為替トピックス - みずほ証券

2015/
為替トピックス
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投資情報部
FX ストラテジスト
鈴木 健吾
金岡 直一
ギリシャの総選挙とその影響
 2014年12月、ギリシャ議会は3回にわたり大統領選挙を行ったが、結局大統領選出には至
らなかった。
 結果、憲法の規定によりギリシャ議会は解散。2015/1/25に総選挙が行われる運びとなった。
 財政再建中のギリシャは歳出抑制のため、これまで年金減額など国民に不人気な政策を採
用してきた。このため、財政再建に反対する野党が票を集めやすい。
 財政再建に遅れをきたせば、ギリシャへの金融支援が滞り、結果として欧州債務懸念が再
燃するのではないかとの不安が拡大している。
 しかし支援を受けられなければ、ギリシャは銀行の破たんや公務員給与支払い不能などと
いった深刻な事態におちいるとみられ、結局は支援を受けるため財政再建を継続せざるを得
ないとみられる。
 最終的に事態は落ち着いていくとみられるが、目先2月にかけてはぎりぎりの交渉が続くな
か、リスク回避的な動きが一時的に強まる場面がある可能性も。
大統領選出に至らず
ギリシャ議会は解
散、総選挙実施へ
ギリシャ政府は2015年2月に予定されていた大統領選挙(国会議員の投票による
間接選挙)を14年12月に繰り上げて実施した。同国政府は早期の大統領選出によ
り、金融市場にくすぶり続ける政治不安の払しょくと併せて政権基盤の強化を図っ
たが、12/17の第1回、12/23の第2回、12/29の第3回投票のいずれにおいても与党
が擁立した候補は必要な得票数に届かなかった。この結果、憲法の規定により
12/31に議会が解散され、1/25に総選挙が行われる運びとなった。
総選挙後の新議会で再び大統領を選ぶ際は選出基準が一段と緩和されるため、
選出を不安視する向きは少ない。また、政治的な権限は国家元首である大統領より
も行政責任者である首相の方が強いため、大統領の選出自体が国政に及ぼす影
響は小さい。ただ、総選挙を経て政権の枠組みが変わることで、同国が抱える問題
の解決が遅れる可能性が高まっている点が、欧州を中心に年明けの金融市場を揺
さぶっている。ギリシャでは、2010年にユーロ圏を巻き込む形で広範な金融市場の
混乱の原因となった債務問題が発生。この解決に向け、欧州連合(EU)や欧州中央
銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)等による金融支援を現在も受けており、増税や公
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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為替トピックス
務員数の削減、年金減額といった緊縮財政政策を維持している。そのため、ギリ
シャ経済は2013年まで6年連続してマイナス成長が続いており、2014年後半以降
の世論調査では、緊縮策に反対する野党・急進左派連合(SYRIZA)の支持率が現
連立与党第1党の新民主主義党(ND、中道右派)を上回る状況が続いている。
1/25の総選挙では緊
縮財政に反対する野
党の優勢が伝えられ
る
前回、2012年5月に行われた総選挙では、当時の連立与党、NDと全ギリシャ社
会主義運動(PASOK、中道左派)が大敗したため組閣できず、結局、同年6月に再
選挙が行われた。最終的に緊縮財政に取り組んできたNDとPASOKが全300議席
の過半数を占めて再び連立与党となったが、SYRIZAはNDに次ぐ議席を獲得する
等、緊縮財政に対するギリシャ国民の反発の強さをうかがわせた。
今回、SYRIZAのツィプラス党首はユーロ離脱の可能性を否定する等、現実的な
スタンスを示している。ただ、EU等からの金融支援に基づく債務の減免を掲げてい
ることもあり、市場では14年末の大統領選出投票の失敗をきっかけに同国の債務不
安再燃の可能性を織り込み始め、15年入りにかけてリスク回避的な様相が強まっ
た。ギリシャ国債は売り優勢の展開となり、10年国債利回りは約1年3ヵ月ぶりの10%
台へ上昇してきた。
一方で、原油安の継続に伴うインフレ圧力の低下やECBによる追加緩和の思惑も
あり、欧州債券市場ではドイツ等、主要国長期金利の低下基調が強まっている。独
10年国債利回りが0.5%を割り込んだのをはじめ、仏10年は0.7%台へと低下、イタ
リアの10年金利は一時1.7%台、スペインも一時1.5%台を付ける等、軒並み過去最
低水準を更新。金利情勢を見る限りでは、イタリアやスペインといった重債務国にギ
リシャの債務不安が伝染する動きはひとまず限定的となっている。ただ、為替市場
では総選挙でのSYRIZA躍進の思惑がユーロの押し下げ要因となり、ユーロドルは
約9年ぶりの安値を付ける等、ギリシャの政治問題が影響する場面が増えている。
(%)
8
独・仏・伊・スペイン・ギリシャの10年国債利回りの推移
(週次:2010/1/1~2015/1/7)
(%)
40
独(左目盛)
7
仏(左目盛)
35
伊(左目盛)
6
スペイン(左目盛)
30
ギリシャ(右目盛)
5
25
4
20
3
15
2
10
1
0
10/1
11/1
12/1
出所:ブルームバーグのデータ等よりみずほ証券作成
13/1
14/1
