Embargoed Advance Information from Science Translational Medicine A Journal of the American Association for the Advancement of Science http://www.aaas.org/ 問合せ先:Jennifer Anderson +1-202-326-6466 [email protected] SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE 2014 年 7 月 16 日号ハイライト 生物学的ペースメーカー細胞は心拍動をリセットする 生物学的ペースメーカー細胞は心拍動をリセットする Biological Pacemaker Cells Reset Heartbeats 将来、心組織を遺伝的に微調整して心拍動の速度を制御し、電気的ペースメーカーの代わり として使える可能性があることが、新しい研究で報告された。 ヒトで機能することが証明されれば、電気的ペースメーカーが必要なのに使えない特別な場 合(先天性心ブロックを有する胎児や、植え込み後に生命を脅かす感染症を発症し、電気的 ペースメーカーを一時的に除去する必要がある成人など)に、このような生物学的ペースメ ーカーが使えると考えられる。このような場合は、他の選択肢が緊急に必要である。電気的 ペースメーカーは、10 億ドル規模の産業であり、心臓につないで心拍動リズムをモニタリ ングする埋め込みデバイスである。拍動が遅くなりすぎたり拍動がなくなったりしたときに 心臓に電気的パルスを送ることで機能する。ペースメーカー機器を使っていない健康な心臓 は、洞房結節と呼ばれる心臓の小さな部位にある天然のペースメーカー細胞を利用している。 洞房結節はメトロノームのように働き、心拍動を 1 分あたり 60~90 拍に保つ。心リズムが 異常な人は、この洞房結節の機能が失われている。Eduardo Marbán らは、遺伝子導入を利用 して、心組織の極めて小さい部分(通常は心拍動を引き起こさない部分)をペースメーカー 細胞に変えることに成功した。Marbán らは、TBX18 と呼ばれる遺伝子を、完全心ブロック と呼ばれる心拍動リズムの異常をきたしたブタの心臓に注射した。TBX18 は心臓にリズム を維持させるタンパク質を発現する。この遺伝子を心組織に入れると、正常な心臓細胞が洞 房結節細胞に変化した。「要するにわれわれは、通常は電気インパルスを伝えるが電気イン パルスを作り出すことはない心臓の部分に、新しい洞房結節を作ったのだ。」と Marbán は 述べた。この手法は、電気的ペースメーカーを必要とすることなく、罹患したブタの心リズ ムが異常に遅くなることを防いだ。この保護作用は 2 週間持続した。ブタモデルはヒトの心 臓や疾患と非常に似ているため、この論文の結果は、臨床試験に向けたきっかけとなる。 Article: "Biological pacemaker created by minimally invasive somatic reprogramming in pigs with complete heart block," by Y.-F. Hu; J.F. Dawkins; H.C. Cho; E. Marbán; E. Cingolani at Cedars-Sinai Heart Institute in Los Angeles, CA; Y.-F. Hu at National Yang-Ming University in Taipei, Taiwan; Y.-F. Hu at Taipei Veterans General Hospital in Taipei, Taiwan. Article: "Creating a biological pacemaker at the heart of activity," by N.V. Munshi; E.N. Olson at UT Southwestern Medical Center in Dallas, TX.
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