問題 1 面積 S の金属板 A, B が, A は z = 21 d に, B は z = − 21 d に, 平行に置か れている。面積 S は十分大きい。板 A は電荷 Q を帯び, B は電荷 −Q を帯びて いる。次の問に答えよ。 1 次の物理量を測る単位を SI 基本単位から組み立てよ。 (a) 力 (b) 仕事 (c ) 電荷 (d) 電場 (e) 電位 2 電荷から電場を決める 2 つの基本法則の名前を述べよ。 3 電気力線の概念を使って, その内容を簡単に述べよ。 4 板 A は単位面積あたりどれだけの電荷を帯びているか? 5 平板間 (− 21 d < z < 21 d) での電場の方向を求めよ。 6 そこでの電場の大きさを求めよ。 7 問 (5), (6) の結果をベクトルを使って表せ。 8 板 A が電荷 Q を帯びたまま, 板 B を取り去る。このとき, 板 A の周りの電場 を求めよ。 9 板 B が電荷 −Q を帯びたまま, 板 A を取り去る。このとき, 板 B の周りの電 場を求めよ。 10 問 (8), (9) の結果から, 平板間外 (z > 12 d, z < − 21 d) の電場を求めよ。 11 板 AB 間に置かれた微小な電荷 ∆Q に働く力を求めよ。 12 この力とつり合う外力で電荷 ∆Q を B から A に運ぶとき, 外力が行う仕事を 求めよ。 13 電荷を帯びていない板 B から板 A に電荷を運ぶことにより、板に電荷 ±Q を 帯びさせる。このために必要な外力が行う仕事を求めよ。 14 AB 間に蓄えられている電気エネルギーを Q を使って表せ。 15 AB 間の電位差を求めよ。 Q2 16 AB 間に蓄えられているエネルギーは 2C と書ける。平板 AB のキャパシタン ス C を求めよ。 解 1 (a) kg m s−2 . 力=質量 × 加速度. (b) kg m2 s−2 . 仕事=力 × 長さ。 (c) A s ~ より求めよ。 (d) kg m s−3 A−1 . 電場の定義である F~ = q E ~ とつりあう力が行う仕事 (e) kg m2 s−3 A−1 . 電位は単位電荷に働く力 −E である。 2 ガウスの法則とファラディの法則 (定常の場合) 3 ガウスの法則: 電気力線は + 電荷から始まり − 電荷で終わる, つまり開いた曲 線である。電気力線の強さは電荷で決まる。 定常な場合のファラディの法則: 閉じた電気力線は存在しない。閉じた電 気力線は磁束の時間変化により作られるが、いまの場合、時間的な変化は ない。 4 Q/S 5 対称性より電気力線は −z 方向を向く。 1 6 E= E . 0 S Z 1 ~ ~ E · dS = ガウスの法則 ρdV を使うため, 底面が極板に平行で底面 0 積が単位面積である柱に板 A を横切らせる。ここで 0 は真空の誘電率であ り, ρ は電荷密度である。柱の中には電荷 Q/S があり, 下の表面から E が でるので, E = 10 Q S が成り立つ。 I ~ = (0, 0, − Q ). 7 E 0 S 8 考え方は 7 と同じ。柱の上、下両面から E が出ることに注意。 ( Q z > d2 のとき ~ = (0, 0, 20 S ) E Q (0, 0, − 20 S ) z < d2 のとき 9 ~ = E ( (0, 0, − 2Q0 S ) (0, 0, 2Q0 S ) z > − 2d のとき z < − 2d のとき ~ = (0, 0, 0). 10 重ね合わせ原理により E ~ = (0, 0, − Q∆Q ) 11 F~ = ∆QE 0 S 12 d · Q∆Q 0 S d 13 W = 0 S Z Q Q∆Q = 0 Q2 d 20 S 2 14 dQ 20 S 蓄えられている電気エネルギーは電荷を帯びさせるために外力が行った力 学的な仕事である。電磁気現象にもエネルギー保存則が貫徹している。 15 V = Qd 0 S S 16 C = 0 . S/d は長さの単位を持つ量であることに注意せよ。 d 2 問題 2 図のように z = ± 21 c に平行に置かれた 2 枚の平板がある。それぞれの平 板は (± 21 a, ± 12 b, ± 21 c) を頂点とする長方形で, その面は十分広いとする。上の平 面には x 方向に電流 I が, 下の平面には −x 方向に電流 I が一様に流れている。 右回りループ 電流 上面 z y 電流 x 下面 右回りループ 1 各面の面積を求めよ。 面に挟まれた空間の体積を求めよ。 2 2 枚の板の電流が作る磁束密度は各板を流れる電流の作る磁束密度から決まる。 その原理の名前と内容を述べよ。 3 電流から磁束密度を決める 2 つの基本原理の名前を述べよ。 4 磁束力線の概念を使って, その内容を簡単に述べよ。 5 z = 21 c にある上の面の y 方向の単位長さあたりに流れる電流の方向と大きさ をベクトルを使って表せ。 6 上の面を流れる電流が作る磁束密度の方向を求めよ。 7 上の面を流れる電流が作る磁束密度の大きさを求めよ。 8 問 (6), (7) の答えをベクトルを使って表せ。 9 下面を流れる電流が上の板の位置に作る磁束密度をベクトルとして表せ。 10 両面を流れる電流が平板間 (−c < z < c) に作る磁束密度を求めよ。 