Weekly Report

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2015年1月5日
Mitsubishi UFJ Asset Management
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
チーフストラテジスト 石金 淳
5分でわかる週間マーケット
前週末のマーケット指標
株式
日経平均株価(日経225)
TOPIX(東証株価指数)
NYダウ工業株30種平均株価
S&P500種株価指数
NASDAQ総合指数
ドイツDAX30種株価指数
債券
日本新発10年国債利回り
米国10年国債利回り
ドイツ10年国債利回り
豪州10年国債利回り
ブラジル2年国債利回り
為替
米ドル/円
ユーロ/円
ユーロ/米ドル
豪ドル/円
ブラジルレアル/円
政策金利
米国(FFレート)
欧州(ECBリファイナンス金利)
豪州(RBAキャッシュレート)
ブラジル(中銀ターゲット金利)
17,450.77
1,407.51
17,832.99
2,058.20
4,726.81
9,764.73
0.330
2.111
0.498
2.870
12.956
120.50
144.63
1.2002
97.47
44.72
0.25
0.05
2.50
11.75
前週末比(幅)
▲ 368.19
▲ 19.99
▲ 220.72
▲ 30.57
▲ 80.05
▲ 157.38
前週末比(幅)
0.000
▲ 0.139
▲ 0.091
▲ 0.005
▲ 0.062
前週末比(幅)
0.19
▲ 1.97
▲ 0.0181
▲ 0.26
▲ 0.38
前週末比(幅)
0.00
0.00
0.00
0.00
前週末比(%)
▲2.07%
▲1.40%
▲1.22%
▲1.46%
▲1.67%
▲1.59%
前週末比(%)
0.16%
▲1.34%
▲1.49%
▲0.27%
▲0.83%
*株式の単位は円、米ドル、ポイント。為替の単位は円、米ドル。債券、政策金利の単位は%。
*直近の米国(FFレート)は0.00~0.25%。
*日本銀行は2013年4月より金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更。
*ECB(リファイナンス金利)は実効ベース。
前週の市場動向
株式・債券市況
 前週の株式市況(前週末比)は、日米独がともに下落しました。また、債券利回りは米独
が低下、日本が横ばいでした。
 株式市況は、日米独がともに高値警戒感による利益確定の売りが出たことなどを受けて
下落しました。債券利回りは、米国の12月ISM(供給管理協会)製造業景況指数が低下
したことや、株価下落などを受け、米独が低下しました。
為替市況
 前週の為替市況(前週末比)は対円で米ドルが0.16%の上昇、ユーロが1.34%の下落、
豪ドルが0.27%の下落、ブラジルレアルが0.83%の下落となりました。
 豪ドルは、国際商品市況が引き続き下落したことなどを受け、対円で下落しました。
 ブラジルレアルは、BCB(ブラジル中央銀行)が為替介入プログラムの延長と同時に介入
規模の縮小を発表したことや、国際商品市況の下落などを受けて対円で下落しました。
1
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今週の注目ポイント1
 2015年、日本株は4年連続上昇へ ~年末、日経平均株価22,000円の可能性も
2014年の日本の株式市況は年前半に一時低迷する局面があったものの、年後半に反
騰し、年末は日経平均株価は17,450.77円、TOPIX(東証株価指数)が1,407.51ポイント
で、それぞれ前年末比7.12%の上昇、同8.08%の上昇となり、概ね堅調に推移しました
(ちなみに、米国株式市況はS&P500ベースで11.39%の上昇、欧州株式市況は独DAX
ベースで2.65%上昇)。また、両指数ともに3年連続の上昇となりましたが、2015年は
2014年に起きた変化やイベント等を背景に4年連続上昇の可能性が高いとみています。
(円)
20,000
日経平均株価(日経225)と200日移動平均の推移
18,000
日経平均株価
200日移動平均
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
06/12/30
08/12/30
10/12/30
12/12/30
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
14/12/30
(年/月/日)
それらの変化やイベントの主なものとして、①原油価格等の大幅下落、②日銀の意表を
突いた追加緩和、③120円前後(対米ドル)への円安進行、④衆議院解散と同院の総選
挙(結果、安倍政権の安定化へ)、⑤消費税の再増税延期、などがあるとみています。
(米ドル/バレル)
140
原油価格(先物直近限月)
130
120
110
100
90
80
70
60
NY原油
50
40
09/12/31
10/12/31
11/12/31
ブレント原油
12/12/31
13/12/31
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、土日祝祭日は前営業日のデータを使用
NY原油はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)を指し、米国・テキサス州西部等で産出する原油で指標性が高い
14/12/31
(年/月/日)
2
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①については、原油が2014年6月の年間高値から年末までに50.34%の急落となり、か
つサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が、減産はOPEC(石油輸出国機構)がシェ
アを失うことにつながるため、原油の一段安があっても減産しないという趣旨の発言をした
ことなどを考慮すると、当面原油価格の大幅反発の可能性は低い見込みです。これは、
原油の輸入依存度が100%近い日本にとって、2015年は本格的にコスト削減等を通じた
多大な恩恵が中小企業を含め、日本経済に広く浸透することを意味すると考えます。
②と③は密接につながっていると思われ、市場にとって意外感があった2014年10月末
の日銀の追加緩和が円安を加速させた面があります。そうしたなか、12月の日銀短観で
は、大企業・製造業の事業計画の前提となる2014年下期の為替レート(対米ドル)が
104.04円である一方で、2014年末は119.78円(12月31日のNY市場終値)となっており、
今後かなり円が反騰しない限り、輸出や国際展開が盛んな企業を中心に相当な増益要
因が潜んでいると考えられます。
(円)
米ドル(対円)と日銀短観・事業前提レート
124
120
米ドル(対円)
日銀短観・事業計画前提レート
116
112
108
104
100
96
2013/12/31
2014/3/31
2014/6/30