5
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(年/月)
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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為替トピックス
ギリシャへの金融支
援協議がECBによる
追加緩和の 実施に
影響を及ぼす可能性
に留意
1/25のギリシャ総選挙では、国民の緊縮財政に対する疲労感の広がりもあり、
SYRIZAの勢力拡大が見込まれる一方で、単独での過半数獲得は困難とみられて
いることもあり、2012年と同様に再選挙となる可能性がある。ただ、世論調査を踏ま
えればSYRIZAを軸とした連立政権が誕生する公算は大きく、市場では新政権と
EUやECB、IMFとの間で金融支援協議がどのような形で継続するかを見極める動
きが強まろう。その際はギリシャの問題がユーロ圏で緊縮財政を継続しているスペイ
ンやイタリアといった他国にどの程度影響が及ぶのかを注視することとなる。
ギリシャについては、ユーロ圏やIMF等から2月末までの金融支援を獲得してお
り、総選挙後ただちに資金繰りが行き詰るわけではないが、3月以降もIMFやECB
に対する債務の満期が到来する。緊縮財政に反対しているSYRIZAが政権の中核
を担うような場合でも、IMF等への債務が履行されない事態に至るようであれば、こう
した国際機関からの金融支援が断たれる恐れとともに、資金繰りひっ迫に伴うギリ
シャ国内の銀行破たん等、大きな混乱を引き起こす可能性が高まる。
具体的には、ECBが緊急の流動性供給を停止すればギリシャ国内の銀行は資金
繰りに行き詰まり、破たんが現実的になるだろう。また、金融支援を得られなければ
ギリシャの国としての資金繰りも3月終盤頃に行き詰る可能性が高く、年金や公務員
給与などの支払いが滞る恐れが出てくる。
結果として、どのような政党が勝利したとしてもこのような支援の獲得は必要不可
欠であるわけで、最終的にはギリシャ新政権の妥協により緊縮財政を巡る協議が決
着していく公算が大きいと考えられる。
スケジュール的には、1/25に総選挙実施、その後再選挙とならなければ2月半ば
にかけて新内閣発足、IMFやECB、EU等と債務再編に関して交渉を行うこととな
る。基本的には上記の通り、ギリシャは緊縮財政を継続していかざるを得ないとみら
ユーロ円とユーロドル相場の推移
(週次:2010/1/1~2015/1/7)
(1ユーロ=円)
160
(1ユーロ=ドル)
1.50
150
ユーロ円(左目盛)
1.45
140
ユーロドル(右目盛)
1.40
130
1.35
120
1.30
110
1.25
100
1.20
90
10/1
1.15
11/1
12/1
出所:ブルームバーグのデータ等よりみずほ証券作成
13/1
14/1
15/1
(年/月)
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為替トピックス
れるが、金融支援による債務の減免等を訴えてSYRIZAが勝利すれば、その結果
を多少は考慮し、返済条件に関する変更等の交渉が長引く可能性はある。
このようななか、目先2月にかけては欧州の債務問題に対する懸念が市場の重石
(おもし)となる展開には注意が必要だ。為替市場ではユーロが売られる一方で、リ
スク回避からの円買いへとつながる可能性も高く、ユーロ円の下落材料となりやす
い。
欧州債券市場にとっては、ECBが追加緩和を検討する際にギリシャ情勢が影響を
及ぼしかねない点が関心を集めよう。
ユーロ圏では消費者物価指数(HICP)がECBの政策目標(前年比+2%かそれ以
下)を大きく下回る状況が続いているが、1/7発表の12月HICPは前年比▲0.2%と
09年10月以来のマイナス水準へ落ち込む等、ユーロ圏経済がデフレに陥りつつあ
るとの見方を一層強める結果となった。市場では、さらなる物価下落を阻止するため
ECBが国債の買い入れも含めた量的緩和を導入するとの見方をほぼ織り込んだ展
開となっているが、総選挙後に樹立されるギリシャ新政権の金融支援協議の進ちょ
く次第では、ECBによる追加緩和の実施スケジュールに影響を及ぼす可能性があ
る。ギリシャの財政再建が遅れる懸念が台頭すれば、ドイツ等は追加緩和に否定的
な姿勢を強めよう。そのため、ECBが1/22あるいは3/5の理事会で追加緩和の導入
を決定しても、実施そのものが後ずれする可能性が高まれば、金利や為替市場を
はじめ波乱含みの展開となるケースも想定される。
ECBの緩和姿勢からは特に今年半ばにも利上げが見込まれる対ドルでの売りが
入りやすい。上記リスク回避からのユーロ売り円買いの可能性も含め、目先はユー
ロドル、ユーロ円ともにユーロ安を警戒する必要があるだろう。
(%)
5.0
ユーロ圏の政策金利と消費者物価指数(HICP)の推移
(月次:1999/1~2014/12)
4.0
3.0
2.0
消費者物価指数(HICP、前年比)
1.0
政策金利
0.0
▲ 1.0
99
00
01
02
03
04
05
06
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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