ウィークリー・レポート 2015年1月19日 [274KB]

Weekly Report
2015年1月19日
Mitsubishi UFJ Asset Management
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
チーフストラテジスト 石金 淳
5分でわかる週間マーケット
前週末のマーケット指標
株式
日経平均株価(日経225)
TOPIX(東証株価指数)
NYダウ工業株30種平均株価
S&P500種株価指数
NASDAQ総合指数
ドイツDAX30種株価指数
債券
日本新発10年国債利回り
米国10年国債利回り
ドイツ10年国債利回り
豪州10年国債利回り
ブラジル2年国債利回り
為替
米ドル/円
ユーロ/円
ユーロ/米ドル
豪ドル/円
ブラジルレアル/円
政策金利
米国(FFレート)
欧州(ECBリファイナンス金利)
豪州(RBAキャッシュレート)
ブラジル(中銀ターゲット金利)
16,864.16
1,363.73
17,511.57
2,019.42
4,634.38
10,167.77
0.240
1.837
0.454
2.559
12.349
117.51
135.95
1.1567
96.69
44.86
0.25
0.05
2.50
11.75
前週末比(幅)
▲ 333.57
▲ 16.85
▲ 225.80
▲ 25.39
▲ 69.68
519.27
前週末比(幅)
▲ 0.035
▲ 0.108
▲ 0.038
▲ 0.163
▲ 0.217
前週末比(幅)
▲ 0.99
▲ 4.37
▲ 0.0275
▲ 0.52
▲ 0.12
前週末比(幅)
0.00
0.00
0.00
0.00
前週末比(%)
▲1.94%
▲1.22%
▲1.27%
▲1.24%
▲1.48%
5.38%
前週末比(%)
▲0.84%
▲3.11%
▲2.32%
▲0.53%
▲0.26%
*株式の単位は円、米ドル、ポイント。為替の単位は円、米ドル。債券、政策金利の単位は%。
*直近の米国(FFレート)は0.00~0.25%。
*日本銀行は2013年4月より金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更。
*ECB(リファイナンス金利)は実効ベース。
前週の市場動向
株式・債券市況
 前週の株式市況(前週末比)は、日米が下落、独が上昇しました。また、債券利回りは日
米独ともに低下しました。
 株式市況は、12月の米国小売売上高が市場予想を下回ったことや同国の金融機関の
減益決算等を嫌気し、米国が下落、それにつれて日本も下落しました。一方、ECB(欧州
中央銀行)の追加緩和期待が高いことを受けて独は上昇しました。債券利回りは、ECBの
追加緩和観測が強まるなか、SNB(スイス国立銀行、中央銀行)が対ユーロで無制限介
入を突如終了すると同時に利下げを決定したことなどを受け、日米独ともに低下しました。
為替市況
 前週の為替市況(前週末比)は対円で米ドルが0.84%の下落、ユーロが3.11%の下落、
豪ドルが0.53%の下落、ブラジルレアルが0.26%の下落となりました。
 豪ドルは、SNBの無制限介入(ユーロ買いスイスフラン売り)を突如停止し、ユーロが対円
で下落したことにつれて対円で下落しました。
 ブラジルレアルも、同様にユーロが対円で売られた流れにつれて、対円で結果的に下落し
ました。
1
Weekly Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
今週の注目ポイント1
 内外の株式市況は欧州関連の懸念材料を乗り越えて上昇へ
15日、SNB(スイス国立銀行、中央銀行)が、2011年9月以来対ユーロで1.20スイスフラ
ン付近にとどめるために行ってきたユーロ買いスイスフラン売りの無制限介入を突如終了
し、スイスフランがユーロ等の主要通貨に対して急騰しました(15日は対ユーロで一時0.85
スイスフラン台、16日のNY市場終値は0.99スイスフラン台)。このSNBの措置は、IMF(国
際通貨基金)のラガルド専務理事が事前連絡がなかったと苦言を呈するほど予想外で
あったと考えられます。そして、この措置に伴い発生した急激な為替変動は、その直後、世
界の市場に波乱を起こし、さらに、スイスフラン建て債務の急膨張によって欧州を中心に
金融市場が不安定化する懸念も浮上させたとみています。
また、欧州関連では、総選挙を前にギリシャで緊縮財政反対を標榜するSYRIZA(急進
左派連合)の躍進が見込まれます。そして、SYRIZAが政権を掌握した場合、ギリシャ金融
支援を行っているEU(欧州連合)等との間に摩擦が生じてギリシャ国債の利回りが一段と
上昇し、ギリシャ財政への不安が高まる可能性があります。こうした欧州発の懸念材料
は、当面内外株式市況の重石になり得ると考えます。
しかし、欧州では、ECB(欧州中央銀行)が22日の理事会で国債購入を含む量的緩和
