、著者らは、ある遺伝子の欠失により遺伝子学的な自閉症を有するマウスを作
製し、自閉症スペクトラム障害を含む遺伝性の発達症候群を発症するようにした。その
結果、オキシトシンを投与した自閉症マウスでは行動の検査で大幅に優れた成績が認め
られ、1 匹でいるよりも他のマウスと影響しあって過ごす時間が長いことが分かった。
脳内のオキシトシン放出を促進する薬物をマウスに投与したところ、同じ効果が認めら
れた。詳細に分析したところ、自閉症マウスの脳では、オキシトシン産生ニューロンが
少ないために、オキシトシンの濃度が低くなっていることが明らかになった。まだ神経
回路が形成中の発達早期に、オキシトシンがマウスに影響を及ぼし得るかどうかを確か
めるために、Peñagarikano らは自閉症マウスに対して、出生直後から毎日オキシトシン
を投与した。早期の投与により、社会的スキルにおける長期的な利益が認められ、投与
中止後もその利益が一週間以上持続した。この結果から、ある形態の自閉症に対する治
療薬候補としてオキシトシンの研究を行うことが支持され、また早期治療が社会性の回
復に有用となる決定的な時期がある可能性が示唆される。