為替トピックス4月8日号 (PDF/472KB)

2015/
為替トピックス
4/8
投資情報部
FX ストラテジスト
五十嵐 聡
RBAは金利据え置き、豪ドルは反発
 豪州準備銀行(RBA)は4/7の金融政策会合で、政策金利を2.25%に据え置いた。利下げの
思惑を背景に弱含んでいた豪ドル相場は、結果発表後に反発した。
 声明では当分金利を据え置くとの基本スタンスは前回をほぼ踏襲したが、鉄鉱石価格の下落
による交易条件の悪化に言及する等、一部は現状を反映させたものとなった。また、為替相場
については、「更なる減価の可能性がありそうだ」としてけん制姿勢をいく分強めた。
 豪ドル相場は、豪州の主要輸出商品である鉄鉱石価格が3月に入ってから下げ足を速めて
いたこともあり、追加利下げの思惑から下値を試す動きとなっていた。金利据え置きを受けて
いったん反発となったが、景気への不透明感が強い中、引き続き下値を探る動きが続こう。
RBAは 政 策金 利を
据え置き、利下げの
思惑が強まっていた
中で、豪ドルは反発
豪州準備銀行(RBA)は4/7に開催された金融政策会合において、政策金利で
あるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を2.25%に据え置いた。
ブルームバーグの事前予想ではアナリストの6割弱が金利据え置き、4割強が
0.25%の利下げを予想しており、据え置き予想がやや優勢だった。ただ、足元
で豪州の主要輸出商品である鉄鉱石価格が一段と下げ足を速めており、一時1
トン=50ドルを割り込む動きになっていたことから、早期利下げへの思惑も
かなりの程度強まっていた。
このため、豪ドル相場は結果発表直後には買い戻しを中心に反発する展開と
なり、一時前月末以来となる1豪ドル=0.77ドル台に乗せる動きとなった。
豪ドルの推移
(日次:2014/1/1~2015/4/7)
(1豪ドル=円)
104
(1豪ドル=ドル)
0.96
0.94
102
0.92
100
0.90
98
0.88
0.86
96
0.84
94
0.82
0.80
92
対円(左目盛)
0.78
対ドル(右目盛)
90
88
14/1
豪
ド
ル
高
14/3
14/5
14/7
14/9
0.76
14/11
15/1
15/3
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
豪
ド
ル
安
0.74
(年/月)
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2014/19/18
声明は前回の内容を
ほぼ踏襲、一部鉄鉱
石価格下落等の 現
状を反映
声明内容を見ると、世界経済および豪州経済の認識についてはほぼ前回会合
時のものを踏襲、結論部分についても、
「当面政策金利を据え置くことが適切」
「持続可能な需要の伸びと目標に沿ったインフレ率を促進するため、今後追
加緩和が適切になる可能性がある」
「理事会は今後の会合において、そうした
措置について判断する」として、前回会合の文言をそのまま据え置いた。
ただ、商品価格について述べた部分では、「豪州の主要な輸出商品価格は下
落しており、そのため豪州の交易条件は悪化が続いている」との文言が付け
加えられており、足元の鉄鉱石価格下落を反映させた内容となっている。
中国の輸入鉄鉱石価格(鉄分62%、青島港)は昨年中すでに50%強下落した後、
年明け以降は60ドル手前で下げ渋る動きとなっていた。しかし、3月に入ると
再び下げ足を速め、足元では一時1トン=47ドル近くまで下落する動きになっ
ている。
これは、高コストの生産者による減産が進んでいないことが背景にあるよう
だ。鉄鉱石価格の下落は主に中国を中心とする需要の減少と、豪州をはじめ
とする生産者による予想を上回る大幅な供給の増加により、需給が大幅に緩
和したことが理由となっているが、豪州の大手生産者は全般に生産コストが
低く、価格下落にも関わらずむしろ供給を増やしてシェアを確保する戦略を
とっている。一方、中国の生産者は全般に高コストであり、価格下落により
収益悪化に直面しているものの、足元で原油価格の下落が輸送コストの削減
につながっていること等もあり、今のところ有効な減産が行われていない状
況にあることが、価格下落に歯止めがかからない理由となっているようだ。
このため、需給環境の改善にはまだしばらく時間がかかる可能性があり、そ
の間、鉄鉱石価格の下落傾向の動きも当面継続する可能性があることに留意
する必要がある。RBAは2月の金融政策報告では、鉄鉱石等の輸出商品価格の
下落は交易条件の悪化要因となるものの、原油価格の下落がこれを一部相殺
する可能性を指摘していた。しかし、今回の声明では鉄鉱石価格下落による
交易条件の悪化を明示していることから、今後は交易条件の悪化が国内所得
の減少を通じて消費需要の減少等につながる可能性に留意する必要があろ
う。
豪ドル高へのけん制
姿勢はいく分強めて
いる様子
また、今回の声明では為替相場について、「特に主要商品価格の下落を踏ま
えれば、更なる減価の可能性がありそうだ」と述べており、前回の「経済の
ファンダメンタルズから推計される水準を上回る」との表現に比べて、いく
分ながら豪ドル高に対するけん制姿勢を強めているようにうかがえる。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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これは、前述の鉄鉱石価格下落による交易条件悪化を明示したことと関連し
ていると考えられる。RBAは為替相場の下落が商品価格の下落とそれによる交
易条件の悪化を一部軽減するとみており、鉄鉱石価格が一段と下落したこと