に踏み切るとの観測が強まっています(SNBが突如介入を取りやめた背景には、ECBの追
加緩和に伴いユーロ安が進展し、保有するユーロの評価損が拡大する恐れが強いと判断
したことがあると考えられる)。これについては、国債購入対象を限定するなどの観測があ
るものの、市場では量的緩和の欧州景気等に対する効果について根強い期待があると
思われ、それは独DAX指数の過去最高値更新などに反映されているとみています。
また、米国では、14日に公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)で、原油安のマ
イナスの影響がエネルギー産業の盛んな一部の地区に出つつあるものの、原油安につい
ては自動車販売好調等のプラス効果もあり、大部分の地区で景気の拡大継続が示されま
した。さらに、16日に発表された1月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を大幅
に上回り、原油安の消費に対するプラス効果が先行き一段と明らかになることを示唆し
たと考えます。
以上のことを踏まえると、今後の内外の株式市況を考えるうえで欧州関連の懸念材料
(上記の他にテロへの警戒感も含む)からは、目が離せませんが、日銀に続いてECBも追
加緩和を行い、世界の流動性の潤沢な状態が維持されると見込まれることや、米国の
景気拡大持続、原油安のプラス効果などが欧州への懸念を凌ぎ、より強く市場に影響
するとみています。16日に独DAX指数が過去最高値を更新したことや、米国株式市況が
上記の消費関連指標等を受けて素直に上昇したことなどはその兆しと考えられ、内外の株
式市況は当面は波乱含みながら、その後は上昇トレンドを次第に鮮明化していく見込みで
す。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
今週の注目ポイント2
 中南米:インフレ率の見通し等とブラジルレアルのサポート要因
昨年12月のブラジルのインフレ率(消費者物価の前年比)は、6.41%の上昇と3ヵ月連
続の低下で目標ゾーン(2.5-6.5%、目標値4.5%)に収まる格好となり、またピークアウト
感が出つつあるように思われます。ただ、今月は一部の公共料金の引き上げや、ジョアキ
ン・レビ新財務相が財政再建の一環として燃料税等の増税を示唆したことなどを勘案する
と、インフレ率が再び上昇する可能性は十分あります(但し、財政再建に向けた取り組みは
ブラジル国債への信認を高めるうえで不可欠と考えられる)。
しかしながら、これらの要因によるインフレ圧力は一時的であり、さらに、ブラジルの実体
経済は生産の低迷等に加えて財政支出が抑制されると見込まれることから当面足取りが
重い状態で推移せざるを得ないとみています。そのため、ブラジルのインフレ率の上昇余
地は今後限定的であると思われます。また、BCB(ブラジル中央銀行)が最近のブラジル
レアル(以下、レアル)の下落(対米ドル)やインフレ抑制等に向けて、なお追加利上げを行
うと見込まれます(今週の20-21日の金融政策委員会では利上げの可能性が高い)。
このようにみていくと、ブラジルのインフレ率は短期的には上昇するものの、その後は緩
やかに低下に向かうと見込まれることからブラジル債券等への投資は少し長い目でみて
投資妙味があると思われます。そして、ブラジル債券に対して海外からの投資が増加し
た場合は、そのことがレアルの強力なサポート要因になるとみています(半年後のレアル
の予想レート41-51円)。
(%)
(%)
ブラジル インフレ率と2年国債利回り
14
9.5
13
2年国債利回り(左軸)
9.0
12
インフレ率(右軸)
8.5
11
8.0
10
7.5
9
7.0
8
6.5
7
6.0
6
5.5
5
5.0
4
4.5
3
09/12
10/12
11/12
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、2年国債利回りは月中平均
12/12
13/12
4.0
14/12
(年/月)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でな
さるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は
株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではあ
りません。投資信託は、預金保険の対象とはなりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありま
せん。本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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