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、土日祝祭日は前営業日のデータを使用
2014/9/30
2014/12/31
(年/月/日)
④と⑤については、2014年4月の消費税増税後、11月中旬、実質GDP(国内総生
産)の2四半期連続の前期比マイナス成長が判明した直後、安倍首相が決断しました。こ
れにより、当面は増税に伴う景気冷却の回避が見込まれ、さらに、12月の総選挙で与党
(自民・公明)が圧勝すると、その直後には家計や中小企業向け支援策等を盛り込んだ
3.5兆円の経済対策が閣議決定されるなど、景気下支えに向けた政策が着実に打たれつ
つあります。また、与党の大勝利で安倍政権の政治基盤が一層固まり、成長戦略や安全
保障などの政策運営の円滑な推進が可能になるなど、政治の機動性が強化されたこと
は注目に値すると考えます。この他、政治面では、11月のAPEC(アジア太平洋経済協
力)で日中首脳会談が実現し、対中国ビジネス回復への契機となることが期待されます。
これらの要素は、すべて2014年中に現れたものながら、その効果の大部分はタイムラ
グを置いて2015年に顕在化するとみています。加えて、米国等を中心に海外景気が堅
調さを増しつつことも勘案すると、日本の株式市況を取り巻く環境はかなり良好と思われ、
2015年の日本株は2014年を凌ぐ上昇が期待され、年末は日経平均株価が22,000円に
到達すると考えます。
3
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今週の注目ポイント2
 中南米:ブラジルレアル ~2015年は調整後、緩やかに下値を切り上げる展開に
BCB(ブラジル中央銀行)は、2014年12月23日、四半期インフレレポートを公表し、イン
フレ抑制の姿勢を堅持することを示しました。このレポートにおいて、BCBは、高いインフレ
率(消費者物価指数の前年比)は購買力の低下をもたらし、家計の消費者信頼感、およ
び実際の個人消費に悪影響を与えると述べています。また、賃金上昇圧力や財政刺激策
の影響とともに、国内価格の国際価格へのさや寄せ、および規制価格の市場価格に向け
た調整に伴うインフレ圧力が最近強まっており、これらがインフレ率を高止まりさせる、他の
要因よりも大きな要因になっているとしています。
この状況を受け、BCBは直近(2014年11月)6.56%とインフレ目標ゾーン(上限6.5%、
下限2.5%、目標値4.5%)をわずかながらも上回っているインフレ率を低下軌道に乗せ、
目標値の4.5%に収束させるためには必要なあらゆる手段を取ると述べており、2015年
1-3月は利上げが続く可能性が高いとみています。
(%)
ブラジル政策金利と2年国債利回り
14
政策金利
13
2年国債利回り
12
11
10
9
8
7
6
2009/12/31
2010/12/31
2011/12/31
2012/12/31
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、土日祝祭日は前営業日のデータを使用
2013/12/31
2014/12/31
(年/月/日)
こ う し た BCBの利上げはブラジルレアル(以下、レアル)の下支え要因になると思われま
す。しかしその一方で、エコノミストの景気見通しの下方修正が続くなか、ブラジル景気は未
だ低迷から脱出していないと考えられることや、国営石油会社ペトロブラスの不祥事の政
治・経済への影響に対する不透明感などを考慮すると、当面、レアルは対米ドルで軟化す
る可能性があります。また、対円では上値がやや重く、もみ合いで推移するとみています。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でな
さるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は
株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではあ
りません。投資信託は、預金保険の対象とはなりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありま
せん。本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
しかし、2015年4-6月以降は、①上記の規制価格等によるインフレ圧力が一巡し、かつ
原油安等による影響が浸透することによってインフレ率のピークアウト感が鮮明化し、消
費や投資への意欲が回復すると見込まれること、②比較的堅調な米国やアジア等の海
外景気とレアル安(対米ドル)の効果が輸出に有利に働くと考えられること、③直接投資な
どブラジルへの海外からの投資が堅調であること、などからブラジルの景気は持ち直す兆し
が出る見込みです。また、レビ新財務相が税収の前提となる2015年の実質GDP(国内総
生産)成長率見通しを3.0%から0.8%に引き下げるとともに、同年のプライマリーバランス
(基礎的財政収支)の目標を 、 1.2%の黒字と従来の同2.5%から引き下げ、2016年は同
2.0%を目標とするなどの現実的な予算運営を提唱、加えて財政規律への厳格な対応や
連邦予算の透明性向上も打ち出しました。そして、この通りに財政運営が実施され た 場
合、投資家のブラジルへの信認は回復に向かうとみています。
なお、年央に想定される米国の利上げについては、インフレ率等の状況から緩慢なペー
スと思われ、また利上げ開始前に相当程度織り込まれると考えています。
こうしたことから、4-6月以降、レアルは下値余地を狭めながら対米ドルでは落ち着いた
動きとなり、対円では日銀の強力な金融緩和姿勢等による円安米ドル高傾向が続くなか、
緩やかに下値を切り上げる見込みです(半年後のレアルの予想レート:41円~51円)。
(円)
52
50
48
46
44
42
40
38
36
34
32
30
28
26
2011/12/31
ブラジルレアル(対円および対米ドル)の推移
ブラジルレアル高
対円(左軸)
2012/6/30
対米ドル(右軸)
2012/12/31
2013/6/30
2013/12/31
2014/6/30
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、NY市場、対米ドルは縦軸反転、土日祝日は前営業日の値を記載
(レアル)
1.50
1.60
1.70
1.80
1.90
2.00
2.10
2.20
2.30
2.40
2.50
2.60
2.70
2.80
2014/12/31
(年/月/日)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でな
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せん。本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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