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SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2014 年 7 月 16 日号ハイライト
生物学的ペースメーカー細胞は心拍動をリセットする
生物学的ペースメーカー細胞は心拍動をリセットする
Biological Pacemaker Cells Reset Heartbeats
将来、心組織を遺伝的に微調整して心拍動の速度を制御し、電気的ペースメーカーの代わり
として使える可能性があることが、新しい研究で報告された。
ヒトで機能することが証明されれば、電気的ペースメーカーが必要なのに使えない特別な場
合(先天性心ブロックを有する胎児や、植え込み後に生命を脅かす感染症を発症し、電気的
ペースメーカーを一時的に除去する必要がある成人など)に、このような生物学的ペースメ
ーカーが使えると考えられる。このような場合は、他の選択肢が緊急に必要である。電気的
ペースメーカーは、10 億ドル規模の産業であり、心臓につないで心拍動リズムをモニタリ
ングする埋め込みデバイスである。拍動が遅くなりすぎたり拍動がなくなったりしたときに
心臓に電気的パルスを送ることで機能する。ペースメーカー機器を使っていない健康な心臓
は、洞房結節と呼ばれる心臓の小さな部位にある天然のペースメーカー細胞を利用している。
洞房結節はメトロノームのように働き、心拍動を 1 分あたり 60~90 拍に保つ。心リズムが
異常な人は、この洞房結節の機能が失われている。Eduardo Marbán らは、遺伝子導入を利用
して、心組織の極めて小さい部分(通常は心拍動を引き起こさない部分)をペースメーカー
細胞に変えることに成功した。Marbán らは、TBX18 と呼ばれる遺伝子を、完全心ブロック
と呼ばれる心拍動リズムの異常をきたしたブタの心臓に注射した。TBX18 は心臓にリズム
を維持させるタンパク質を発現する。この遺伝子を心組織に入れると、正常な心臓細胞が洞
房結節細胞に変化した。「要するにわれわれは、通常は電気インパルスを伝えるが電気イン
パルスを作り出すことはない心臓の部分に、新しい洞房結節を作ったのだ。」と Marbán は
述べた。この手法は、電気的ペースメーカーを必要とすることなく、罹患したブタの心リズ
ムが異常に遅くなることを防いだ。この保護作用は 2 週間持続した。ブタモデルはヒトの心
臓や疾患と非常に似ているため、この論文の結果は、臨床試験に向けたきっかけとなる。
Article: "Biological pacemaker created by minimally invasive somatic reprogramming in pigs with
complete heart block," by Y.-F. Hu; J.F. Dawkins; H.C. Cho; E. Marbán; E. Cingolani at Cedars-Sinai
Heart Institute in Los Angeles, CA; Y.-F. Hu at National Yang-Ming University in Taipei, Taiwan;
Y.-F. Hu at Taipei Veterans General Hospital in Taipei, Taiwan.
Article: "Creating a biological pacemaker at the heart of activity," by N.V. Munshi; E.N. Olson at UT
Southwestern Medical Center in Dallas, TX.