Science Translational Medicine 2015 年3 月 18 日号

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米国東部標準時 2015 年 3 月 18 日(水)午後 2 時
SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2015 年 3 月 18 日号ハイライト
低分子 RNA がマウスの心臓を再生する
Science Translational Medicine は米国科学振興協会(AAAS)発行の国際的ジャーナル
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低分子 RNA がマウスの心臓を再生する
Small RNA Regenerates Mouse Heart
遺伝子発現を微調整する RNA 分子がマウスの心臓を刺激して新たな細胞を増殖させう
ることが、新たな研究で示された。この所見は、このマイクロ RNA という低分子 RNA
の作用を模倣する薬物を用いる可能性を開くものである。マイクロ RNA は、遺伝子を
サイレンシングして心筋を再生させ、心臓疾患を治療する。他の臓器と異なり、ヒト成
人の心臓は新しい細胞を形成して損傷後のダメージを修復することができない。これま
で心臓の再生は哺乳類ではみられないようであったが、最近になってマウスは、生後最
長 6 日間は心筋細胞の再生能を有することが発見された。Ying Tian らはこの再生能を、
ヒトを含めた哺乳類の胎発生時に細胞増殖を促進するマイクロ RNA のクラスタである
miR302-367 を用いて、成獣マウスで再現できるのではないかと考えた。新生仔マウスで
は、このマイクロ RNA の過剰発現により心筋細胞増殖が高まったのに対して、これを
欠失させると細胞増殖が抑制されることが分かった。RNA シーケンシングにより、
miR302-367 は、 細胞分裂を抑制する分子ブレーキとして働く Hippo シグナル伝達経路
の遺伝子を抑制することが明らかになった。このブレーキを「はずす」ことで、
miR302-367 は心筋細胞を誘導して細胞周期を再開させ、増殖させることができる。心臓
発作を有する成獣マウスで microRNA を活性化させると、新たに一部の細胞の増殖が刺
激され、瘢痕化が減少し、ダメージを受けた心筋組織が修復された。しかし、
microRNA が長期間発現すると、危険な細胞増殖につながり、心臓の肥大と最終的には
心不全がもたらされる。miR302-367 模倣分子の短期投与は、マウスでこのような副作用
を引き起こすことなく、損傷組織を治癒させることができた。Ge Tao らは関連する
Focus で、心臓再生のための microRNA を用いた治療の有望性と課題について論じてい
る。