11 平板間外 (z > 21 c, z < − 21 c) での磁束密度を求めよ。 12 問 (5) のベクトルと問 (9) のベクトルの外積を計算せよ。 13 真空の透磁率 µ0 の単位と大きさを述べよ。 14 2 つの面の間に働く力は引力か斥力か? 15 下面を流れる電流が作る磁束密度が上面を流れる電流に働きかける力の大き さと方向を求め, ベクトルを使って表せ。 16 問 (15) の力とつりあう外力で上の面を z 方向に d` だけ動かすとき, この外力 が行う仕事を求めよ。符号には特に注意せよ。 17 速度 ~v で運動する電荷 q に働く力の名前を述べ, 公式を書き下せ。 18 上面の動きの速さを d` dt とする。上面と共に動く電荷 q の粒子に働く力の方向 と大きさを求めよ。 19 閉回路を磁束密度が貫いているとき, 回路を囲む面積の変化に対して生ずる電 場を決める法則の名前を述べよ。 20 問 19 の法則を使って上下の面に誘起される電場の大きさと方向を求めよ。 21 単位時間に電場が電流に働きかける仕事率を与える法則の名前を述べよ。 22 誘起される電場の力に逆らって電流 I を流し続けるために外部起電力 (電池) が行う仕事を求めよ。 23 2 枚の板の間隔を 0 から c に広げるために必要な外力と電池が行った仕事の 総和を求めよ。 24 2 枚の板の間にはどれだけの磁気エネルギーが蓄えられているか? 電流 I を 使って書け。 3 25 平板間に蓄えられているエネルギーは 12 LI 2 と書ける。インダクタンス L を 求めよ。 解 1 面積は ab, 体積は abc. 2 重ね合わせ原理. 磁束密度は部分電流が作る磁束密度をベクトルとして加えあ わせたものである。 3 アンペールの法則と磁気単極子不存在の法則。 4 磁気単極子不存在の法則。磁束力線の始点, 終点となる磁気単極は存在しない。 したがって開いた (始点, 終点のある) 磁束力線はない。磁束力線は閉じた 曲線である。 アンペールの法則: 閉じた磁束力線の強さは、磁束力線が囲む面を横切る電 流によって決まる。 I 5 ( , 0, 0). b y によって電流の強さが変わる可能性があるが、どこでも同じであると言っ ている。場所によって値が変わる量は密度 (· · · あたりの量) を使って考え ると便利である。 6 対称性より, 面の上 z > c 2 では −y 方向。面の下 z < c 2 では y 方向。 µ0 I . 2b H R ~ · d~r = µ0 ~j · dS ~ を使うため、図のようなループを アンペールの法則 V 作る。ループの y 方向の長さを単位長さとするとループ積分は 2B, ループ を貫く電流は µ0 I/b で, この 2 つは等しい。 7 B= 8 ( µ0 I ~ = (0, − 2b , 0) z > B 0I (0, µ2b , 0) z< ~ = (0, µ0 I , 0). 9 B 2b ~ = (0, µ0 I , 0). 10 重ねあわせ原理により B b ~ = (0, 0, 0) 11 重ねあわせ原理により B I µ0 I µ0 I 2 12 ( , 0, 0) × (0, , 0) = (0, 0, ). b 2b 2b2 13 µ0 = 4π × 10−7 N A−2 . 4 c 2 c 2 のとき のとき 14 電流が反対向きに流れているので、斥力である。 同じ向きに流れる平行電流 の間には引力が働く。 1 a 15 F~ = (0, 0, µ0 I 2 ). 2 b 問 12 で単位面積あたりに働く力が求まっているので面積をかける。答えが 力の単位を持つことに注意せよ。 1 a 16 − µ0 I 2 d`. 2 b 力の方向と動かす方向が逆だから仕事は負である。 ~ 17 ローレンツの力. F~ = q~v × B. µ0 I µ0 I d` d` 18 F~ = q(0, 0, ) × (0, , 0) = (−q , 0, 0). dt 2b 2b dt 19 ファラディの法則. ~ = (− 1 µ0 I 20 上の面には E 2 b 起される。 d` dt , 0, 0), ~ = ( 1 µ0 I 下の面には E 2 b d` dt , 0, 0) の電場が誘 H r を使う。面積の変化率は a d` ファラディの法則 dΦ dt = − E · d~ dt だから磁束 µ0 I d` の時間変化率は b × a dt 。これが −2aE に等しい。 21 ジュールの法則: P = IV . a 22 I × 2aE × dt = µ0 I 2 d` b ジュールの法則は時間あたりの仕事を与えていることに注意。したがって仕 事を求めるには時間をかけなければならない。電位差は V = 2aE である。 Z c a 1 1 a ac 23 W = (µ0 I 2 − µ0 I 2 )d` = µ0 I 2 b 2 b 2 b 0 24 1 ac µ0 I 2 . 2 b 蓄えているエネルギーは電流を流すために外力と電池が行った仕事である。 25 L = µ0 ac b . ac b は長さの単位を持つことに注意。 5
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