で、為替相場の更なる調整が必要になった可能性を匂わせているものと思わ
れる。
総じてみれば、引き続き今後の利下げの可能性を残しつつ、豪ドル安を志向
する姿勢は維持しており、引き続きバイアスは下向きにあると言える。こう
した中で、経済指標や鉄鉱石価格の動向次第では、次回5月の会合でも市場に
おいては利下げ観測が強まる場面が出てくる公算が大きいだろう。
(ドル/トン)
140
鉄鉱石価格と豪ドル相場の推移
(日次:2014/1/1~2015/4/7)
130
0.94
120
0.92
100
0.9
90
0.86
90
0.8
0.84
80
80
0.82
70
中国輸入鉄鉱石価格(左目盛)
交易条件(左目盛)
0.78
豪ドル米ドル(右目盛)
0.7
70
0.80
60
0.6
豪ドル/米ドル(四半期平均)(右目盛)
0.76
40
14/1
14/3
14/5
14/7
14/9
14/11
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
(%)
1.0
0.88
100
50
(1豪ドル=米ドル)
1.1
110
0.90
110
60
豪州交易条件と豪ドルレート
(四半期:2000/3~2015/6)
(1豪ドル=ドル) (2012年度=100)
120
0.96
50
0.74
15/1
15/3
(年/月)
0.5
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(注) 交易条件は2014年10-12月期まで、豪ドル相場は四半期平均値で
直近15年4-6月期は4/7まで、豪州の年度は7月から翌年6月まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
15
(年)
豪州30日銀行間金利先物イールドカーブ
豪ドルは下げ渋りつ
つも下値を探る動き
が継続
豪ドルの対米ドル相場は、2月の利下げ以降は全般に下げ渋る動きとなって
いるが、3月に入り2月の米雇用統計が予想を上回る強い結果となったことで、
早期利上げの思惑から米ドル買いの動きが強まったことから一段安となり、
小幅ながら安値を更新した。その後は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結
果が思ったほどタカ派でなかったことから米ドル売りを主導に反発してい
る。
しかし、前月末にかけては鉄鉱石価格が一段安となる中で、利下げの思惑が
強まるとともに再び下落、4/2には3月中の安値を再び更新、一時2009年4月以
来となる1豪ドル=0.7533ドルまで値を下げている。そして、今回のRBA金融政
策会合では政策金利が据え置きとなったことを受けて反発する結果となっ
た。
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この間の動きを見ると、米利上げの思惑や鉄鉱石価格の下落等の逆風が吹い
た割には、豪ドル相場は意外にも底堅かったとも言えよう。実際、1月末以降
の豪ドル相場の対ドルでの下落率は▲1.7%にとどまっており、主な新興国・資
源国通貨の中でも小幅下落の部類に入る。
これはRBAが追加緩和の可能性を示唆しつつも、中期的には強気の経済見通
しを維持していること、金利市場ではすでに年内2回程度の利下げが織り込ま
れていること、昨年末にスティーブンス総裁が指摘した1豪ドル=0.75ドルの
水準をほぼ達成する中で、為替相場の調整一巡感が出つつあること等が背景
にあると言えよう。実際、IMM通貨先物の売り越し幅はここ数週間で大幅に縮
小しており、値頃感による買いポジションを積み上げる動きが出ていること
がうかがえる。
ただ、豪ドル相場の底入れにはまだしばらく時間がかかろう。前述の通り鉄
鉱石価格はまだ下げ止まっておらず、交易条件の悪化が所得の減少を通じて
経済に悪影響を及ぼす可能性は消えていない。また、成長率が依然としてト
レンドを下回るペースにとどまっている中で、内需は依然として弱い動きと
なっており、資源投資に代わる設備投資の行方等の不透明感も残っているこ
とを踏まえれば、下げ渋りつつも下値を探る動きが継続しよう。
豪州30日銀行間金利先物イールドカーブ
(2015/2~2016/10)
(%)
2.40
(千枚)
100
2.30
4月7日
2.20
3月3日
2月3日
2.10
2.00
1.90
1.80
1.70
1.60
15/2
15/4
15/6
15/8 15/10 15/12 16/2
16/4
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
16/6
16/8 16/10
(限月、年/月)
豪ドル相場と通貨先物ポジション
(週次:2013/1/4~2015/4/7)
(1豪ドル=米ドル)
1.08
1.06
80
1.04
IMMポジション 買い越し-売り越し(左目盛)
1.02
豪ドル/米ドル(右目盛)
60
1.00
0.98
40
0.96
0.94
20
0.92
0
0.90
0.88
▲ 20
0.86
0.84
▲ 40
0.82
0.80
▲ 60
0.78
▲ 80
0.76
13/1/4 13/4/26 13/8/16 13/12/6 14/3/28 14/7/18 14/11/7 15/2/27
(注) 豪ドルの直近値は4/7時点、IMMポジションは毎週火曜
(年/月/日)
日集計のため3/31までの数値
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-150408-15
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