Embargoed Advance Information from Science Translational Medicine A Journal of the American Association for the Advancement of Science http://www.aaas.org/ 本部: 1200 New York Avenue, NW Washington, DC 20005 問合せ先:Jennifer Anderson +1-202-326-6466 [email protected] 報道解禁日時: 米国東部標準時 2015 年 3 月 18 日(水)午後 2 時 SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE 2015 年 3 月 18 日号ハイライト 低分子 RNA がマウスの心臓を再生する Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル (週刊)です。以下に記載する次号掲載予定論文に関する報道は、解禁日時まで禁止し ます。 論文を引用される際には出典が Science Translational Medicine および AAAS であること を明記してください。 低分子 RNA がマウスの心臓を再生する Small RNA Regenerates Mouse Heart 遺伝子発現を微調整する RNA 分子がマウスの心臓を刺激して新たな細胞を増殖させう ることが、新たな研究で示された。この所見は、このマイクロ RNA という低分子 RNA の作用を模倣する薬物を用いる可能性を開くものである。マイクロ RNA は、遺伝子を サイレンシングして心筋を再生させ、心臓疾患を治療する。他の臓器と異なり、ヒト成 人の心臓は新しい細胞を形成して損傷後のダメージを修復することができない。これま で心臓の再生は哺乳類ではみられないようであったが、最近になってマウスは、生後最 長 6 日間は心筋細胞の再生能を有することが発見された。Ying Tian らはこの再生能を、 ヒトを含めた哺乳類の胎発生時に細胞増殖を促進するマイクロ RNA のクラスタである miR302-367 を用いて、成獣マウスで再現できるのではないかと考えた。新生仔マウスで は、このマイクロ RNA の過剰発現により心筋細胞増殖が高まったのに対して、これを 欠失させると細胞増殖が抑制されることが分かった。RNA シーケンシングにより、 miR302-367 は、 細胞分裂を抑制する分子ブレーキとして働く Hippo シグナル伝達経路 の遺伝子を抑制することが明らかになった。このブレーキを「はずす」ことで、 miR302-367 は心筋細胞を誘導して細胞周期を再開させ、増殖させることができる。心臓 発作を有する成獣マウスで microRNA を活性化させると、新たに一部の細胞の増殖が刺 激され、瘢痕化が減少し、ダメージを受けた心筋組織が修復された。しかし、 microRNA が長期間発現すると、危険な細胞増殖につながり、心臓の肥大と最終的には 心不全がもたらされる。miR302-367 模倣分子の短期投与は、マウスでこのような副作用 を引き起こすことなく、損傷組織を治癒させることができた。Ge Tao らは関連する Focus で、心臓再生のための microRNA を用いた治療の有望性と課題について論じてい る。
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