Science Translational Medicine 2015 年2 月 25 日号

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米国東部標準時 2015 年 2 月 25 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 2 月 25 日号ハイライト
マラウイ共和国の小児に住み着いている有害な微生物は栄養失調を促進する
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)
です。以下に記載する次号掲載予定論文に関する報道は、解禁日時まで禁止します。
論文を引用される際には出典が Science Translational Medicine および AAAS であることを明
記してください。
マラウイ共和国の小児に住み着いている有害な微生物は栄養失調を促進する
Harmful Bugs in Malawian Children Drive Malnutrition
栄養失調のマラウイの乳児の腸から疾患の原因となる細菌が同定され、食事・腸内微生
物叢・宿主免疫系がどのようにして相互作用し重度の小児栄養失調を引き起こすのかに
ついてのヒントが得られた。ヒトの腸は、食物の消化を助け必須ビタミンを産生する数
100 兆個の微生物のすみかになっている。消化管に分泌されるイムノグロブリン A(IgA)
と呼ばれる抗体が、この微生物の生態系を制御し同時に宿主を有害な細菌から保護して
いる。微生物がクワシオルコル(重度 栄養失調の 1 つ)にどのように関与しているかを
深く理解するため、Andrew Kau らは、マラウイの一卵性双生児(いっぽうは健康、も
ういっぽうはクワシオルコル)の糞便微生物叢を、通常食または低栄養のマラウイ食を
与えた無菌マウスに移植した。そして、BugFACS(蛍光活性化セルソーター)と呼ばれ
る、1 つ 1 つの細胞を解析する方法を用いて、免疫反応を引き起こして IgA に結合する
腸内細菌を同定した。栄養失調の双子由来の微生物叢を有する食物が不十分なマウスで
は、最も大量に存在する細菌(腸内細菌ファミリーの一種)が腸疾患を促進していた。
健康な腸内細菌叢を有するマウスと比較して、これらのマウスは健康状態が不良で、急
速に体重が減少したが、これは栄養価の高い食事によって予防できた。この結果は、貧
しい食事と腸内細菌科が多数を占める腸内細菌叢が組み合わされることで、特定のタイ
プの重度小児栄養失調が促進されることを示唆している。この知見は、クワシオルコル
の診断と予防に役立つと考えられる。