Science Translational Medicine 2015 年4 月 1 日号ハイ

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米国東部標準時 2015 年 4 月 1 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 4 月 1 日号ハイライト
:
乳児における心臓再生の治療ウィンドウ
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル(週刊)
です。以下に記載する次号掲載予定論文に関する報道は、解禁日時まで禁止します。
論文を引用される際には出典が Science Translational Medicine および AAAS であることを明
記してください。
乳児における心臓再生の治療ウィンドウ
A Therapeutic Window for Heart Regeneration in Infants
赤ちゃんの生後 6 ヵ月間は、ヒトの先天性欠損で最も頻度の高い心臓欠損の治療に適し
た期間(治療ウィンドウ)となる可能性があることが、新たな研究により示された。そ
れによれば、新生仔マウスおよびヒトの心臓組織において、心臓の発達に必要となるタ
ンパク質の合成型または組み換え型を出生直後に投与すると、心筋を修復できることが
わかった。先天性心疾患は、心臓の構造異常を特徴とし、心不全に至ることが多い。成
人を対象とした心不全の治療法は、乳児や小児ではほとんど効果がないことが示されて
いる。小児における 1 つの利点は、発達時に心筋細胞が成長する能力を持っていること
で、この能力は成人では失われる。Brian Polizzotti らは、心筋細胞の再生を促進する成
長因子として知られているタンパク質 neuregulin-1(NRG1)の組み換え型を用いて、先
天性心疾患の小児における再生が可能な治療ウィンドウのさらなる解明を試みた。心筋
損傷を有する新生仔マウスに対して、組み換え型 NRG1 を生後 34 日にわたり毎日注射
したところ、心筋細胞の成長と心臓機能が促進され、瘢痕化が減少し、これらの改善は
投与中止後 30 日にわたり持続した。同じタンパク質の投与を生後 5 日後に遅らせると
持続的な効果は得られず、投与のタイミングが重要であることが示唆された。次に
Polizzotti らは、先天性心疾患を有する赤ちゃんの心筋を分析した。これらの組織では健
康な組織と比べて心筋細胞増殖のレベルが低いことがわかり、心疾患によりこれらの細
胞で再生能力が早期に失われたことが示唆された。組み換え型 NRG1 により、生後 6 ヵ
月未満の赤ちゃんの損傷された心筋組織は修復されたが、それ以降の赤ちゃんでは修復
されなかった。これらの結果から、生後 6 ヵ月の期間は、先天性心疾患の乳児における
心筋の再生にとって決定的な治療ウィンドウであることが示唆される。